アセテート混のサラサラ生地で細い8mmひもを作った結果大きく失敗、お洋服の裏地ではメリットな滑りと皺の寄りにくさがすべて悪影響のケース【877】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

製作の中である失敗がありました。

それは、幅8mm仕上がりの巾着紐

縫い線が脱線してパンクヶ所が多発。

これは、そもそも巾着ひもに向いていなかった生地だと反省。

そして、混率の大部分を占める「アセテート」の性質を実感しました。

このたびは、その失敗作の様子と、あるアイテムではメリットでも別のアイテムでは全くのデメリットになるケースとしてご紹介したいと思います。

このことを通じて、生地の性質をよく理解して利用することや、混率の大部分を占める素材の特徴が製作のやりにくさにも現れてくるということをお伝えしたいと思います。

アイロンをかけにくく跡が付きにくい素材のアセテートの性質、お洋服の裏地には抜群でも細かい作りの共布ひも作りには向いていなかった

巾着ひも製作に使用したちりめんニット:アセテート/72%、ポリエステル/25%、ポリウレタン/3%。

そもそも、この表示を見て、アセテートがこのように高い割合で入っている場合、アセテートの性質が、扱いにくさにも現れるというイメージをするべきでした。

出来上がった巾着袋に通すひもになる予定でした。
いったん2本とも完成してみました。出来上がり巾8mmです。
よく見ると、こんな風に縫い代がはみ出してしまうヶ所が見られます。
片方の面を縫いそびれてぱっかり口が開いてしまう「縫い外れ」の箇所がこの他にもいくつも見られました。
全体の太さが統一されていなくて、膨らんだり細まったりと安定的ではありません。

ここまで全体的に問題が出たということは相当です。

そもそも、縫う前のアイロンがけの時点で線が付きにくいのがこの生地。

アイロンの線が付きにくいということは正確に作れないと考えるべきです。

細いひもを美しく作る時にいかにアイロンの折り線が大切かも同時に分かったということです。

このアセテートという生地は、以前に100%の物を使用した過去があります。

なんとバッグを作ったのでした。

その時も、非常に線が付きににくくて、ラインが波打ち気味であったことが思い出されます。

その時は、細かいストライプだったと思いますので、その線に沿って何とか縫えましたが、形がぐにゃぐにゃしていたと思います。

左の奥:これでした。アセテート/100%の素材はサラサラ過ぎて、アイロンの線が付きにくい特徴がありました。

柔らかくしっとりとしているので、素敵には見える生地なのですが、実際の縫製では、一定の太さに重なりにくい不安定さと言いますかとろんとしてしまうのです。

ということで、そもそも、巾着ひもに、アセテートメインの素材を選んだということがミスだったということです。

はぁ(*_*)。

では、この、せっかく作ったひもは捨てるのか。。

反物を収納するためのロープとしてリユース:こうして見てみるとよくできた紐のように映ることが不思議。

商品にはなりませんでしたが、ぱかっと開いた部分もあまり影響がないこういった使い方なら、せっかくここまで作ったので利用したらよいと思います。

気になるようであれば、ぱかっと開いたところを上から縫い付ければよいのです。

ただ、売り物にはなりません、一度でびしっと縫いを決められなかったひもにレベルはないのです。

あとがき

今回1つの大きな学びがありました。

そもそも「アセテート」は細かい作業には向かないということです。

お洋服に出来上がりさえすれば、着ていく時に、アイロンの手間要らずで良いのかもしれませんが複雑な重なりの多い製作は大変だと思います。

以前にアセテート/100%で作ったトートバッグの不出来の時には深く考えませんでしたので、この二度目の経験でやっとピンと来たといった鈍さ。

綿や麻はアイロンで折りやすいですので、作りやすいですが、素敵な生地となると、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、絹などの混率のものも多いです。

アセテートは、ポリエステル、レーヨンン、キュプラに並んで時々裏地にも使用されています。

お洋服の裏地にとっては、正に「しわになりにくい、滑りが良い」というメリットがあり、このたびの巾着ひもで必要とする性質と真逆だったことを後で顧み、素材の選択ミス(求める性質と真逆を選んだ)だったと反省したのでした。

過去の少なめの在庫生地を使ったリュックの製作、生地が不足の事態の裁断時にとんちを利かせた対処法【875】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

