雨対策ができる素材に関する疑問をクリアにしていきたい、①PVCとはどんな見た目か②合成皮革と人工皮革の違い③はっ水加工は劣化するのかの解明【179】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

本革(ほんがわ)がとても好きな私は、フェイクレザーの部類である、合成皮革とか人工皮革というものはどうも見劣りするように思えてほとんど手を付けません。

ただ、今まで一度だけ、「雨の日シリーズ」というハンドメイドリュックの製作を企画をした時に、雨をしのぐ役割というものが、本革には十分に兼ね備えていない性質だったので、合皮やPVCに活躍してもらいました。

この経験は大変貴重でした。

はなっから取り扱わないと決めつけずに、一度作ってみて自分でその思うところを感じてみました。

結果、雨の日に限って言えば、合皮やPVCはいずれ劣化すると分かってはいても、大変な優れものなのです。

こんな風に思えたのも実際に生地を手にして、製作してみたからです。

そして意外なのは、なかなか良い出来栄えになることです。

何かふんわりとした立体感があるのです。

これはPVCの風合いというか性質のたまもの。あながちPVCが必ずしも劣化の性質を持った100%悪い素材であるとは言い切れません。

とは言え、PVC混入の素材は、生地を空気に触れさせた瞬間から劣化が始まりますので、そんなリスクを伴う製作でした。

ただ、PVCも3年くらいまではほぼそのままだと思います。

その後からが10年までの間に徐々にひび割れたりしていくのです。

PVCだけでできているバッグの発見と合皮(合成皮革)に組み込まれることが多いPVCの存在について

私自信もこれまでそうだったのですけれど、何か本革以外の物をやたら、PVCだと呼んでしまったり、「PVC等の合皮類」と明らかに混同してしまった使い方をした時もあったかと思います(^_^;)。

今回、私はそのあたりをきちんとひも解こうと、YouTube発信の中のお話に備えて準備した調べによって区別をしっかりすることに努めました。

まず、PVCと合皮の違いという点は、その違いということをテーマにすること自体少しおかしなことなのかもしれません。

違うも何も、そもそも作りが違うのです。

分かりやすく、PVCだけでできたバッグと合皮でできたバッグという比べ方にしてみましょう。

PVCというのは、「ポリ塩化ビニール」を英語で表記した頭文字です。

見かけから分かりやすく言うところの、ビニールのような透け気味な素材です。

子供用のプールの時の透明っぽいバッグなどがそれにあたります。

あれは、純粋にPVC製と言ってよいです。

見かけが透明っぽくて分かりやすい様相をしています、こんな風に↓。。

「ダイソー」様で見つけた、材質が「塩化ビニール樹脂」と記載の、いわゆるポリ塩化ビニール製の透明バッグ。

タイトルの、「①PVCとはどんな見た目か」の答えがこのお写真で正解です↑。

これがまさに子供のプールバッグの素材に一致します。

これはこれで手にしてみるとかわいくてさわやかな雰囲気があります。

今この時点で将来何年後かにこれがバリバリに劣化するなどとは想像もつきませんね。

一方、合皮というのは、基布(きふ)という土台の生地があって、その上に合成樹脂と呼ばれるプラスチック系の薬のようなものを塗布してある作り、つまり2種の素材の合体の2重構造が合皮です。

混同しやすいのは、この二重構造の上に塗る合成樹脂が、ポリウレタンの時もあるし、前述のPVCである時も。。

その点が混同の原因かもしれません。

PVCを使った合皮というものも、ついでにPVCだ、と呼んでしまっているのが現実のようです。

しかし、構造をしっかり把握すると、ただのPVCだけでできているわけではないことが、裏返した時の基布が存在するのを見たときにそれが証明されるのです。

そう考えると、世の中の大半の素材は合皮の方が多いということではないでしょうか。

むしろPVCだけでできた子供のプールバッグのような素材はレアです。

ある一定の箇所には多く存在するのかもしれないし、ニーズもあるのかもしれませんが、全体で見てみると、はるかに合皮の2重構造の作りの生地の方が多いと言えます。

合成皮革と人口皮革の違いはどこにあるのか

次は、合皮と人皮の違いをやってみます。

これは、上述の2重構造が理解できていれば、簡単です。

二重構造の基布が、織物か不織布か、それだけです。

基布が織物の綿などの場合は、「合成皮革」、基布が不織布の場合は「人工皮革」というように、基布の違いで呼び名が変わるだけです。

ということで、タイトルの「②合成皮革と人工皮革の違い」の答えが以上です。

それにしても、「皮革」という言葉を使っているにもかかわらず、ちっとも本革レザーが登場することがありません。

これも紛らわしい呼び名のままでいることがいろんな混同を招く原因だと思っています。

合皮の基布の上にのる物質は必ずしもPVCだけではない、バラエティーに富むものであること

さて、合皮の例で基布の上にある物質がPVCの場合はこれも合皮の種類の1つであるということをお話しました。

これが、PVCではない場合もあります。ポリウレタンだったり、私達が知らないような名前のコーティング剤だったりすることがあるようです。

ハンドメイドリュックの製作企画<雨の日シリーズ>の時の写真をまとめました↓。

まず、この中で最初の合皮のお話で例に挙げた、基布の上にPVCがのった状態の2重構造でできたPVC混の合皮というのが、上の2点です。

左の椿柄は、基布が綿/100%、そこにPVCが付着させてあります。

偶然にもこの同じ生地で基布だけの綿/100%も入手していたので、写真でその違いを見てみましょう。

綿/100%。この格子状の節の織り目からは、ブッチャーかクラッシュあたりかと考えます。
ツヤがなくて、生地そのまんまです。布だけなので雨を通してしまいます。
上の生地と全く同じ生地を基布にPVCが上に付着してある生地。
ツヤが出ています。これは雨を通しません。その代わり劣化が起こってきます。

ここでお伝えしておきたいのは、基布とペアになったPVCは劣化しますが、なにしろ、基布にぺったりくっついた構造になっているため、この劣化のネタ付きなどの影響が綿/100%にも及びます。

こうして組み合わせた瞬間から、綿/100%の運命も劣化に巻き添えをくらう運命なのです。

よくブランド物の高級バッグのビンテージ物の内貼りに合皮が使われていて劣化している話が飛び交います。

あれもこれと全く同じ構造。基布が綿か何かの素材でその上にPVCかまたそれ以外の劣化するタイプの合成樹脂のたぐいを付着させているので、何十年後かにボロボロになる姿です。

お直しのために私も自分でその部分を取り出したことがありましたが、基布の存在はいずこへ。。というほど上にのっかっていた樹脂の影響を受けて、とんでもないことになっていましたので、それほど影響力のある物質なのですね。

