1点物バッグ製作者の生きがい、表地と裏地のまたとないコーデをじっくりと創造する時間を惜しみなく過ごすこと【33】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

生地を選び生地の表地と裏地の組み合わせを考える時間、ハンドメイドバッグ製作者にとって至福の時です。

バッグが完成する前の、柄が広々と配された美しさを100%で感じ取れる段階なのです。

この生地のままの美しさをいかにして完成品(バッグ)に継承できるのかということを意識するようになりました。

良き完成品にならなかった場合は、最初の段階の素敵さを仇にしてしまったと思うことがあります。

このたびは、現時点での製作予定の生地を複数ご紹介しながら、グループに分類して、より生地の性質や存在を大きく見てみる回としたいと思います。

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.08.11からおよそ5年半後の2025.02.02にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

ここに登場のすべての生地は、その後の製作でバッグに作られていきました。

多くが失敗を伴った未熟な期間だと今思えばそう振り返ることができますが、どれも2019年でしか出会えなかった貴重な生地、ほとんどが2025年では見つけることができません。

では、ピクチャレスクの視点で分類をしながらご紹介してまいりたいと思います。

すべての生地に、細かな混率や原産国の情報がありますので、そういった点にもご注目いただければと思います。

たとえ無地でも織柄やミックスカラーを選択、「ジャガード」「マルチカラー」がキーワードのハンドメイドバッグ生地集め

ヨーロッパ製のジャガード生地6点:ジャガードにも様々な種類があり、それぞれの立体感の表現があります。

左上から時計回りに詳細を記載します↓。

インテリアジャカード(うろこ柄)、綿/100%、トルコ製

②ジャガード(暖色系大花柄)、綿/55%、ナイロン/45%、イタリア製。

③ジャガード(黒xゴールド薔薇柄)、ビスコース/70%、ポリエステル/30%、イタリア製

④風通ジャガード(グリーン系ボタニカル柄)、ポリエステル/75%、絹/22%、ナイロン/11%(全体で100にならないため、生地屋様の記載間違いだと思われます)、イタリア製。

⑤ジャガード(シルバーグレーxピンク丸花柄)、ポリエステル/100%、イタリア製

インテリアジャカード(原色系花柄)、綿/100%。スペイン製

日本製のプリント花柄生地6点:曖昧な色こそ「手間」が入っていて高級で優れた生地だと見ることができます。

①ちりめんジャガード(グレーxエンジxモカ花柄)、ポリエステル/100%、日本製。

②つむぎシルクプリント(黒地xブルーグレー小花柄)、絹/100%、日本製。

③エスパンディーニットプリント(白地赤小花柄)、ポリエステル/100%、日本製。

④スエードプリント(濃ピンクx黄緑薔薇柄)、ポリエステル/100%、日本製。

⑤サッカープリント(黒地xセピア薔薇柄)、綿/100%、日本製。

⑥paper printed(ライトグリーン地xマルチフラワー柄)、ポリエステル/100%、日本製。

ネイティブ柄の生地2点:抽象的な模様がかえって落ち着いた感じに映ります。幾何柄のような柄も含みます。

左から順です。

①ジャガード(インディゴ)、綿/100%、日本製。

②バティック(ピンクxグリーンx黒マルチカラー)、綿/100%、タイ製。

柄の外枠が必ずゴールドの線で囲われたこの作りは、「バティック:ろうけつ染め」の特徴です。

ボタニカルテイストの草木柄生地x2点:フローラルとは違ったかっこよさがあり、お花よりもクセが無いのでは。

左から順に行きます。

①インテリアジャガード:フィーユ(カーキグリーン)、ポリエステル/100%、日本製。

②ジャガードプリント(カーキグリーンxオレンジ)、ポリエステル/100%、日本製

無地ライク生地x5点:無地と謳われながらも織柄が出ていたりミックス感がある糸のカラーの織り交ぜが美しい。

左上から時計回りにまいります↓。

①フクレジャガード(黒)、綿/97%、ポリウレタン/3%、日本製。

②塩縮プリント(黒)、綿/100%、日本製。

③パイルニット(カーキグリーン系ミックス)、綿/100%、日本製。

④合繊無地(キャメルベージュ)、ポリエステル/100%、日本製。

⑤クリスティーヌ(ゴールド)、ポリエステル/60%、メタル/40%、日本製。

裏地に色違いで何度も使わせていただいた万能生地:ジャガード(まだら柄)、ポリエステル/100%、日本製。

あとがき

生地の状態の時にも画像や動画でできるだけユーザー様にもお伝えするようにはしていますが、生地の状態をじかに味わうことはバッグの製作者しかできないこと。

十分に眺めイメージしながら楽しませていただく部分は作り手としては必要な時間であり、バッグを作る者にとって大切なことです。

そうして、味わわせていただいた良き心地と引き換えに、良質で素敵なバッグを全力で製作していくのでございます(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