過去の時に調達した生地が数年経過の現在、製作するデザインの用尺が不足の事態があります。

過去の単純な構造から、その後の仕様の変化で生地を多く使うようになったのです。

そうしますと各パートごとの生地の不足が起こることがあり、あと1パーツ分が足りないなどという事態が時々あります。

そんな時にもご参考になるようなこのたびの対処例をご紹介したいと思います。

過去の在庫生地を使う製作でどうしても不足したパーツを別布で代用、かえってデザイン性が生まれた

まず、表地で不足したパーツが早速ありました。

表地:肝心なショルダーパーツがとれませんでした。取っ手はとれています。

こういう時に、不足でありながらも、どのパーツを不足にするかをよく考えます。

ショルダーは取り外しのもので、本体に附随していないものであるので、別布であっても大丈夫という判断です。

ショルダーパーツx2枚:裏地で対応です。ちりめんは丈夫ですので表地としても行けます。
裏地:ちりめん生地の黒無地です。
裏地のちりめんは、巾着袋の紐にも充てました。細いロングパーツ2枚です。
白の小花柄の不足:フラップの片面を裏地のちりめん黒無地で対応。違和感はなく補填できます。

ポケットのフラップにコントラストが効いて、どちらが表面に来てもデザイン性が生まれます。

巾着袋地(外):黒の最近よく使っている無地の生地です。今回は、巾着袋の外面に使います。2枚です。
巾着袋地(内):他のパーツにも助っ人しながら、巾着袋の内側部分2枚を確保。

こんな感じで、裁断しながら、より、意味のある補充で、他のパーツ用の生地の余りからの移動という方法です。

新たな生地を追加はあまりにも混沌とし過ぎるので望ましくない、4種にとどめたいという思いがこのアイデアに行き着いたのでした。

あとがき

バッグも通常2種ほどの表地、裏地くらいの使い分けでこれまではやってきましたが、最近のこの餅巾着のデザインは、コンパクトなわりに、構造が重なって、思ったより多くの生地を使うというのが特徴です。

よって、4種の生地を使うことも珍しくないのですが、不足という時には、デザインとしてうまく活かせるような補充の仕方をこの4種内でやっていく方法が1つあるという例でした。

よく、大きなパーツは残っていないけど、半分ずつにハギにして、何とか1つになるというのも似た例です。

そのハギをうまくデザイン性が高い素敵なものにすれば、ハギも継ぎ接ぎじゃなくて立派なデザインになるというものです。

ただ、ショルダーなどの長いパーツを継ぎ接ぎというのは考えものですので、フルにとった方がそれこそ高級品になり得ます。

このハギもハギでやっても問題ないのか、1枚どりの方が良いのかは後の影響をよく考えたものになると思います。

生地を贅沢に余らせて高額なバッグを作るという高級感もあるかと思いますが、生地をエコノミーに使いながら、お得に購入できる素敵なバッグという分野もあって良いかと思うのです(^-^)。

まるでストーリー、リュックを作っていく過程の第一章から第四章までを要約してご紹介します【874】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「YouTube」では、なかなかすべての製作過程を一度に投稿することが難しいです。

よって、毎回1ポイントずつのピックアップでざっくりとお伝えする10分以内の動画がかえって見やすいと判断のもと、部分的な投稿スタイルです。

このたびは、そのような投稿スタイルの分かりにくさの面をフォローするべく、1点のリュックの全製作過程をまとめた1記事にしてみます。

こうした記事も時々入れ込んで、分かりやすくお伝えできればと思い考えたアイデアです。

その代わりに1つのじっくりとした深堀りはできないので、このケースは全体をまとめてざっくりと知るという機会の1つとなります。

リュック製作がだいたい5日程の期間を要する、内蔵巾着袋設置のデザインでご紹介したいと思います。

全4-5日の中で約1日分ずつの章ごとの製作内容のご紹介

全4過程:表地にキルトをかけることが多かった後半の製作では①と②の間に「キルトがけ」が入ります。

「キルトがけ」が入る場合は、5日間となりますので、4-5日間としています。

生地の選定は、①以前のことになるので、生地をチョイスした後の製作部分に関してが4つのまとまりになります。

③は裏地製作+合体とも言うことができ、巾着袋と裏地を合体します。

④は裏地と表地の合体になります。

①裁断・芯貼り:基本的にすべてのパーツに接着芯を貼ります。その他の追加芯地は場所に応じて。
②巾着袋製作:これだけでも1つの商品みたい。これを内部に「マチ」の縫い代同士を合体し、縫い込み。
③裏地製作:ポケットを内側に充実させ、②の巾着袋も内蔵した裏地です。
④表地製作+合体:裏地の入り口を表地と縫い付けることで合体します。合体直前に内部に底板も設置。
完成:外から見たら分かりにくいですが、これまでの過程がこの内部に詰まっているリュックなのです。