これは一流ブランドバッグの内貼りです。
合皮の上にのっているなんらかの合成樹脂類の物質が経年劣化して、剥がれ落ちてきている様子。

この状態でバッグのモデルから推測のこと、30年程経過しています。

おそらく劣化し始めはもっと前の10-20年くらいから始まっていたことでしょう。

じゃあなぜ、一流ブランド様がこんなことになることを予測もできずにこういう材料を使ってバッグを作ったのか。

最初は、布よりも本革に類似にすることと内側の原価削減で、ただ高級感を出したいためだと思っていました。

けれどよくよく考えるとそれだけではないと思えてきました。

内側を水気の物から守るために防水のような役割を果たす機能としてこの合皮を貼ったのではないか。

そんな風にも思えます。

一流ブランド様であれば、本革を内側にも貼れば良いわけです。

ただ、本革だと水気を浸透してしまい大切な小間物が濡れてしまうから、水に強い合皮をチョイスしたのではないかと。

もし、私が雨の日シリーズをしていなかったらこうは思わなかったです。

革に似た高級感をコストの安い合皮で対応させたとしか考えなかったと思います。

それだけ、合皮には、たとえ数年であっても少なくとも劣化する手前までは防水級の役割があるわけです。

その点は、他の本革や布が太刀打ちできないほどの素晴らしいメリットなのです。

今一度、雨の日シリーズのバッグに戻りますね。

この中で、PVCでないものがのっている合皮が、下の真ん中リボンのリュックです。

これは、「ストライプコーティング」という名前の生地で、基布が綿/100%。

ただ、綿/100%にしては、つるつるです。

その上に二重構造ということで、何かの物質が付着させてあるのですが、物質の名前まで分かりませんでした。

もしかして、PVCなのかもしれないし、他の物質かもしれません。

名前がコーティングというところが特徴です。

ストライプというのは、元の基布の綿/100%がストライプのヘリンボンみたいな柄だからこの名前だと思われます。

もう少し、具体的な生地屋さんからの説明がほしいところです。

残りの黒の水玉は、ナイロンオックス撥水加工という生地で、ナイロン/100%。

私の調べによると、まだ完全に把握はできていない段階ではあるのですが、はっ水加工という名のついたものは、基布のナイロンオックスの上に「フッ素かシリコン」あたりがのったものだとのこと。

フッ素はフライパンでも見られるような、何か途中で使いこむとびらびらとめくれてきて剥がれ落ちる現象が印象的ですね。

そういったことがこのナイロンオックスでは起きたのを見たことがないので、私が思うに、シリコンなのかなあと考えています。

調べによるとシリコンであれば、ほぼ劣化が起こらないとのことなんです。

昔から持っているナイロンのバッグで撥水がかかっていると思われるものも劣化など起こったことが無いですので、これは貴重な構造です。

劣化などわざわざ見たくないし希望しませんものね。

なので、ナイロンオックスのはっ水加工というのは、雨をしのぎつつ、劣化自体も起こらない優れもの。。と、ちょっと待った!。

1つデメリットがあるんです。

はっ水加工という名の付く加工は、最大のデメリットがあるのです。

それは、摩擦によって目には映らないところで加工部分がはがれて、機能を失う日が来るというもの。

これもアイロンをかけることでその熱である程度戻りはすると言われているものの、完全には復活できません。

よって水をしのぐ撥水の威力が限りあるものであるということなんです。

しかし、ナイロン自体がもともと撥水の効果も持ち備えた生地であることから、この寿命を受け入れれば、遠い将来は撥水の効果のないただのナイロンの生地ということを受け入れて使っていくことができます。

もしくは、別で撥水スプレーを自分で施工するということも可能。

劣化したPVC混の合皮などは、使っていくことができなくなるので、それと比べたらずっと持ちたいバッグであればこの方が良いのかなと思うのです。

さて、一番右下の薔薇柄の黒は、ただの綿/100%のサッカー生地に私が強力撥水剤(セラミック入り)の「ceramic pro textile:セラミックプロテキスタイル」というカー用品の車のシートなどの目的のものを塗布したもの。

ものすごい威力の撥水効果が実験で出ました。

ただ、高価なスプレーであること(¥7,000/300ml程度)と、生地によってはすごい量を施工せねば効果が出ないことがあります。

このサッカーという生地もでこぼこしていますので、じょうろで水をシャーッとかけて玉のようにはじくところまで、300mlの1本とさらにもう1本の途中まで使用しました。

そこまでしてでも撥水したい場合は、お気に入りの生地であれば、可能であることの証明を一応したわけです。

人それぞれ価値観がありますので、こうまでしてでも雨もしのぎたいという場合もあるでしょう。

この撥水剤は、たまに使うリュックなら、1年はゆうに撥水威力は保てるかと思います。

ただ、コスパに問題があり(もったいない)、あまり現実的ではないのです。

あとがき

そもそもなのですが、「皮革」というレザー風な言葉を使いながら全く「本革レザー」が使われていないことに驚かれると思います。

知識をある程度持っていないとこの言葉に翻弄されて勘違いして不確かなバッグを購入してしまうことがあります。

このように、合皮というものの構造を知っておくのは、今後の希望のバッグ選びに大いに役立てていただけることかと思います。

私の意見としましては、ここまでいろいろ雨の日用の製作をしてきてなんなのですが、劣化すると分かったものをわざわざ持つこと自体、作ること自体をためらいます。

劣化するのかしないのかに焦点を当てたならば、「本革と布のどちらか」の中でバッグを選びたいのです。

ただ、本革にも一部ポケットなどに合皮が使われていると劣化する部分があるということですから、全体の価格から見たときに、本当にそのお品を購入するべきかどうかを判断することになります。

とにかく、このような性質をあらかじめ知っておくことが、今後きちんと自分の考え方を持ってお買い物をしていく中で一助となればと思います(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

あのいつもの親しみある日用品がリュックになったら。。を実現したふんわりかわいいタオルリュック【178】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ここ数日<タオルシリーズ>としてタオルの素材に特化したリュックの製作をしています。

同じタオル素材とは言え、ちょっとした織り方、混率、色の違いから同じデザインながら少しテイストの違いを出していくというもの。

デザインは、「簡易リュック」。

【176】の記事でも触れたのですが、タオル地にこだわったバッグというのを製作し続けるというのもエッジが効いています。

無地のタオルのシンプルさを裏地に柄を配して華やかさのバランスを取るのも工夫の1つ。

このデザインには一番向いた素材だけを当てはめるというような拘りによって、製造者側のモットーとしている「軸」をお伝えすることができるのです。

そう思えたのも、バッグをご購入していただいた経験からのヒントであったり、インスタグラムでのアップ時のコメントであったりという、とてつもない人数の中からのごく一部のありがたく貴重なご意見やお客様があってのこと。