<糸の色選び>1点物を丁寧に仕立て上げる製作スタイル、すべてのカラーをカバーする糸コレクション【32】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグが出来上がるために必ず必要なのは、生地と縫い糸。

この2種のみでも成り立つバッグ製作ですが、強度を高め機能を高めるためには「副資材」が複数に渡るのが自然です。

ミシン糸は、毎回使用させていただくメインの「副資材」、常に重視しています。

ハンドメイドバッグ道を歩み始めた2007年当初は50-60番でしたが、2018年で30番に徹底しました。

主にスパン糸とテトロン糸に分かれますが、個人的好みはテトロン糸。

とはいえ、生地との相性もありますので、両方を持ち合わせるというスタイルです。

バッグ用の30番糸カラーを豊富に持ち備えていたおかげで分かる、糸の濃淡やトーン別の映り方の違い

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.08.03からおよそ5年半後の2025.02.01にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

2018年では全50コーン程であった数が2025年現在では136コーンに増加。

マルチカラー生地や複雑な織り糸が絡むジャガードの利用が多く、すべてのカラーに対応できるようにとあらかじめミシン糸を大箱いっぱいにストック↓。

2019年当時の糸ストック(すべて30番):ざっと50コーン程度。この時はまだ大箱+αで何とか収納できました。

その後は製作の広がりとともに糸の量も増え、専用チェストに収納することに↓。

2025年現在の糸ストック(すべて30番):136コーンに増えました。購入時にセットで多色を一度に仕入れます。

確かにまだ未使用のカラーもあるのですが、よく使用する色は複数仕入、1コーンあれば十分なレアカラーは1コーンずつ仲間のレアカラーと一緒にお得に仕入、という集め方でここに至ります。

出来るだけ類似の色同士を近くに配置することがポイント、1コーンずつチャック袋(サイズは17cmx12cmの縦長サイズ)に収納。

ある一部のメーカー様のコーンが少しはみ出しますが、9割がた覆うのでむき出しよりも断然効果的。

新規購入の包装袋があればそれでOK。むき出しでは糸同士が擦れ、特にテトロンはぐちゃぐちゃに。。

ここからは類似のカラーの糸を濃淡やトーン違いで複数持つメリットを証明していきます↓。

ベージュカラーの生地に合う糸探し:こうした多色が混合の生地が美しいのでよく取り入れているのです。
候補2色:グレーベージュとキャメルベージュです。離れて見ているとキャメルベージュが合いそうですが。。
上はグレーベージュ糸でステッチした糸目の色、下はキャメルベージュでステッチした糸目の色です。

こうしてじっくりと生地に近づけて比べてみると、本当の相性が見えてくることがあります。

私の選択は、上のグレーベージュです。

わずかながらキャメルベージュは違和感がありました。

しかし、どちらか片方しか持ち合わせていなかったなら何も考えることもなくそれが一番合うのだと思い込んでいたかもしれないのです。

イメージのみでは到底解決できないことを可能にしてくれるのも、比べる対象があるからであり、これこそが多色を持ち備えるメリット。

糸選び失敗例:固定観念で紺ベースだから濃紺を選択のミス。ステッチが汚く、ブルーグレーなど中間色を推奨。

花柄は、ほぼマルチカラーのようなもの。

糸のカラーの選択が難しいのですが、肝心の美しい綺麗な色のお花柄を地の濃紺で合わせた糸がつぶしてしまうのでこんな風にまともに選ぶべきではありません。

後日のブログで、タイトルの頭に<糸の色選び>シリーズとしていくつか例をご紹介してまいります。

あとがき

「在庫は最低限に。。」などというフレーズは表面的、こだわる部分には在庫を持ってでも良き結果になるためのスタイルを選択するのです。

本当のゴールは、素敵なバッグを作ることにあります。

確かに製作は計画的に行うものですが、縫い糸をその都度調達していてはかえって時間とコストのロス。

思い切ったこうしたストック方法は作業がスムーズ、他の事に悩みを集中した方が良いのです。

同じように、接着芯なども考えておりまして1反丸ごと購入というのも悪くありません。

「無駄」と「必要」の判断は表面的な一時的な費用のみならず、長い目で見た効果を見通すと良いと思います。

在庫を持たずして、商品など出来上がらないということ、たとえ外注加工であっても必ずどこかの役割分担を担う者が在庫を抱えているはずです。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