あとがき

随分たくさんやることがあるかのようですが、実は、細かい1つ1つの作業は、超基本的で単純です。

それがいくつか集まってボリュームのある内容になっているだけと考えればそれほど難しい製作ではありません。

このモデルは、その後廃止になるわけですが、この過程は非常に重要でした。

内部の2つのポケットは、フラップポケットと隠しポケットの合体型で1つに、複数使っていた金属パーツは、Dカンのみにとミニマムな「ナップサック型」の製作へと移行していきました。

ただ、その後の「ナップサック型」はリュック1wayですので、この時のトートバッグにもなる2wayリュックはナップサックとは違うモデルならではの良さもあったかもしれません。

ラメ生地・マルチネイティブ柄・シックな黒無地が集まったリュック、まるでお洋服のコーデのように3種の生地の組み合わせに落とし込む【871】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、5日間の期間を要した1点のリュックが完成しました。

多いと6-7日かかることもあり、5日間は早かったケースになります。

3種の生地を組み合わせたコーデをしながらのリュックの製作という見方で、ショルダーの生地不足というハプニングを裏地のネイティブ柄で代用しながら完成しました様子をご紹介してこの回の製作を締めくくりたいと思います。

取り外し式ショルダーは本来は表地、不足の場合には裏地でも別布でも対応可能な融通

表地のラメ入りシーチングプリントという生地は幅が110cm。

それほどは十分にない幅であったこともあり、ショルダーのパーツが不足していました。

そうして、ちょうど余っていた裏地のネイティブ柄をショルダーに使うことを決意。

左下のネイティブ柄の裏地はとろみ生地。よって、特別に、ハード薄芯を入れ込みました
そして、定番の4本ステッチをかけてこんな感じで表地に対してコントラストが効いた感じに完成。
裏地が薄手の場合に入り口付近に貼った伸び止めテープが皺やタックを防止してくれることを確認。
はっきりと、伸び止めテープ対策の効果が良い方向に表れてくれたことが分かりました。

表地に対して裏地が薄手であることはよくあるケース、その他裏地をニットで設置の場合もこの伸び止めテープの対策をすれば素材としては引用可能です。

完成したリュック「餅巾着」:<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。

自己評価してみてもかなり良い出来でした。

蓋を開けるとこのような光景です。
外のリボンをほどきます。内側に黒の巾着袋が設置。巾着ひもは裏地と同じ素材。
巾着袋のひもをほどきます。内側に黒の内部が広がります。二重仕立ての裏地付き巾着袋です。
フラップポケットです。
入り口はタルカンにナスカンを引っ掛けて開閉。後にこのタルカンはネジが緩み外れると分かりDカンへ変更。
入り口の蓋が口を覆います。物を多く入れたときにぷっくりふくらむと、フラップが覆ってくれる安心感。
底の感じです。底板が内蔵されていますので、安定します。

あとがき

次回は、柄物を表地に持ってきた製作を同じモデルで考えています。

。。とここまでが、当初このブログ記事を綴った2022.01.25の投稿でした。

このおよそ3年後に当ブログ記事の「手直し」の順番で、今、正にこの部分を追記しています。

実は、この自分が納得したこのたびの完成をもってその後このモデル「餅巾着」を作っていないのです。

せっかく次の製作用に準備した柄物があったのですが、大花柄でフクレジャガードニットのその生地は、2023年の最初に巾着袋を製作して別で使ってしまったのでした。

もし、大花のフクレジャガードに同じようにダイヤキルトをかけてしまうと間違いなく柄がつぶれると思う引っ掛かりがあり、なかなか手を付けられずにいましたので、もうこのリュックでは製作しなかったのでした(なんたること)。

では、リュックはもう作っていかないのか。。については、実は2023年からは、「ナップサック」へ製作モデルを移行し、ショルダーを取り外し無し、調節機能無しのミニマムスタイルに変えた製作に移ったのでした。

そして、そのナップサックも、ここ2024年では、従来の2wayだったトートバッグとの兼用を廃止。

ナップサック特化の1wayのみで、しかも楕円底にすることで、ダイヤキルトの柄が合わない問題を回避。

ナップサックの途中で改良していった本体そのままを巾着ホールにするのでは全ての生地に対応できません。

よって、別で巾着ホールタブを付けることでどんな厚手の生地でも作って行けるような万能な仕様のリュックを目指す方向へ変えようとしています。

そして、更に、まだ実現できていないのですが、そのナップサックの丸底デザインも「コンテンツ制作」にまとめたいと思うようになり、2024年では試作品を複数作りながら完成したモデルにしていくことを目標にするようになりました。