なので、これまでいろいろなデザインをいろいろな素材で製作してきた中で、そこから得た独自の製作らしいテイストに絞っていくタイミングの時なのかもしれません。

タオルがそのままリュックになる喜び、パイル地の気持ちよさと雰囲気

今回のパイル地のタオルはクリームベージュがメインです。

配色使いも同じパイル地で迷彩柄のような色のカーキグリーンミックスです。

左上から、反時計回りに、表地(タオル地)、配色(パイル地ニット)、裏地(楊柳)です。
<表地:ベージュ>ベビータオル、綿/100%、日本製。
<配色:カーキ>パイルニット、綿/100%、日本製。
<裏地:ベージュ>楊柳無地、綿/100%、日本製。

今回は、配色生地を入口フラップとショルダーに使うという配色使いをしました。

ショルダーは幾重にも折り込みをしますので、今回のパイルニットのカーキグリーンは、厚みが結構あるモフモフしたものになりました。

「簡易リュック」:表側。サイズ27cmx27cmxマチ10cm。
ショルダーの調節機能のないミドルレングスの簡易リュックです。
カーキが差し色になっていますね。

このカーキのように厚みがあって、扱いにくい生地をうまく中側にソフト厚芯も入れ込んで綺麗に仕上げるコツは自分なりに見出しております。

後で貼りますYouTubeを是非(^-^)。

あとがき

【176】の記事でもお話致しましたが、このデザインはもっと工夫する必要がありまして、

物をたくさん入れた時に重みでマジックテープ仕様の入り口タブが外れてしまう点です。

それでも大丈夫なようにと内側に巾着紐を設置してはいますが、まだまだ考慮が足りないということになりました。

別の生地で恐縮ですがこのたびの【178】の制作は、これと同じ仕様になっています。

しかし、もっと入口をしぼり切る工夫として、数年後の2023年には、ここからぐんと仕様を変えました↓。

こちらの方が口の閉まりは確かな頼れるものになります。

当記事も最初のアップが2020.08.10なのですが、そのまるっと3年後の2023.08.11現在リュックをナップサックに変えて巾着として絞る仕様に行き着いています。

よって、この記事の「簡易リュック」は発展前の初期型だと思って見てもらえると良いです。

簡易リュック型のまま行くなら、マジックテープではなく「ヒネリ錠」や「差し込み錠」もありますが、穴を開けたり布にカットを入れることに戸惑いを感じてきまして廃止しました。

現在は、特にそういった生地を傷つけるような金具を使わなくても、生地だけで工夫できることがあるというところで考案しています。

それは、「生地を大切に優しく使ってあげる」というサスティナブルの活動の一環となっているのです(^-^)。

タオル地を「夏」だけにとどまらず「オールシーズン」素材として解釈したふんわりリュック【176】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

いよいよお盆が迫ってまいりました。

お盆も過ぎると秋の入り口に。。夏はあっという間なのですね。

タオル地のリュックを夏をきっかけに持ち始めるというタイミングが1つ考えられます。

タオル地は、まずは夏のイメージ。

リュックのショルダーが皮膚に触れたときの心地よさを想像すると夏に快適な触り心地であることが想像できて、やはり最初に持ち始めるきっかけの季節というのは、夏なのかもしれません。

しかし、タオルもループタイプやパイルカットタイプなど種類が分かれていて面白みがありますし、あえて季節感を出さないことで意外なバッグになるかもしれません。

高級感あるタオル地のチョイス、「シャーリングタオル」という生地の利用

今回の生地はブルー色がかわいい「シャーリングタオル」という生地。

そして、裏地にはそのブルーと調和する小花柄プリントのガーゼ。

ふんわりした表地には、ふんわりした裏地を合わせます。

<左:表地>シャーリングタオル、綿/100%、日本製。<右:裏地>ガーゼプリント、綿/100%、日本製。

シャーリングタオルには斜めに筋が入っていまして、厚みがあって高級感もあります。

タオルという名前が付きながらタオルっぽくないところがスタイリッシュです。

合わせる裏地は柄物の方が奥行きが出て、楽しくなるようです。

表地の色が裏地のマルチカラーの柄の中に入っている合わせ方がポイント、柄全体の青味な感じにマッチして相性が良かった組み合わせでした。

出来上がりの角のふんわり感が魅力、すべてのバッグをタオル地で作っても良いというほどの素敵な素材だと気づかされる

思いのほか出来上がりが良かったです。

このシャーリングタオルという生地がとても素敵。

色違いの展開もあるので、すべての色試しても良いと思いました。

例えば赤色などは、このふんわりした色のおかげできつく感じないという印象です。

どの色でもやさしいふんわりしたバッグに出来上がるよう。

「簡易リュック」:<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ10cm。
調整不可の固定ショルダーは丁寧なジグザグステッチ。
夏にノースリーブなどを着用の際には、きっとこのタオル地の一部が皮膚に触れることでしょう。
そして、中を覗けば素敵な小花柄の世界が広がります。中を開けた瞬間の「心地」が得られます。

このタオル地とリュックとの相性が、今回とてもマッチしていると感じました。

シンプルなデザインにめいっぱい広がるモフモフ感あるタオル地の良さが味わえるリュックです。

もしかしたら、タオル地ばかりにこだわったバッグの製作なんてのも思い切った拘りで面白いなどと考えた次第です。

表地のタオル地のカラー展開には限界がありますが、裏地は無限にあるという「半1点物」が実現できそうです。

あとがき

タール地は親しみやすいけれどもレア素材です。

あまり豊富ではなく、ほとんど無地しか見つかりません。

よってそういった生地は裏地の組み合わせとかデザインで面白みを付けていくということが良いと考えています。

ただ、このリュックの留め具のマジックテープは、後に廃止しています。

重い物を入れるとすぐに外れてしまうマジックテープの力は頼りにならないと分かってきました。

この入り口の留め具の工夫が今後の大きな課題です。

黒ベースのマルチカラー花柄のパッチワーク生地の固定ステッチを決して黒糸でやってはいけない、もっと美しくもっとなじむ色が別にある【175】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

はぎれを余すことなく使える手段として、細かいパッチワークにする方法があります。

パッチワークも、細長の短冊状に裁断してハギ合わせるボーダー柄やストライプ柄もありますが、今回は、もっと限られたパーツしか余らなかった場合の市松柄になるパーツです。