布製ハンドメイドバッグ製作に相応しい芯地の定番はミニマム2種、ニット接着芯とハード薄芯がすべてをカバー【30】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

早速ながら、冒頭からお伝えしたいことがございます。

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.08.01からおよそ5年半後の2025.01.30にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

後で貼りますYouTubeは当時のままであり、3選で定番としてご紹介しています。

実は、その中の「ソフト厚芯」という芯地は近年レア素材となってしまい、2025年現在では調達することができません。

よって、現在は「接着芯」「ハード薄芯」の2種のみでミニマムに続行していますので、年月を経る中で変遷があったのでした。

ただ、2024年に使い切りによる終了をもって廃止の「ソフト厚芯」は、大変融通のある優れた素材でした。

ということで、2025年現在の新しい解釈も交えながら、当時の2019年での利用を3種、「接着芯」「ハード薄芯」「ソフト厚芯」で綴らせていただきたいと思います。

定番2種で十分、「ニット接着芯」は布帛・ニット両方に対応、「ハード薄芯」はキルトシートや重ねて当て芯になる

ハンドメイドバッグ用の芯地:上から斜め右下へ、「ハード薄芯」「接着芯」「ソフト厚芯」です。

真ん中の「接着芯」から順番にご紹介していきます。

ニット接着芯:上の画像やYouTubeでは「織芯」の方だった当時。ニットや弾力性あるナイロンにはニット芯必須。

確かに織芯タイプの良さもあるのですが、ニット接着芯の方を1反持っておけば、どの素材にも関係なく対応できます。

織芯を使っていた時代は、織芯に加えニット芯も別で持っている必要がありました。

織芯は、ハリコシが素晴らしく出る場合もあるというメリットもありますが、やはり条件付きの使用となってしまいます。

ニットや横に伸びるタイプの弾力性を持った織物であるナイロン/100%生地には織芯は不向き、風合いの失敗の原因です。

気泡ができ皺が寄ってしっかりと重ならないという苦い失敗の経験済みなのです。

接着芯使用:生地パーツすべてに全面に貼っています。部分的に貼ることはバッグには効果は無しと判断。
ハード薄芯:一時期「ハード厚芯」の方も使いましたが1mm近くの厚みで重さがありバッグが野暮ったいです。

確かに当て芯の部分で強度を高めたい場合には「ハード厚芯」の方が1枚で役立つのですが、「ハード薄芯」を二重や三重に重ねて対応できますので、わざわざ必要ないという結論です。

ハード薄芯使用:しっかりとさせたい蓋や取っ手の付け根タブに利用。キルトシートにはキルト芯として対応。
ソフト厚芯:これが入手できなくなってしまったウールライクな芯地。バッグの取っ手や支柱に入れてきました。

キルトも、最初はこの「ソフト厚芯」を使っていました。

キルトをかけるとしっかりするのでラインにハリコシが出るのですが、この芯地では自然に映るというメリットがありました。

ソフト厚芯使用:右上の3コマの写真はリュックのショルダーを作る際にまさにこの芯地を内蔵している場面。

ボンドなど必要なくアイロンで折って内蔵しやすいのが、この「ソフト厚芯」の優れた性質だとも言えました。

ただ、もう入手ができない素材、類似品としては、「エンボス加工の不織布」というラッピングの素材。

しかし、そういうことならハード薄芯で良いというところに結果行き着くのです。

現在は、ピクチャレスクは、ソフト厚芯を使わなくても出来上がるデザインだけになっていますので、問題の無い方向に対応していったという経緯があります。

あとがき

一度、通常の生地をキルト芯のように裏面に当ててダイヤキルトシートを製作したことがあります。

出来上がりは、ハリコシがなくふにゃんとしてしまいまして、貼ったというような感覚が無いほどの効果の無さでした。

そうした試みもしたことで、こうした不織布芯の良いところを改めて発見することになりました。

かつての取っ手の持ち心地がステッチと相まってぷっくりと気持ちが良いという感触が味わえるバッグは難しいということに。。

残念ではあるのですが、材料のおかげでバッグ1つが出来上がるという有難味をこのミニマムな現在の体勢で感じています。

ただ、不思議なもので芯地を2種のみに絞らざるを得なかったタイミングで、デザインが絞られ、1種に対して技術も高まっていったのも事実。

本来、材料のみに依存するのも良くないのであり、その後の製作の存続はバッグの製造者が生み出す付加価値が大きく占めていないと難しいのだと考えます。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