もう、自分だけで製作することの限界を感じ、その手法などを広めたいと思い始めたのです。

3年も経過すると随分、「気持ち」「志」が変わるものであり、これこそが「発展」なのではないかとおぼろげながらに感じています。

もし、ずっとそのままフクレジャガードで相変わらず「餅巾着」を作っていたら。。という予想は、このナップサックの方向にすら行かなかったでしょう。

今やっている2024年1年で今までのブログすべてを「手直し」することを完了するという目標、後半の2024.07.15現在まで順調に実行できています。

そして、この作業の中で今とても不思議な体験をしています。

過去に考えていることと、3年経過の今では非常に変化していたことに改めて気づいたことです。

こんな振り返り方など今までしたことも無かったのでした。

この初めての感覚は、驚きと共に、「過去というものは、未来からやってくるのではないか」という信じてもいなかった流れに妙に納得しています。

取っ手付け根タブの八角形パーツも地の目を縦向きにそろえる、裏面に矢印を記しながら最後まで向きを見間違わない対策【870】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在製作中の「餅巾着」という名前のリュック、内蔵巾着袋→裏地→表地という順番で製作しておりまして、このたびは完成の一歩手前、表地のパーツ縫い付け場面です。

この場面では、取っ手の付け根を美しく隠す8角型のパーツを縫い付けていきます。

この目線が行く正面の中心部分のパーツは、地の目までそろえるということをしておりまして、向きに間違いが起き易い8角型に対して間違えないための工夫をしました。

では、この工夫の場面をご覧いただこうと思います。

パーツの裏側のハード薄芯上にペンで直接矢印を記載する方法

生地というのは、織物/ニット関係なく縦横の向きが存在しています。

原反でいうと、巻いてある棒を横向きに置いた時に横の長さは幅になりまして、両サイドが耳になり、その耳の位置に対しては垂直向きの人間の背丈に当たる向きが縦向き、つまり地の目の向きにイコールと覚えます。

細かく裁断してしまった時に縦横が分からなくなることが多角形や正方形などで起こりやすくなります。

そんな時に、手で引っ張ってみると伸び具合の違いに気づきます。

8角形のパーツを横に引っ張っている様子。よく伸びます。これが横向き。縦はここまで伸びない硬さがあります。

接着芯のみを貼っている段階では、こうして手で引っ張ってみて縦横の向きを確認できますのでその時点までは印は特に無し。

ハード薄芯を貼ってしまうと、ハード薄芯自体が不織布なので縦横の向きが基本的にありません。

この貼るという作業と同時に矢印を記載しておくのです↓。

「この矢印の方向が縦向き=地の目の向き」という意味。ボンドを貼る時もパーツを置いたままめくりながら。
そして、こんな風に貼り付いたら、周りを表地にぴったりにカット。

あとは、縫い付けるまでは、矢印の向きを確認しながら、縦向きを把握してゆけばよいのです。

ハード薄芯を貼った後は手で引っ張りにくいので、この印を記載するタイミング(ハード薄芯を貼る時)ということがとても重要です。

本体に八角形の取っ手の付け根パーツが正しい縦向きで縫い付けられました。

あとがき

このたびのラメ生地の縦横の向きは、生地の柄としては分かりにくいのですが、生地によっては、こんな落とし穴があるのです↓。

無地なのに、目の映りり具合に濃淡を感じるという見え方です。

こうした見え方は、生地に向きがあったことの裏付けです。

並毛・逆毛の上下の向きもあるのですが、その前にまずは、縦横の向きを縦向きに統一するところから先に徹底しています。

並毛・逆毛の違いの濃淡の映り方は、縦と横でも同じように起こることがありますので、それだけ「向き」の大切さがあるということです。

確かに美しい正ダイヤキルトなのだが、実は装飾目的じゃない、凹凸感のへこみの部分が接触を避け傷みから逃れる重要な役割【869】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在リュックを製作中でございまして、このたびは、全体の製作の中では最後の章のような「表地」の製作です。