ボーダーやストライプがハギ合わせの辺が上下か左右の片方だけのハギになるのに対して、市松柄は四方すべてハギになるので、ハギ合わせのステッチの線が格子状に入ります。

これはもはやマトラッセ柄の生地と同じようなことです。

パッチワークとしてパーツ同士を「機能」としてつなぐだけでなく、その固定ステッチも含めた美しい市松柄がどう美しく目に映るのかを意識することになります。

ステッチでハギ目周辺を固定することの意味と効果

パッチワークする際は、縫い合わせに加えて更にハギ目の両サイドに固定ステッチを入れることにしています。

それが、ハギ目を安定させ丈夫なものにしてくれます。

ところが、今回一筋縄ではいかないことが起こりました。

ステッチが黒く際立ち、めちゃくちゃ汚いのです。

これでは、ステッチをかけたことが逆効果。

美しかったパッチワークの市松柄がくずれてしまいました。

さらにマルチカラーが綺麗なお花の柄を遮ってしまいました。

基本的には、生地の地の色に糸の色を合わせてなじませるステッチで美しくしようとするのですが、黒、紺、焦げ茶などの強い濃い色というのはそういう訳に行かないようなのです。

とりあえず、まずは、その公式に当てはめるかのように、マルチカラーのベースの黒に合わせた黒糸で固定ステッチしてみる様子をお伝えします。

まず、ハギ合わせた縫いのみで何もステッチをしていないデフォルトの状態。
ハギ合わせがぴったりできていると、十字架とか格子状にびしっと線がうまく交わります。

では、ここへ、最初に黒地に沿い①黒糸を使った固定ステッチ②白糸を使った固定ステッチ③黒糸からトーンを落としたグレー色の糸を使った固定吸って地の3つを見比べます。

①黒糸でハギ目の両サイドをステッチを入れた状態。
ステッチを入れたことが逆効果となった美しくない事態でした。
②真逆の色、上段が白糸で下段がピンクの糸でステッチしてみました。
黒よりましですが、厳しい見方をすれば、これも浮きますね。
③①の黒をマイルドにしたグレーでステッチしてみた結果がこれ。
黒糸より柄の中に馴染みます。

ただどれも、せっかくの桜の柄の美しさを何か邪魔する感じがするのですね。

なので、今回思い切った決断をしました、「ステッチは無し」で決定しました。

これが決断でした。ステッチがあることの意味として丈夫に固定することだったのですが、このシートはそもそも小さなポーチ程度の分量だけ。

小さなアイテムは引っ張られたり大きな力が加わることが少ないので、結果長持ちすることが多いように、ステッチを入れずとも大丈夫だろうと判断。

そうして、固定ステッチ無しで3柄共通にで作りました。

最後の赤い地の生地だけは、厚手で緩いと支障があるため、ステッチを入れる必要がどうしてもあると判断。

マルチカラーではないので、他のカラフルな花柄生地のようにはならないのでベースの赤色に合わせた赤糸のステッチでうまくいきました。

パッチワークシート4種の出来上がり

ポーチ用の市松柄のパッチワーク完成。

左下のキャンパス地風な厚手生地のみハギ目の両サイドにステッチを地の色と同色でほどこし、その他3種はステッチ無しです。

先程の例の黒地の桜柄は黒ステッチが汚く見えました。

同じことが、隣の焦げ茶地の椿柄にも起こると考えました。

そして、右下の菊の花柄はピンクがかった白色のステッチをしてみましたが、汚くはないけれど、桜柄で最後に実験してみた③のグレーぐらいのもの。

こういったマルチカラーに、なかなか綺麗にステッチが出ないヒントが感じられたこのたびの実験。

マルチカラーはいろいろな色が入りすぎて、糸1色で対応ということが無理があるのです。

そうすると無難なところであいまいな糸の色のチョイスということで妥協せざるを得ないのです。

だから、マルチカラーはこういったパッチワークは向かない難しい点があるという新たな学びをしました。

ということで、パッチワークの商品を作るなどということはこのマルチカラーに関してはしない方が良いという考え方も持っていると良いです。

あとがき

とは言え、大きい面積のパッチワークをすることの方が多いです。

そこにはやはり固定ステッチをハギ目の両サイドに入れていきたいです。

となると、この度のようなマルチカラーの場合、③の強い黒色からトーンを落としたグレー色でステッチしたという結果が選択する糸の推奨カラーになります。

強い色というのは、黒、紺、茶、モスグリーンなどがが該当します。

これらがベースのマルチカラーなどは、ステッチが汚く映りやすいので、糸のカラーのトーンを落とした薄い方向に寄った色を選択してみることをまずはご検討下さいませ。

小さいパーツのミニミニポーチなどはかえってステッチは無しの方が可愛くふんわり出来上がるということも。。

どうぞ、パッチワーク製作にお役立て下さいませ(^-^)。

デニムと心躍るマルチカラーのはぎれの集結、食欲も高めるポップなランチバッグ【174】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

夏という季節になんだかネオンカラーが合うと思ってしまうのはなぜなんでしょう。

あの明るい色目が、明るい太陽のもとで元気に躍動するみたいなイメージが沸き上がってきます。

このたびは、そのネオンカラー的な色を集めたはぎれが余っていましたので、デニム素材とのコンビでネオンカラーでお花のアップリケをした、お弁当袋を作ってみました。

ネオンカラーはそれとは対照的な濃くて強い色に映える

今回のデニムはネオンカラーの組み合わせのコンビの相手としては申し分ないでしょう。

ネオンカラーはバック(背景)が強くて、暗めの色に映えることでその良さが出ると思います。

そうすると黒はやはり一番最強。

しかし、今回ははぎれ。強い色味で余り布としてあったものが、インディゴデニムの濃紺カラーであったということです。

<表地>インディゴデニム(だいたい10オンス程度かと思われます)、綿/100%、日本製。
濃いめの紺色なのでわりと強めな色目です。
<アップリケ生地4種>イエロー、オレンジ、ピンク、青の4カラーでお花の花びらをアップリケ。

これらのネオンカラーは、ブロードとかローンです。

別布ラッピングの方法

ローンやブロードはよくある生地というイメージですが、こんなネオンカラーはなかなか入手しにくいカラーなので貴重です。

黄色も在庫の最終反だとのこと。

今回は裏地が付かないので縁の始末に関しては一重仕立ての場合悩みます。

そこで、この中のイエローカラーのブロード生地が多めに余っていることから、入り口の縫い代始末、底の縫い代始末を共にこのイエロー生地でラッピングしました。

サイド部分は、三つ折りをしてステッチをかけましたので縫い代始末が表地そのもので可能でした。

まず、巾5cmの長いテープを裁断。長めに裁っておいて最後に余分をカットする方法。
まず、1.5cmの縫い代で本体と中表同士でステッチ。

ちょうどサイドの三つ折り始末が映っていました。

サイドだけならこれが可能でしたが、上下は三つ折りで分厚い所をさらに三つ折りして無理が生じるので、ラッピングの方法が厚くなりすぎずつにさっぱりと仕上がります。

そして、反対側にアイロンでうまくくるみ込んで縫い閉めます。

実はこの後になるのですが、ラッピングが綺麗にできる研究の中では、5cmの巾は縦に4等分にアイロンで織り目を付けた均一の巾を見ながら行うということにしていきました。

