まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
いろんな撥水加工生地があって、撥水加工だけの生地専門にハンドメイドバッグを作っても良さそうだと思ったこともあるほどです。
その多種にわたる撥水加工生地の中でも、王道である「ナイロンオックス」の場合をこのたびの題材として撥水加工生地の表面と裏面のジャッジについてご紹介したいと思います。
撥水加工がしてある生地といっても、「片面撥水」、「両面撥水」などという言葉もあるので、じゃあ手にした生地が両面撥水がちゃんとされているものなのかなどと疑問を持つこともあります。
実際に私も疑問があったので、撥水加工生地の色展開が豊富な生地屋さんに問い合わせたレポートとしてお伝えできそうです。
撥水剤とコーティング剤のコンビで作られたナイロンオックス撥水加工生地
私は今までこちらを表として利用してまいりました。
よく聞く、生地の耳の穴の開け口の向きなどは一切宛てになりません。
その観念は今回は無し、あくまでも自身の目で風合いを見ていくやり方になります。
基本的に生地は、どちらを表面と使用しても良いという生地屋様からのアドバイスもいただいています。
ただ撥水加工生地の場合撥水機能がある方が表である方が当然望ましいですし、それに加えて見栄えの良い方が表である方が腑に落ちます。
実際にご回答いただいたのは、こちらが表で正解とのことです。
では、裏面を見てみます↓。
ただ、このまったりとした感じこそ、撥水剤ではなかろうかと混乱したことがきっかけで、生地屋様に聞くことを決意したわけです。
そして、そのお返事の結果、このねっとりしたものの正体は「コーティング剤」だとのことです。
この生地は、「両面撥水」ではあるのだけれど、表面が「撥水剤」、裏面が「コーティング剤」というタイプの構造の両面撥水であると結論付けられました。
両面撥水と一口に言っても、裏面も表面のような風合いだと、同じ撥水剤が裏面にも施工されている生地もある可能性があります。
また、表面の自然な風合いはいかにも撥水がかかっているという感じではないので、見た目だけでは分かりにくく生地屋様からの表示がとても大切になってきます。
よって片面である場合はどちらが表であるかは結構重要になりますし、場合によっては「片面撥水ならば採用しない」という思い切った決断もあるでしょう。
私見、ナイロンオックスがなぜ好まれるのか、なぜ永久的な素材なのか
以前、ナイロンの生地で作られたバッグが粉がふいていたのを見たことがあります。
昔のお品でビンテージだったかと思います。
今回のナイロンオックスの裏面のコーティングなどは、その成分は、合成樹脂で行われているかと思いますので、いわゆるPVCなどの劣化するタイプの素材に似た部分があると思っています。
そうすると、裏面は、30年後はどうなるんだろうということです。
ナイロンも丈夫とは言え、布です。30年も持つのはかなりの長持ちということになります。
しかし、製造する時には30年先も使えるものとして当然私はバッグを作っていきますので、素材の劣化に関しては重要なキーポイントです。
そのため、早いうちに劣化するであろう、PVCコーティング、ビニールコーティングなどは材料としては使わないようにしています。
今回のナイロンオックスであると、摩擦や擦れによって、経年により撥水機能は薄れると思われますが、その表面の様相は変わらない美しさは保たれると見ています。
ただ裏面に関しては経年の湿気などで空気に触れているとそのままではないような予想です。
とは言え、製造する時には、裏面はほとんどすべてが裏に隠れてしまいますので、裏面を表に見せる作りをしなければ、空気に触れにくい場所へそのコーティングがたたずみ、30年先に大変なことにはなることは起こりにくいと思っています。
だから、「永久的」な素材であるとも言えそうですが、「絶対的な永久」ではないとも言えそうです。
しかし、PVCや合皮などに比べたら比べ物にならないくらい長くそのままの状態を保っていくでしょう。
撥水機能のある素材だけで比べた時にはナイロンオックス撥水加工のこの旅の生地ダントツだと思います。
こんなところも好まれる1つの性質だと思いました。
あとがき
少し話が逸れますが、別の生地屋様ともお電話でお話したことがあります。
私の問い合わせにお電話をくださったのです。
その生地屋様はたまたま多くのナイロン撥水の生地を倉庫に持っておられました。
そして、私はとても究極なことをお聞きしたのです。
「撥水の機能の仕方を知りたい。片面撥水の場合、表から水が浸み込むにあたって、撥水がかかっている方を表面にすることと、撥水がかかっている方を裏面にすることの水の浸み込み方の違いはあるのか」という質問です。
答えは、「分からない、実験してみないと分からないことである」とのことでした。
随分ややこしいことを聞いてしまいましたが、疑問は疑問でした(^_^;)。
大雨を想定した場合、とりあえずは両面がベストだと思います。
それでも縫い目の隙間からお水は入ってくることはありますので、縫い目のミリ数とか、隙間の多い縫いを緻密にする検討なども工夫の1つになるかと思います。
とにかく撥水も奥が深いようです。
どのくらいの効果で良いのかということによって、わざわざPVCが貼られているものを選ばずともほんの気持ち程度の撥水で十分なこともあります。
それよりもおしゃれな生地の風合いが永久に残った方が良いという考え方もできます。
そういう広い見方をするためには、今回のような撥水生地の構造を知っていることも何か1つのヒントになるかもしれないですね(^-^)。