表地は最初にキルトをかけ、キルトシートを製作するところから始めていくのです。

製作の順番が意外にも、内蔵巾着袋からスタート、裏地、表地というように表地が一番最後になるのです。

先に作っても保管になってしまうので、望ましい過程を工夫したところこんな順番になりました(^_^;)。

このたびは、表地にかける3cmの正ダイヤキルトについて深堀りしてお伝えしたいと思います。

キルトが「装飾」なのか「機能なのか」という以前のイメージがもしかして覆されるかもしれません。

装飾性に目が向きがちなキルトは丹念に仕立てた結果の美しさに過ぎない、外部とのまともな接触の回避の機能こそが真実の姿

まずは、キルトの中に挟み込む中綿とハード薄芯の様子をご紹介します。

中綿は、意外に薄め。5mmくらいはありますが、透けて向こう側が見えるほどの薄さ。これで良いのです。
前面から順番に、接着芯が貼ってある表地、中綿、ハード薄芯の順にサンドイッチします。3cmのダイヤキルト。
ダイヤキルトは、玉結び、玉止めを1ステッチずつ行います。ほつれ防止と丁寧なお仕立てを追求したものです。
キルトの構造:断面から見ると分かりやすいです。ステッチされたところはへこむこの構造こそが重要ポイント。
ダイヤキルト有り/無しの違い:かけた方が安定しますし、いかにも傷みにくい丈夫さも感じます。

まず、この左と右の見た感じの違いですが、全体に均一に散らばるような柄は、柄がつぶれるなどの悩みはないです。

ぱっと見は、華やかになった思われるかと思います。

ただ、その見栄えの装飾性の変化だけではないのです。

キルトをかけたことで、凹凸感が生まれ、この構造がリュックになって使用する中で、接触する面を少なくしているのです。

へこんだ部分は、触れにくくなっていますので、それが全体の構造であるとなおさら効果は大きいのです。

まとめますと、2つの影響で良質さが追求されまして、①ステッチの縫い付けによるしっかりさ、②出来上がった凹凸の構造は外傷から回避する働きです。

あとがき

このキルトは多くの方の記憶にあるハイブランド様のバッグが浮かんだと思います。

おそらくなのですが、某ハイブランド様もこの機能性を重視して、定番素材として長年バッグに引用されているのではないかと思うのです(想像に過ぎませんが)。

長く使う中での丈夫さをその時になってもいない今想像することの難しさ、そして同時に大切さが重要な学びです。

そういった製作は、ファスト的なその時だけ難なく通り過ぎ売れていけば良いという短期的な考え方と対極にあるものです。

この起こってもいないことを想像する製作は、この先もっと高めていきたい姿勢です(^-^)。

リュックの入り口の表地と裏地の縫い合わせ、裏地が薄手の場合に皺やタックが寄らないための伸び止め防止策の効果を得た感触【868】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「餅巾着」というリュックを製作中です。