そうすると最初の縫い代に沿った1.5cmというのは、1.5cmx4=6cmなので、5cmの巾だと最後の縫いとじが不足するのです。

なんとなく融通利かせてできてしまいましたが、5cm巾ではなく、6cm巾の型紙で裁断することが正解です。

生地に接着芯も貼っておらず柔らかいので融通が利いて何となくできてしまったというのが今回ですが、実は5cm巾は矛盾で、生地幅が不足してうまく綺麗にステッチが隠れるようなラッピングが出来ないと言えます。

また別の記事でこのラッピングの仕方は「正確に綺麗に仕上がるには」というテーマでご紹介したいと思います。

アップリケのお花の形の1つのデザインの考案

8角形の花びらパーツを表面と後ろ面用に2枚ずつ用意。
5cm四方の正方形パーツはデニム生地の裏面を使い、花の中心部分を作ります。
縫い代1cm程を折り込み、縫い代をすべて隠します。
実際にミシンで糸の色を生地に合わせてステッチ。幾何的なお花ですね。

リボンが取っ手代わりになるお弁当袋の完成

あえてもう1点特徴を上げれば、今回のお弁当袋のタイプがリボンタイプであることです。

蝶々結びをしてそのまま取っ手のように持ち上がります。

結構大き目で、サイズは、縦17cmx横23cmxマチ10cmです。
容量は、850mlの容器が2段重ねでらくらく入るほどありました。
このようにしっかりと入り口も閉まります。入口タブの役割も結構なものです。

マチに関しては、入れるお弁当箱の幅とぴったり一致しなくとも、10cm程度で十分だと思いました。

最初15cm程でやってみましたが、15cmともなると縦が短くなってしまい、生地が余分に必要。

どのみち、マチは、本体部分との境界線があいまいなので、10cmにしておけばあとは入れる時に対応してくれます。

15cmというのはマチを見込み過ぎ。野暮ったいフォルムになってしまいます。

それでも、結果的にちょっと失敗だった点は、お花がそもそも大きすぎたこと。

お花の一部が、底部分へ突入してしまいました(^_^;)。

お花がそもそも大きすぎてマチに突入してしまったのが残念な失敗点。
底から見るとよく分かりますね。

あとがき

ネオンカラーはなんとなく元気になれそうな明るい色です。

お弁当袋には気分を良くしてくれる向いたカラーだと思いました。

もともと巾なり10cm程度の長さのみの、少しのパーツに利用しただけのネオンカラーだったのですが、それでも余っていたところを今回コスパ良く使い切りが出来ました。

すべて日本製の生地です。

ネオンカラー、ビタミンカラー、パステルカラー、ビビッドカラーなどカラーの特徴が共通で集まったマルチカラーは印象的です。

いろんなマルチカラーを楽しんで、生地を本当に必要な分少しずつだけをカット代が無料の生地屋様で購入すればコスパの良い素敵なお品が生まれる可能性があります。

今回ははぎれを利用しましたが、あらかじめたくさん購入し過ぎない工夫の1つとしても取り入れてみて下さいませ(^-^)。

魚介類の中ではクセが無い「ほたて」という素材のおいしいごはんへの使い方「ホタテ丼」のご紹介【173】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ここ数年、時短ご飯を工夫するようになりました。

きっかけは「個人事業主」になったということ。

一見自宅でのお仕事なので時間があるからゆっくり作れるイメージかもしれませんがむしろ逆。

ご飯の時間は大切とはいえ、短く無駄なく済ませたいと思うようになりました。

それ以外の時間をお仕事にどっぷり費やしたいのです。

まだまだ修行中の身、できるだけたくさんの時間を事業が実るように使っていきたいのです。

ごはんとの相性も良いからどんぶりに食べやすく考案の「ほたて丼」が生まれたきっかけ

時短を意識する状況の中で、「どんぶり」というのはとても良いなあと思っています。

おいしいし、一度にご飯もおかずも食べられる。

だんだん丼物作りにはまっていきました。

目玉焼き丼、ウインナーxキャベツ丼など自分でアレンジしたレシピがどんどん生まれていきました。

もとは、誰かのどこかのサイトの真似ではありますが、最終的に自分流にアレンジが入ります。

今回は、近所のお弁当屋さん(「ベントマン」様)がアサリxバターの組み合わせでメニューの中に入れておられた丼ものからのヒント。

バターを使った「ほたて丼」というメニューをご紹介します。

ほたてはもともと美味しいですので、誰が作っても失敗はなさそうです。

さらにホタテと相性の良いような緑の野菜のチョイスで個性的に工夫していきます(^-^)。

ホタテ丼レシピ

とりあえず1人分といたしましょう。

三つ葉を用意。「三つ葉の少な目バージョン」1束をそのまま利用します。

ざくざく3cm程の長さに切り分けます。

そして、ホタテx5粒程をバター1包み(8g)で焼きます。

塩、コショウはこの辺りでしてしまいます。

最初中火で焼き目が付いたら、弱火で蒸し焼き。

その時に三つ葉を投入して蒸し焼きに加わります。

そして、蒸し焼きがそろそろ終了後、しょうゆx小1、みりんx小1/2くらいを投入。

そしたら、強火に戻して、汁が少なくなるまで煮立たせます。

そして汁を少し残して火を切ります。

熱いご飯に残った汁をまぶし、ホタテと三つ葉をのせ出来上がり。

お好みで七味やチリパウダーなどをまぶしても良いですね。

バターが無いなら、油でもかまいません。

ほたての出汁は効き目がありますので、バターでなくても大丈夫。

ホタテ丼完成:しじみ味噌汁や納豆、もずく酢と一緒に。。

できるだけ自作することの良さ

今回ホタテ丼のサイドメニューとして、しじみ味噌汁、納豆、もずく酢を付けました。

しじみ味噌汁は私のこだわり。毎週というほど作っています。

しじみは体に良いということから、しじみが売っているときは必ずお味噌汁にします。

お味噌汁以外シジミを使ったレシピなど全く浮かびません(^_^;)、

もずく酢も自分で味を付けます。

もずく酢は既製品はやや味がきついので、自作だともっとあっさりとなり、そこがいい♪。

納豆は大粒をチョイス。

大粒の良さを知ってしまうと、小粒やひきわりタイプが何か物足りない感じに思えてしまう。。

本当の納豆好きは大粒派さんが多いと見ています。

このようにできるだけ自分で手を加えることも意識したいものです。

時短の中でも手をかけるべきところをジャッジしながら全体では自炊的な方向がやはり断然エコノミーだと思います。

あとがき

丼物は忙しく働いていて、ゆっくり料理をする時間のない方にはとても喜ばれるレシピだと思います。

お肉、魚介類と何か野菜を組み合わせるとバランスが良いですし、ボリュームも出てきてより食欲を高められます。

他にもお酒のおつまみなどを考案していますので、知っているメニューはとにかく今後もアウトプットしてまいります。

こちらの<食・健康>のカテゴリーにもお立ち寄りどうぞ(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

プレート組み立て式の作り方のバッグにおける角の歪みを起こさないようにする対策【172】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回製作したバッグは、かつて経理の仕事の外回りで使ってきた経験から考えた使い勝手を追求した、表地も裏地も撥水の効いたブリーフケース型。