バッグの主な素材①本革レザー②フェイクレザー③布、購入時にまだ起こってもいない遠い将来の状態を想定した確かな判断【177】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

バッグの素材を、メジャーな3種の素材で大別しますと、①本革レザー②フェイクレザー③布があります。

当「共有型のハンドメイドバッグ」の事業活動で扱う素材は、③布になります。

全体の中の「布」の存在感として見ていく場合には、①や②も研究する必要がありました。

パーフェクトな素材があれば大変良いのですが、どの素材もそれぞれメリットとデメリットを持ち合わせているものなのです。

当ブログ記事は、最初の投稿が2018.10.23。

ここからおよそ6年半後の2025.06.28にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

バッグというアイテム自体はこれまでも、そしてこれからもこの3次元の世界では存在し続けていくものなのではないかと考えます。

3次元が物体で成り立っている以上、物品が存在するわけで、入れ物も必要だからです。

このたびは、バッグの基本的な素材の特徴を見ながら、過去のハイブランドバッグの見せかけの素敵さの「つけ」が現れた姿をリフォームした記録をお伝えします。

そして、最後にこの先の未来に相応しいバッグ製作スタイルの考えをまとめたいと思います。

バッグの製造者はその寿命までを見届ける責任があるのではないか、合皮の劣化から考える素材のアイテムへの落とし込み

まずは、本革レザーとフェイクレザーの見かけの違いを見てみます↓。

違い:本革レザーはきめが細かくいびつながら味わい深く、フェイクレザーは整っていますが味気ないと言えます。

天然素材というのは、天然石でも同じことで、いびつであり均一的ではない姿こそが天然の証拠。

天然皮革である本革レザーも同じで、フェイクレザーとの違いを見分ける際に、このいびつな皺の出方に生々しさを感じるということになります。

あえて、後ろに「レザー」という呼び名を付けて、同じレザーでも全く別物である本革とフェイクの違いを際立たせることを心掛けています。

バッグに使用される主な素材3種:上の本革レザーとフェイクレザーに布が加わります。
素材別のメリットとデメリット表:どれも完璧な素材は無いということがここで分かります。

では、続きまして過去のリフォーム記録をお伝えしていきます。

本来リフォームなどしなくてもよい丈夫で長持ちの作りをされるべきなのに、特に高額なハイブランドバッグで顕著に経年劣化が起こっていることに憤りを感じます↓。

内貼り劣化①:表側は素晴らしい素材と素晴らしいデザインで成り立つ内側は、経年で隠しきれない劣化が突出。

左下の写真は決して柄ではありません、内貼りの合皮素材の劣化(剥がれ)で基布の白い布地が見えているのです。

およそ、30年程でこうした状態になったと見ています。

内袋を新たに布で製作して、入り口を縫い閉じ直した自主リフォームをしたのです。

内貼り劣化②:上のバッグと同じように内貼りを外し、黒の布に入れ替えをしました。内貼りを外すのも大変。
型紙の自作による内袋製作:入口にカーブがあり、しっかりと型紙を作って設置。
自主リフォームの完成(黒の裏地付け):なんとか仕上げましたが、下手過ぎて心地が満たされませんでした。
ポケット外しのみのリフォーム:ポケットだけがネタついて劣化、外すという作業だけのリフォームで解決。
取っ手の交換のみのリフォーム:取っ手が合皮でボロボロに劣化。本体生地は一重仕立ての布製。

あとがき

結局のところ、リフォームしたバッグもその後手放してしまいました。

元の優れたお仕立てには到底かなわない、やはりこうした作業は専門の技術が必要なのです。

この実態を製造者様は顧みて、後の製作に活かしてくれると思いたいところなのですが、「ビーガンレザー」などと引き続きブランディングを伴った高額な合皮バッグを製造する実態にあきれ返っております。

最後に、ピクチャレスクが出来ることを考えました。

布にある豊富なバラエティー・融通が利く細部の強度の高め方などは、メリットの部分。

布の持ち味とメリットを発見し、お伝えしていく役目を引き受けながら、実際のバッグ製作を通して確かな実証をしてまいりたいと思います(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク