まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
とっても素敵なスカートなのに、ウエストが小さいせいであきらめざるを得ないと思う状況という経験をされたことがあるかと思います。
今回は、そんな時、ある条件によっては、はけるようになるかもしれないという夢あるリフォームのお話です。
小さいウエストがリフォームではけるようになる条件とは?
とてもうれしい夢のあるお話ですが、その夢を現実にするためには条件があります。
何もウエストなど気にせずに、気に入ったスカートがすっぽりはければよいのですが、特に今回お直しすることになりますタイトスカートなんかは、ウエストが小さすぎるのはもちろんのこと、大きすぎても、かっこよくないものです。
ちょうど体にフィットする感じの履き心地が一番カッコイイのです。
ということで、小さすぎるウエスト60cmほどの細いタイトスカートを今回はピックアッップしました。

なんとクリスチャンディオール♪。
古き良き味わいのデザイナーズブランドが好きで、ハイブランドの古着を探しては着ています。
このタイトスカートもなかなか凝っていて、ダーツの部分とタックの部分に分かれているという面白い作りです。
タックの部分というのは、前にポケットがあり、そのポケットの延長のデザインを兼ねて、タク型になったラインが自然です。
そして、さらに、前の左右共に、タックが、そして、後側には、ダーツが、左2つずつの計4本。
このように、非常にダーツやタックを多く使って、全体に立体感を出しているデザインであると言えます。
さて、このダーツが、まず1つ目のポイントです。
ウエストは60cmしかない細身の状態ですが、これだけたくさんのダーツやタックがあるということは、それをほどけば、広がるのです。
となると、この数の豊富さは、かなり夢が詰まっているスカートだということになります。
通常、どのタイトスカートもダーツは、1つまみ、1.5cmほどが目安です。1つまみで1.5cm分ということは、倍なのですから、3cm分が1か所において広げられると考えてよいです。
今回の場合は、すべて、ダーツを排除してしまうとウエストが広がりすぎますから、一部分残します。
ダーツは、残したい分量を選択できるというすばらしい環境があるわけです。
そして、2点目のポイントとなりますが、ヒップも調べる必要があります。
せっかく、ウエストは小さくできても、ヒップが小さければ、バランスが悪く、結局窮屈なままです。
このタイトスカートは好条件でした。ヒップもウエスト60cmのヒップにしては、意外な88cmほどもあったのです。

ヒップは通常L相当の履き心地である88cmありました。
このヒップがゆとりがあったことも、大変好条件となりました。
なので、そもそも、ウエストの細すぎるタイトスカートをお直しするために目を付ける点は、①タックやダーツが多めであること、②ヒップもかなりゆとりがあること、この2点の条件がそろうと、お直しが成功してかっこよくはける可能性が高いということです。
残すダーツの選択
ところで、先ほど、全部のタックやダーツを取ってしまったら、ウエストが広がりすぎるということを書きました。
ダーツは前述のように1か所で3cmも広げられるので、それを左右ですでに6cmも可能です。
ということは、今度は、広げすぎないようにバランスを考えねばなりません。
ちょっと、写真を見てみましょう。

すぐその隣にタックがあります。そして、ダーツが来ます。
まず、前側を見ますね。少し写真が見にくいかもしれません<m(__)m>。
スカートの脇から順に見ていきます。
まず、ポケットが現れます。そして、ポケットの延長のようなデザインで、ポケットの一部として、タックが現れます。
そして、その後、再びタックが現れます。
左右対称なので、反対側も同じことです。
そうすると、このポケットの一部になっているタックを触るとポケットまで形が変わってしまうことになるかと思い、前のポケットのすぐ隣のタックの左右とも残すことに決めました。
そうすると、消去法で、前側のタックを左右まずは、取ることになります。
次は、後側を見てみましょうか。

後ろ側は、タックはありません。
2本ずつのダーツが左右に対象に入っています。
今回考えた結果、お尻の一番高い位置に近いダーツを残し、脇に近い方左右を取るということにしました。
ということで、全体で、4個取るという作業をしました。
調整して縫い直した後のダーツを見てみる
作業の場面は省略してしまい、写真がございません<m(__)m>。
前面のポケット部分でない左右のタックの2か所と、後面のダーツの外側左右2箇所の合計4箇所。
リッパーで丁寧に縫いをほついて、つまみ直して同じように縫い直しです。
上述のように、つまみ分量は1/2で全体の長さが2倍変わるという対称の構造ですので注意です。
ウエストの横ラインの裏地の縫い付けは、全部ほどいたわけではないので、残してあるところはその上から、再びダーツを取った部分は当然ほどけていますから、きちんともとの縫い線跡にできるだけ沿って縫い直します。

ウエストを広げることで不足するベルトパーツの追加方法
さて、地縫いが終わると、あとはベルトです。ここで1点難関がおとずれます。
ベルトパーツはもとのままでは足りません。
よって、同じような生地を丸ごと探す必要があるのです。
もしくは、類似の生地やストライプ柄と同じ無地です。
そっくりさんの生地を探したのですが、ぴったりはなかなか見つからないものであることを知ります。
この季節ヒッコリーストライプはたくさん生地も出回るようで、確かにたくさんあったのですが、この柄と全く同じとなると、ぴったりがありませんでした。
微妙に色が違ったり、柄の大きさが違ったりで、結局のところぴったり一致のそっくりさんは見つからなかったのです。
それで、類似という妥協案にたどり着きます。
どの基準を大事にするかを考えました。柄基準なのか、色基準なのか。。。
意外に、合わせてみると、柄は大きさが違うことよりも、色が違う方がはるかに違和感がありました。
ということで、見つけたそっくりさんは、ストライプは極細なんだけど、色目がぴたっと合った生地。
不思議と柄の大きさが違ってもあまり違和感は感じないので、これでOKとしました。
その選んだ生地が、こちらです。

同じ大きさの柄で色のトーンが違うものは、逆に違和感がありました。
そして、中のベルト芯も継ぎ足すのですが、よくバッグ作りに私が使っているハード薄芯を継ぎ足しました。

本体は極細のヒッコリーストライプ生地でつなげて、アイロンで割り、
開いた部分を内側に隠れるような位置でくるみ込み、ミシンで縫い付けて閉じます。
そして、出来上がったつなぎ目が、これです。

こうして、ウエストが最終的に70cmとなりました。完成です。
タック部分が前に残り、ダーツが後ろ部分に残り、デザインを完全にはくずさずに、活かしたままのお直しができたのです。
あとがき
今回このような大胆な60cm→70cmというウエストのリフォームができたのも、もともとのデザインや作りに助けられての成功です。
ということは、そもそも、品物をチョイスする時点で、目の付け所を、ダーツとか、ヒップに置き、そのうえで購入するというところのその最初の時点こそ重要です。
ハイブランドのような高級な定価であった古着は、お直しもしやすい作りであるものも多いです。生地を贅沢に使っていて、ゆとりも多い点も高級である内容の証であったりします。
逆に安いお品物は、コストを抑えるために、最小限のことしかしていないことが多いです。
そうしますと、お直しもしにくくてどうにもならないことがあり、結局は、コスパが悪いことになるかもしれません。
こんなところもご参考になればと(^-^)。