このたびは、最終の段階で表地と裏地を入口で合体する入り口の縫い付けの場面。

この入り口1周にステッチを2度縫いで強固にかけていきますが、その時に裏地というのは一般的に表地よりも薄手にチョイスすることが多く、たるみがち。

同じパーツで裁断して同じサイズであっても、生地の横の伸び具合が織り方によって異なるからです。

ニットだけではなく、織物もある程度横に伸びるという性質をまずはここでお伝えしておきたいと思います。

待ち針で留める時にも力が加わり、伸びが生じることで生地が寄せられて他の部分が余るという現象にも気を付ける必要があります。

こういったことの解消に、初めての試みながら、伸び止めテープ(平)を入口1周に貼ることに決めました。

このたびは、伸び止めテープを貼ってステッチをするまでの過程をご紹介したいと思います。

完成品では決して見ることのない場面、貴重な記録としてお役立ていただければ光栄でございます。

裏地が薄手であったりとろみ素材の場合に有効な伸び止めテープ(平)を貼る場所は「ここ」です

では、入り口に伸び止めテープを貼るその位置などにポイントがありますので、ご紹介したいと思います。

伸び止めテープは9mmが使いやすくて定番。縫い代1.5cmの印の真上が下のラインに当たる位置に貼りました。

ここに貼った理由は、伸び止めテープを後の作業でミシンで縫い付け固定する必要があるから、ミシンのステッチがかかる場所に注視した貼り方であるべきなのです。

実際に赤色の点線がステッチの位置になる場所。

間違いがちなのは、ここで、生地の縫い代の先端に貼っててしまうこと。

そうしますと、ステッチの線が伸び止めテープにかからないので、「ステッチによる固定」が実現できないのです。

こうして縫い代1.5cmで折った時に、伸び止めテープの位置がトップの先端まで及んでいる必要があります。

そして、この後、トップから3mm程が表地と一緒に縫われることで伸び止めテープにもステッチが必ずかかります。

表地と縫い合わせた入口の裏地の様子:伸び止めテープを貼った効果は絶大でした。

あとがき

伸び止めテープにステッチがかかることに関しては、伸び止めテープど真ん中である必要は無いと思います。

可能な場合はその方が良いと思いますが、この度の場合ではど真ん中となると折り線をまたいだ真ん中ということ。

伸び止めテープが2重に重なりまた効果が変わってくると思いますし、余計な皺の出現を懸念してその方法はとっていません。

ただ、実験してみる価値はあると思いまして、伸び止めテープを2重にしたい場合には「わ」をまたいで使用するというのも有効な策かもしれないのです。

この裏地生地は、実際に作業してみて思ったことがあります。

とろみ生地と呼ぶようなものではあるけれど、もともとの織った作りが非常にしっかりとした素材だということです。

生地も、良し悪しがあると思います。

緻密に織られている生地は、薄手でもしっかりとしているということです。

伸び止めテープの今回の貼った感じのハリコシが上手く出たのも、もとの素材の良さもあってのことも大いに影響があると見ています(^-^)。

貼り付けポケットは柄合わせした方が良い、隠しポケットの比翼は柄合わせしなくても問題ない、目に映る美しさと整いを意識した必要手間【867】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在3種類の生地をそれぞれのパートで使い分け、「餅巾着」というリュックを製作中です。

このたびは、内蔵巾着袋が完成した様子、そして、裏地のポケット2種類の取り付けの際に柄合わせをどこまでしたのかということをお伝えしてまいります。

特に、ポケットの柄合わせに関しては、この度のネイティブ柄は大きく見ると「ボーダー状」という配置。

効率良く生地を使うためには、必要な部分のみ合わせていくという判断をポイントにしています。

無地の巾着袋には、コントラストの効いた柄を巾着ひもに選ぶと素敵になる

ポケットの柄合わせの前に、その柄と同じ生地を内蔵巾着袋の巾着ひもにも設置した素敵さをご紹介させていただきます↓。

二重仕立ての裏地付き巾着袋:内側に縫い付けはマチの部分で行いますので、縫い代のままのマチ。ひもが素敵。

巾着ひもは、裏地と同じ素材ですので、コントラストが効いた巾着袋が内部に設置されますが、それでもすっきりとおしゃれに仕上げることができます。

ひもの向き:ひも通しもひもがよじれないように統一の向きで通します。「わ」を上向きに「はぎ」を下向きに。

ひもの上下の向きが整う通し方などはまた別の記事で詳しくポイントとして解説したいと思います。

では、次に、このたびのポイントのポケットの柄合わせについて綴っていきます。

貼り付けタイプのポケット「フラップポケット」はボーダー状に柄を縦向きに合わせた

貼り付けポケットの柄合わせ:ポケットの縁をご覧いただくと柄がボーダー状の向きに合わせてあります。

ポケットの袋の部分も、フラップも柄の位置が良い具合にそろうように、裁断時にある程度柄の場所を指定して裁断します。

縫い代が1.5cm内側に消えることも見越し、出来上がりの位置がどうなるかと見積もります。

このポケットは、ポケットの入り口の縫い代が内側に始末された出来上がり線が上から13cmと決めています。

上から13cmの本体の柄をまず見てその位置より縫い代の1.5cm分まで含めた部分を切り取り裁断します。

フラップの縫い付け位置に関しては、ポケットの袋部分の入り口の線より2cm程空けた上の位置に出来上がり線を持ってくる仕様。

その位置から縫い代の1.5cmをプラスした分も含んだ部分を切り取り裁断というように見積もります。

それほど難しくはないことです。

ミリ単位で正確にと時間をかけて考えるよりも、少しのずれは、縫い付けの位置を調整すればよいので、こういったボーダータイプの柄は比較的やりやすいです。

難しい柄というのが、複雑な色がマルチカラーになったようなタータンチェックです。

そして、細かい柄であることが幸いして、ストライプ状の柄合わせはそれほど意識する必要は無く、ボーダー状だけしっかり合わせれば良いと思っております。

この条件は、柄の種類によって、また、柄の大きさによっても変わってくると思いますので、特に「大柄」は覚悟が必要ということになります。

切り込んで枠に比翼を当てはめる「隠しポケット」は柄合わせの必要は無い

隠しポケットの比翼の柄:むしろ一切何も考えずに違う柄が来るということで良いのではないでしょうか。

隠しポケットは、もともと1枚仕立てを切り込み、枠をくり抜くだけなので柄はつながったままです。

ただ、次の段階で別で裁断の比翼布を枠に当てはめる時の柄の繋がりだけ検討するわけですが、くり抜いた部分と同じ柄を比翼に該当させる必要は無いと判断。

確かに完全になじみますが、この度のように全く違う柄であったことがかえってマークになりデザイン性が生まれるかもしれないのです。

必要が無い箇所には労力は使う必要が無いという判断のもと、こうした考え方を採用したのでした。

あとがき

意外なのですが、とろみ生地の裏地のこのネイティブ柄、芯貼りの時などは形がずれやすくて緊張感のあるものでしたが、ポケット作りなどの時にはとても作りやすかったです。

このガサっとした風合いのせいでしょうか。すべりにくいのです。

こうしていろんな素材の性質もよく分かり、とても有意義です。

固定観念で難しそうな生地だと思って手を付けなかったものが意外と作りやすかったり、素敵に仕上がったりするのかもしれません。

かっこよくなる可能性がある雰囲気の生地を見つけたら、たとえそれがやや扱いにくい生地に思えても、予想外の良い結果になる可能性がある「挑戦」をお勧めをしたいと思います(^-^)。