内側に小花柄が広がるエレガントな「テリーヌ」と名付けたバッグです。

一度ベージュで製作しましたが、出来はグッド、ご購入もしていただきました<m(__)m>。

ということで、今回は2度目のグレーで製作しました。

その中で、改めて徹底したい重要な部分があり、この記事でお伝えしたいと思います。

外はビジネスライク、内側はお花が広がる別世界のギャップの面白さ

素材の組み合わせにギャップがあり面白味を加えています。

表地がよくあるナイロンのビジネスシーンになじむ生地、裏地にはピンクベースの優しい小花柄がぎっしりのエレガントな生地を組み合わせました。

左-表地:ナイロンオックスはっ水コーティング、ナイロン/100%、日本製。 
右-裏地:コーティングプリント目止め加工、ナイロン/100%、日本製。

とても残念なのが、この裏地の小花柄の生地の展開が2色までしか見つけられていないこと。

もしかしてもっと存在するのかもしれませんが、まだ発見できておりません。

ネットを見ても同じものを見たことがないので貴重です。

そして、この生地の使い方の効果がこちら↓。

ファスナーをオープンすると中にはピンクの小花柄がぎっしりと映えています。
ビジネスシーンに思わず微笑みがこぼれます。

洗濯ばさみでクリップして縫い合わせた結果の失敗と仕付け糸での改善

今回、1度目上手く出来上がったやり方と違うやり方で行ってしまった場面が。。

一番最後の合体です。

このタイプはボストンバッグと同じ。

長いファスナー付きの口布兼マチのロングプレート1枚と前後の本体プレート2枚を縫い合わせて出来上がるのです。

1枚というのは、表地と裏地が中表に合体した板状のパーツ。

その縫い合わせに仕付け糸を使って四つ角部分の位置を合わせなければいけないことを忘れ、洗濯ばさみで何も意識せずに留めるだけでやってしまいました。

その結果、見事にゆがむことに。。

仕付け糸をせずに、洗濯ばさみで留めるだけで縫った結果のゆがみ。
カーブの先端の位置が5mm程度ずれています。

こうして一度は、出来上がらせてしまいましたが、やはり納得できる出来ではありませんでした。

そして、縫い直しをしていきました。

このカーブの真ん中の位置が「並行にそろう」ということが綺麗な安定感あるバッグのフォルムを作ります。

こうして、腑に落ちたところで完成したこのビジネスバッグ「テリーヌ」のグレー。

その後ご購入いただきました、ありがとうございました<m(__)m>。

あとがき

このデザインは、ハンドメイドバッグを作り始めた最初の頃から挑戦してきたデザインです。

決して簡単ではないですが、当時はもっと作りにくい失敗確率の高い製作手法だったので、作るたびに困難を伴いました。

それを作りやすいように改善したのが現在の作り方です。

あらかじめ表地と裏地を中表にひっくり返して縫い代を隠したプレートを縁を縫い合わせながら組み立てていくだけです。

ざっくりと見るとそういった作りなのです。

このデザインに関しては、ナイロン/100%が一番綺麗にできるようです。

ナイロン/100%特有の薄手ながらハリコシが十分にあるという性質がこのきちんとしたシーンで持ちたいデザインにマッチするのだと思っています。

そして、ここからが私の価値観。

数少ないナイロン/100%の無地はビジネスシーンに合った追いついたカラーがそれほど豊富ではありません。

何度か同じカラーをリピートせねばたくさんは作っていけないであろうからと、その点はやむを得ないのですが、裏地をその都度変えて結果1点物ばかりの製作にしていきたいのです。

それなのに、この度のように、撥水の効いた美しい裏地がまだまだ豊富ではないのが現状です。

ナイロン/100%はっ水加工の花柄生地、今後に期待したいです(^-^)、

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

白翡翠のビッグペンダント+シェルピンク透かしフラワーを自作アレンジでエレガントコーデに装う時に統一の共通部分【171】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

天然石の中でも翡翠は価値ある美しいお品であると認められています。

実際手に取ってみてそのサラサラな感触や彫りの美しさにその価値を実感します。

天然石の証として、触ると特有の冷たさがあり、ひんやりと感じる点が本物なのです。

ある時期に、翡翠にはまりました。

特に面積のあるビッグな彫りや透かしが美しいものを中心にコレクション。

ペンダントトップ用に、もしくは飾りのような感じで1か所だけ穴が開いている。

これを自分でペンダントにして身に付けて使えるものにしていくのです。

そんなことを幾度か繰り返すうちに、ペンダントの「バチカン」を丸カンでアレンジするようになりました。

翡翠にキズを付けてしまわないよう、ポンと外れてしまわないためには、丸カンが一番安定するのだという考えにたどり着きます。

今回は、そんな自作アレンジを含めて実現した翡翠のお洋服との馴染ませ方の例をご紹介したいと思います。

翡翠はごつくなりがちですが、工夫をしながらすっきりとさせ、気兼ねなく使いやすいジュエリーにしていきます。

ビッグ翡翠の彫りをロングチェーンのペンダントにして実用的なジュエリーにアレンジ

翡翠は貴重でお宝的な物なので、ついつい骨董品扱いして、愛でるだけのものになってきたと思います。

その翡翠を使えるアクセサリーの方向に工夫して、もっと手触りとか心地よさを身に付けながら感じられるジュエリーらしいものにしたいのです。

そこで、こんなペンダントにアレンジ。

白翡翠のペンダント:そこそこ重いのでバランスよく、太い線径の丈夫なチェーンやバチカンを意識。

どうでしょう。このペンダントなら、ごつ過ぎず、思わず手を伸ばしてみたくなります。

まず翡翠トップの小さな穴にステンレス製の輪をキズを付けないように上手に通します。

翡翠自体に厚みがあり、クッキーのようなイメージです。

そこへバチカンとして丸カンを通すには、通常の既製品のシルバー925タイプなどの限度が直径7-8mm程度。

7-8mmの直径では、穴にはなんとか通っても翡翠にぶつかりキズを付けてしまいます。

そこで、ゆったりと大きな直径の鍵用のステンレス製二重リングを使いました。

二重リングのままでは、これまた、穴へ通す際に翡翠を傷つけてしまいますので、丈夫なペンチで二重を一重へあらかじめアレンジ。

カットする場所をうまく考え、最終的に丸カンとして出来上がるよう、他の部分を1か所だけカットするのです。

ステンレスは強固なのでこのカットが困難で、そこが苦労する点。

良き強靭な道具があればなおよいです。

そうして、クッキーのような厚みのある翡翠にゆとりを持った直径1cm以上の丸カンを通してまずはバチカンが出来上がります。

重みが合っても簡単にはステンレスの輪は開きません。

次に、バチカンがステンレスなので同じステンレス製のチェーンを調達。

翡翠の彫りの柄にリンクするフィガロチェーンがエレガント♪。

ステンレスとかシルバー925はカジュアルに寄りがちですので、透かしデザインのチェーンを選ぶなどチェーンのデザイン面を工夫します。

ビッグ白翡翠のペンダントに合うブレスをハンドメイド

さて、続きがあります。上の白翡翠のペンダントをジュエリー同士でコーデしていきます。

そこで考えたのがブレスレット。

ここでもっとエレガントに飛躍していきます。

ハンドメイド製作したピンクシェルのブレス:間の小さな丸カンは925の縄模様の線形0.76mmx5mm直径のもの。
留め具もシルバー925。天然色のピンクの濃淡がとても美しい透かし花デザインの天然シェルパーツ9枚。

このブレスに関しては製作過程を後で貼りますYouTubeでご視聴いただけます。

まずピンク色の綺麗な桜色がペンダントの白に綺麗にマッチ。

シェル1パーツのお花は透かし彫り。

そしてラウンド型のフラワーというところが最も重要で、ペンダントのそのフォルムにリンクするのです。

こうしたペンダントとブレスの相性の良さは、ハンドメイド部分を導入することで実現できたと言えます。

さらにリングも交えたジュエリーコーデの完成

ホワイト瑪瑙の多面カットリング、透かしのボタニカルな平打ちリングを加えました。
アイテム同士が形や色でリンクしてまとまります。

洋服とのコーデ

翡翠というのは、ややオリエンタルな雰囲気です。

そのままの雰囲気で和風とか、ネイティブ風な装いに付けるのも良いですが、この翡翠をもっとヨーロッパ寄りな雰囲気に作り上げることが新しいアイデア。

そうすると、ブレスのお花モチーフ、ピンクシェルということがかなり影響力を及ぼします。

もともと翡翠に彫られているのは、ドラゴン(龍)と鳳凰。

けれども柄がはっきりわからず混み合っていてかえって抽象的でクセがないのです。

よって、ボタニカルなツタの葉模様などとも相性大丈夫。

そして、また白というのが美しい。

この綺麗な白を活かした洋服のチョイス、考えてみました。

モノトーンの小花柄とかボタニカル柄のワンピース。

とてもアクセサリー達が映えるのではないでしょうか(^-^)。

こんなモノトーン花柄ワンピースに合うイメージです。

あとがき

ジュエリー同士をコーデすることに今後も熱を傾けていきたいです。

とても真剣になり、「生きがい」とさえ感じる瞬間です。

この組み合わせも渾身の悩んだ末のもの。

楽しい悩みという何か矛盾したような感覚ですが、その部分を大切にしています。

翡翠は、現実的には、敬遠されているようなのですが、なぜでしょうか。

あのグリーン色が差し色になりにくいから?、古臭いイメージがあるから?。

同類で、鼈甲、琥珀などもヴィンテージ物は数が多いのですが、上手くお洋服に合わせにくい敬遠された天然石(正式には亀の甲羅や天然樹脂)だと思われているようです。

グリーン、オレンジというのは、結構お洋服とのコーデでは浮いてしまうから難しい、そして出番が少ないからあまり重宝しないのでしょうか。

しかし、これらはどれも今では入手が難しい貴重な過去の産物。

そして、その色はあくまで天然の色。

考えてみるととても素敵なことです。

こういった難しい、ごつくてダサくなりがちな天然石をいかにかっこよくお洒落に新しく装えるかは課題です。

こういった難しい色などは、装いの最後に考えるのではなく逆の発想で、最初にこの翡翠のグリーンのネックレスに遭うお洋服は。。などと考えていくコーデもあっても良いと思うのです。

過去の眠っているお品を呼び起こし、未来に向かう装い方を今後も研究していきたいと思っております。

まずこのたびの白い翡翠は、第一歩。

本来ペンダントとしては積極的には装われてこなかったものだと思います。

使えることがやはり、「ジュエリー」になりうると思います。

どんな風に組み合わせていけば装いやすくなるのか、そんなことを今後もたくさんお伝えしてまいりたいと思います(^-^)。

コロナ禍のマスク製作で出てきた、上糸と下糸の色が極端に違う場合の悩みの解決策【167】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク))です。

今回、マスク製作のご依頼を受けまして、9点の同時製作を行いました。

その内、6点が表地も裏地も白、残る3点が表地が紺で裏地が白です。

今回は、後者の3点の表地と裏地の色が極端に違う場合の悩みについてお話したいと思います。

果たして、この悩みが解決可能なのか。。そんなことも考えてみました。

糸の色を生地に忠実に合わせる方針

ハンドメイドバッグでもそうですが、やはり、生地の色になじむ糸の色を基本的には選びます。

そうすると、今回の場合表地の紺色の麻素材には紺色の糸、裏地のガーゼの白には白色の糸という合わせ方をします。

やはり、この「なじむ糸の色」というのが、プロが作るような品物になれると、そして綺麗にすっきり見えるということでこの方針で行っています。

表地の裏地の色が極端に違う場合の悩み

生地の色に糸の色を合わせると、こんな風になることが↓。。

糸調子を幾度か調整してもこのように紺のステッチの中に白い糸が入り込みます。

最初下糸のが飛び出したと思っていたのですが、どうやら、裏地のガーゼの織り糸が飛び出しているようです。

以前にもこのような麻の紺やブルーで同じことがありました。

裏地はその時はガーゼではなくテレコニットの白でしたが、その時も表地と裏地の色が極端に違っていました。

出来上がりの見栄えがあまりよくないので、可能なものはその白い飛び出た糸を取り除く作業をして消えたものも一部あります。

普段のハンドメイドバッグ用の番手のままの#30糸、針は#16で行っていることにも原因があるかもしれません。

もっと#14くらいの針で糸番手を#50-60あたりに対応するのが小物であるマスクでは良いのかもしれません。

表地と裏地の色がほぼ同じ場合が糸目のカラーの出方が一番美しい

表地のボイル水玉も白、裏地のガーゼも白の場合は今回のような問題は目には映りません。

表地と裏地の色を変えるからこそ面白みや立体感があるのですが、全く同じ色というのは糸目の出方だけで見ると一番美しいです。

麻などの織り糸の飛び出しが起こりやすい節のある素材の注意点

9点完成です。内訳は、白x6点、紺x3点。

極端に色の違う生地の組み合わせは、上糸と下糸の色をそれぞれの生地にせっかく合わせても糸が飛び出すことがあるということがよく分かりました。

今回のように、糸調子が原因でもなく、生地の織り糸が飛び出してきたというのは、「麻」などの節のある素材では起こりやすく、避けにくい現象です。

しかし、上述のように、麻の中の節が飛び出しにくくするには、糸の番手を細身に、そして、針の番号も細身にすることで、ガツンと強く針を刺さないと節も飛び出しにくいということになるかもしれません。