ゆるゆるなとろみ生地に接着芯をまっすぐ貼る時のコツ、ストライプ柄を地の目の目印に使える織芯とアイロンを動かさない静止の意識【866】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在製作中のリュック「餅巾着」を新しい生地3種を表地・裏地・内蔵巾着袋の3配置に分配しながら製作し始めております。

この3種の生地の中では薄くてとろりとしたネイティブ柄の透け感ある生地を裏地に使います。

こうした崩れやすい生地は、接着芯貼りでは慎重にするべきポイントが含まれます。

せっかく意外性のある服地を選んだので、その選択の先にある活かし方も成功させたいと思います。

とろみ生地では、いかに地の目を崩さずに馴染むように接着芯を貼って行けるかということになるかと。

織物であるとろみ生地にこそ、ニット芯ではない織芯が有効だと考えます。

このたびは、その接着シーンをご紹介しながらポイントをまとめていきたいと思います。

とろみ生地のクセ、いかようにも形を変えられる変な融通、接着芯で正規のラインに固定したい

ネイティブ柄の生地です。黒の接着芯の上に置いてみまして、手でいったん整えました。

この時点では接着芯は粗裁ちで、周りを余分に残しておおざっぱに裁断。

マルチカラーが美しく、先染め。混率は、トリアセテート/55%、ポリエステル/55%。

とろみの生地ながら柄は左右対称な正配列な柄であると言えます。

ポイント①:接着芯はあえて伸びない織芯のストライプの織柄を活かす

こんな感じの織芯ですが、ストライプ状に柄が細かく入っています。地の目を合わせるには抜群のアイテムです。
縦向きの正しさをこの接着芯のストライプ柄で計り、案内していただきます。

ということで、これから芯地を調達していくというような場合に、こういった筋の入ったタイプの織芯は同じ織物生地と組み合わせ、地の目をそろえるのに有効だとお進めしたい種類です。

購入先は、「ヤフオク」出品の工場様のストック品のようなものでした。

お得に反ごといただけるのも「ヤフオク」様らしいです。

ポイント②:接着芯を貼る前に生地を手で整える

小さいパーツの場合は、クッキングシートを一番下に、生地の表面を下に、接着芯の糊部分を下にという3配置。

この時に指でよく整えます。柄の線が歪んでいないかなどを確認しながらです。

この表地は白ベースの面が本来の表ですが、あまりに白っぽいので、裏面の落ち着いた黒ベースを表面として使用することにここで決意。

接着芯を静かに置いていきます。

ポイント③:アイロンは決して動かさない、置くだけ

今一度、接着芯を置いた上からも、歪みをチェックして指でまっすぐに整えます。

そして、アイロン(中)程度で、決してこすらないように、5秒くらいずつ置くだけの当て方をします。

ポイント④:クッキングシートからはがす時に力を抜いて縁の芯地のみを触る

粗裁ちしてある接着芯のみの部分をまずはがして、できるだけ生地の部分に触れぬように。力を入れぬよう。
はがし終わりました。形がくずれずに確保できています。

パーツのサイズが大きい場合にも対応できるアイロン台めいっぱいのクッキングシート

これは本体のパーツ。本体は面積が大きいのでクッキングシートからはみ出します。
そこで、重ねる順番を変え、一番下には粗裁ちの接着芯を接着部分を上に、次に生地を表面を上にして置きます。
そして、一番上にクッキングシートを置きます。
クッキングシートの上から間接的にアイロンをかけます。ただ、このやり方は、熱が伝わりにくいのです。