このことはまだ実験しておりませんので予想ですが、マスクのような華奢で柔らかいお品物に対して、バッグ作りのような太い糸や太い針を使用していてはこういったことも起きやすいのではないかと予想しました。

では、対策をまとめます。

①針を#12-14で、意図は#50-60で。

②糸調子を徹底することで下糸が上糸側に出てくることがないようにする。

③そもそも生地の色の選択において、表地と裏地に極端に差をつけすぎないこと。

あとがき

コロナ禍の2019年の春4月-5月はマスク製作をたくさんしてきました。

ほんの2か月位で、2019年の5月末くらいから量産で大手企業が製造を開始することでもう私達の出番は皆無に。。

とはいえ、この経験での学びは貴重な「宝」となり、こうしてお伝えすることができます。

マスクも、コロナ過の最初の頃はとにかくマスクというアイテムであれば受け入れられたのが、だんだんデザインとか機能の追加などにニーズが求められるようになりました。

このたびの学びは、節のある「麻」のような素材の性質とかカラーが出来上がりに及ぼす影響などです。

マスクを製造したことは貴重な体験でしたし、ミシンで物を作ることをしていたからすぐに着手できたことでした。

そして、「マスク製造をしよう」と友人が声をかけてくれたことも大きく、自分だけだったら思いもよらなかったことでした。

コロナという「不幸」の中から「幸い」も間違いなく見つけられたと言えます。(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

同じフォルムを集めると素敵になり「粋:いき」になる、グリーン系のマルチストーンが集まった18金ジュエリーの徹底改良の末の姿【438】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「インクルージョン」という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。

宝石のストーンの内部に見つかる「内包物」の事です。

これを「処理」によって消してしまうことで全体に均一な宝石にできあがることが果たして美しいと言えるのか、それとも、内包物を残し「天然の証」として価値を入れた宝石で完成とするのか。

これには価値観が分かれるところかもしれません。

かつて貴重な体験をさせていただき、この「内包物=インクルージョン」が入ったビッグペンダントに出会ったことがあったのです。

お店の店員様からのこのお話をお聞きし、当時迷わずこちらに価値を置く選択をしたのでした。

実際には、同じお店にも類似品の「処理」をしたものが、比較的お買い得品として販売されていたところを見ると、どうやら「インクルージョン」の価値は確かなものであるとも言えるのです。

ただ、世の中の宝石は、大半が「処理」をされ、多くの人が均一感を選ぶような気がしています。

もしかして、こういったことは、国や民族特有の考え方が反映した文化なのかもしれません。

特に日本人は、真珠なども整った「あこや」を愛でる傾向があり、欧米の人が好むいびつな「バロック」にはどちらかというと価値を置かないようなのです。

このたびは、まさに上述のエピソードにある「インクルージョン」入りの「クォーツ」という黄緑色のストーンのビッグペンダントから始まるジュエリー同士の組み合わせをご紹介したいと思います。

興味深い点は、前案と後案があるのですが、どちらも高級地金の18金が使われているセットだということです。

ちゃんとした本物になっているジュエリーだったのに、それでも改良した理由は何だったのかなどのエピソードをふまえながらお話してまいりたいと思います。

四角でそろえたフォルムがすっきりとした前案をもっと強調した後案

4点セット(前案):ペンダントトップはかなりビッグです。リングは類似品の2個重ね付け。
〇ペンダント:K18YG台「クォーツ」の大粒。縦20mmx横18mmの大粒。K18YGの喜平チェーン50cm。

写真に写すとライムグリーンのような色に映りますが、目で見ると綺麗な黄緑色です。

〇ブレスレット:K18YG製の喜平2連。チェーンのデザインに歩調を合わせます。2連だと個性が増し嬉しいです。
〇リング:左は、K18YG台のマルチカラーのハーフエタニティ14号。右は、K18YG台のトルマリン。13号。

マルチカラーリングが入ることで、グリーンに寄り過ぎた調整をする効果が芽生え有難いのです。

リングはたまたま同じようなデザインに巡り合ったことで一緒に使うということを考えた2点同時付けの案の当初だったのですが、1個ずつは少し普遍的だったのです。

このことから、厳しくラインナップを見直した、「本物志向のレンタルジュエリー」の大改良の2022年のこと。

チェーンやリングを変えていき、セットの内容が思い切って改良されました↓。

3点セット(後案):四角で統一ということを一層強調したものに。。その反対に意外なボールチェーンも引用。

このセットはバランスをじっくり考えたものになります。

以前は、四角いモチーフには、「ベネチアン」や「ペーパークリップ」のチェーンの方が合うのではないかなどと思っていたのですが、どうしても使いたいボールチェーンのツイストタイプのチェーンがあったことで、四角モチーフに対してボールチェーンを初めて組み合わせたのです。

意外であることの違和感解消のために、同じボールチェーンのブレスを投入した理由はそういうことです。

こうして見てみると、合うものです。

チェーン同士がリンクしていれば合う方向に寄ってくれることがあると初めて気づきました。

ちなみにリングの3ストーンの中の黄緑色は、ペンダントの「クォーツ」と同じで、ここもばっちりリンクしています。

あとがき

実は、前案のリングx2個は、「本物志向のレンタルジュエリー」スタート時に、それまで集めてきた収集時代のものそのままでした。

やはり、個人で集めることは、少し「妥協」が入ることがあり、自分さえ妥協すれば予算の範囲内で。。などと購入することもありました。

このことは、「事業者」としての収集との違いであり、ゆるりとした楽しいものになる点は良いのですが、レベル的には普遍的な域を超えることがありません。

本当に、レンタルジュエリーを始めて良かったと思っておりますのが、厳しくレベルアップを思い切った徹底さで追求していけるようになった点です。

その代わり、事業者本人がこれらを付けてお出かけすることは一切ございませんでして、すべてお客様のための品物なのでございます。

「高級地金+宝石」に完全特化したのが2022年だったのですが、もっと以前にも「高級地金+宝石」で組み合わせてあったラインナップさえ事細かに見直しているのでございます。

そのような複数の変遷や改良をして変化を続けてまいりました「本物志向のレンタルジュエリー」、今後とも是非よろしくお願いします(^-^)。