そこで、その後は、こんな風に一律にクッキングシートをアイロン台以上のサイズに固定↓。

端っこに「表」の印を記入、常に「糊」の面をこの面に使うことを決めるとアイロン台カバーが汚れないです。

結局最初のやり方のシートの面積を広げたバージョンがその後もやり方を継続しています。

アイロン台カバーができるだけ汚れない方が良いですので、接着芯の糊がアイロン台カバーに付かない対策です。

さらに、アイロン自体も汚しにくいのは、写真の右上のように、端っこに「表」の記載をマジックでしておくこと。

この「表」というのは、もちろんクッキングシート自体の使う面という意味の「表」ですので。

接着し終わった状態がこちら。Lの字の角などががまっすぐで綺麗に貼れました。

つまり、この成果はマチの出来上がりのラインの整いに影響する可能性があるということになります。

特に本体パーツは重要なので、まっすぐに接着したいものです。

あとがき

以上、接着芯を貼る時のポイントをご紹介しました。

綿ブロードなどは、生地の織りが整って安定しているので比較的こういった歪みなどの悩みは少ないです。

それでも、いろんな生地を取り扱っていくことで製作のテイストの幅も広がります。

ポリエステル、レーヨン、キュプラなどのとろみがかった生地も、接着芯貼りはパーツが歪まないようなこうした接着時の工夫が必要です。

では、この製作を引き続き一緒に見守っていただければ光栄でございます(^-^)。

ラインがふんわりと感じる優しい黒ボアx赤タータンのキルトリュック、背中で感じるあったかさの中に入れ込んだ平和な気持ち【864】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

5日間の製作日数を要しましたリュックが1点完成しました。

表地の正ダイヤキルトのシート製作や内蔵巾着袋に地道な手間をじっくりと込めながらやっと完成に至りました。

ボア素材の特殊さを改めて実感したこのたびの製作、通常では難なく完成していくショルダーも横に伸びて広がり、附属品のサイズさえ大きくせざるを得ませんでした。

このたびの完成品をご覧いただきながら、この製作に込めた「気持ち」の面を綴りたいと思います。

背中があったかく感じるボア素材、ショルダー部分も同じような感触を得るためにあえて共布

いつもの4本ステッチは均等が難しく、ジグザグステッチにしました。こちらの方がボアには向いているのかなと。

ボア生地が横に広がり、面積の変化により、細かい幅の統一を要する等間隔が美しいストライプのステッチが有効ではないと判断。

問題の無い、難易度が高くない方のジグザグステッチで対応。

ジグザグステッチも固定でいうと、キルトのようなものなので、丈夫にする効果は大いにあります。

表地のダイヤキルトの形状と相性が良さそうです。

別布で行う方法もあったかと思いましたが、「あったかい感触」をこうしてショルダーの部分にも配置することで、肩や前身なども寒い季節に心地よく感じるのであればと思い切ってボアのままショルダーにしたのでした。

ジグザグステッチのミシンの様子:ボア生地は糸がはみ出しやすいのでやや手前で方向転換することです。
金属パーツ:やや無理がありましたが、線コキを通常21mm巾を40mmで代用。36mmが無かったです。
Dカンは、36mmというのがあったので、それで対応。ナスカンは36mmがなく、40mmで対応。

では、遠目でまずは見てみます。

<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。ころんとしてかわいいボア特有のラインが出ました。
入口を開けたときの様子です。赤のタータンチェックが黒によく映えます。
細かい部分ですが、入り口サイドの巾着ひもの先に表地ボアを取り付け。ボンボンみたい♪。
中はこんな構造。巾着袋を開けています。

ここに映る入口フラップに関しては、すでに現在では定着の改良版の広い面積の方です。

セキュリティー性の不足はじゅうじゅう承知ながらも、取っ手の間に最大限にあるフラップで覆い、最大限の隙間を埋める努力をした姿となります。

巾着袋内だけに収納でも良いですし、大切な物のみここへ入れ、その他は前後の隙間に入れることも可能。

この「内蔵巾着袋設置」の構造に関しては、今まで「何とか安全性を確保したい」ということがやっと実現できたものになったと思っております。

巾着タイプのバッグはどうしても隙間が出来てしまいます。

メインの入り口を絞るということが限界だったことをそこそこで諦め、内部で守るということへ発想を転じた変遷があります。

あとがき

ボア生地の難しさで工夫するべき点が多くありましたが、出来上がってみるととても素敵になるようです。

かわいいバッグを作りたい場合は、大変お勧めの素材だと思います。

このパイルボアは、希少な「日本製」であったことも特徴。

その季節の生地の出始めに一気に売れていくようですので、早めに目を付けると日本製が見つかることもあると思います。

大半は、ボア生地に関しては「中国製」の現在です。

この度のこの素材は、毛混ではなく、アクリル/100%なので真冬のみではなくキルトもかけてありますし、その周辺の季節も延長して、主に「秋・冬」としてお使いいただけると思います。

素材が横に伸び広がる性質をよく心得ながら、うまくボアの素材をバッグ製作に取り入れてみてくださいませ(^-^)。