途切れない一続きが無駄のない作業と仕上がりのミニマムさに貢献、4本のステッチで固定するバッグの支柱を一続きで縫う順番は「渦巻き」を描く【1215】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在、「切餅」というデザインをヘリンボン生地で製作中です。

エコバッグのデザインでして、重くてたくさんのお荷物も中に入れても丈夫な支柱が四方から支えるという理論で丈夫さを追求しています。

実際に一部のサイズの段ボールごと入れることもできるというフィードバックをいただいていますので、その用途は豊富。

このたびは、持ち上げるための重要な力支えの役割である支柱のステッチの4本をどのような順序で縫っているのかを写真コピー上で赤マジックによるシミュレーションでご紹介したいと思います。

エコバッグの支柱ベルト4本ステッチ、どこからスタートしてどこで終わっているのかをシミュレーションで解き明かします、忘れないためには「渦巻きを描く」と覚えます

もともと、ハギ目が2箇所ある長い取っ手と支柱のベルトに4本ステッチが均等に施されています。

これが、このたびのシミュレーション作業以前に現物で作業済みです。

左右の端から20cmの位置にベルトの左右の端をそれぞれ配置した位置が設置の位置。

実物の支柱縫い付け後の様子:これだけ見るとどこから始めているのかさえ分かりにくいので解説していきます。

上の写真は段階が1つ進んでしまい、ハギ目カバータブが縫い付けられてしまっていますが、本来カバーが付いていない状態で縫い付けていく順番ですのですみません<m(__)m>。

ミシンの場面は、順序となると映し方が難しく、コピー用紙にシミュレーションを選択しました。

それでも動きが分かりにくいですが、後で貼るYouTube動画内でも一度ご確認いただければと思います<m(__)m>。

スタートはバッグの底の位置の一番外側の部分から:マジックのシュミレーションでは一番左のステッチを上へ。

ハギ目をなぞるように横切り、そして外枠(4本のステッチの内一番右)を下へ降りてきます。

一番下で糸を切ってしまわず連続していきます。

そして、下の先端付近の内側1-2mmの所で左へ曲がり、今度はこの向きでは左から2番目の位置のステッチを登っていきます。

そして、またハギ目で右へ曲がり、最後の右から2番目を降りてきます。

結果として渦巻きの線をルートとして歩んだということになるのです。

このルートの途中、上の溝のステッチに何度か繰り返してステッチが通りますので、自然な形で丈夫に縫われていくのです。

溝に重ねるのか上下にずらすのかという点はまた別の機会で追求しますので、ここでは、ハギ目が印という分かりやすさを選択し、溝に重ねるやり方で行きました。

こうして、縦線ステッチの箇所は本体には1度ずつのステッチだけ均等に配されました。

右側も対称に同じように一番外側(一番右)から始めます。

右側も、一番右端の外側から、今度は逆渦巻きのラインでステッチしていくのです。
「S」はスタート位置。最後にもとのスタートの糸の所へ針を少し進めて糸を同じ場所に集めて一度のみ玉止め。

「S」の場所は最初のご説明のように端っこから20cmの位置。

複雑なことをしたかのように見えますが、実は非常にシンプルで無駄のない作業となります。

この次の作業が、四角いタブで溝を覆うというように流れていくのです。

あとがき

できるだけ無駄なく、それでいて、たっぷり糸を使うところは惜しみなく。。

こんなバランスとスタンスで作業しています。

どちらかというとステッチ量は多い製作手法ですが、これは、手間や材料の使用を省かれた量産品と対極の考え方です。

量産は効率が大きくものを言う、丈夫に手間をかけるということなどはなかなかされません。

量産では実現できていないところをスモールビジネスをしている者が可能な点であり、お勧めしたいことです。

良質なお品物に自らが作れる喜びは計り知れません。

その場限りの表面的なバッグで本当に良いのだろうか、長きにわたり愛用するような良質なバッグの方が魅力的ではないのか。。

このような勝負に挑んでいるのです(^-^)。

人の心に響くような品物には必ず「真心」が入る、取っ手の4本ステッチの等間隔を「美しく並びますように」と願う心【732】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

世界中に知れ渡る伝統ある「ハイブランド」様、いかに数々の研究や技術を高める努力の日々の繰り返しであるかを知り、大変刺激を受けております。

そのレベルはともかく、表面的な「模倣」や「コピー」ではなく、そういった「姿勢」についてもっと学ぶべきなのではないかと。

その「名声」や「ブランド価値」のみに甘んじていては企業存続にかかわると、いつ座を奪われるかも分からない熾烈な他の伝統あるライバルとの競争の最中(さなか)にあるのが「ハイブランド」様の実態なのです。

そのこだわりの徹底ぶり、とことんというほどまでの研究が当たり前であるというような姿勢こそ真似をするべきではないのでしょうか。

このたびは、見る者を「あっ」と言わせるほどの美しい仕立ての根底にあるものは、「良い物をお届けしたい」という「気持ち」なのだということを綴りたいと思いました。

一目見て、「あっ」と言わせるような美しさのある部分を目指す箇所:4連ステッチに込める思い

バッグの取っ手や支柱に使う4連ステッチの技術:いかに等間隔に針目を美しく仕上げるかがポイント。

この4連ステッチの取っ手は、かなり初期のころから取り入れています。

一番最初の芯地も何も入れないペライチな袋物だったころからの発展として、まずは接着芯である薄芯を全面に貼り、中にもソフト厚芯などを入れて取っ手の貫禄や持ち心地を高めるものになっていきました。

そのステッチの綺麗さ1つとってみても、まずは幅が均等であることの美しさ、美しいためには適切な糸調子であるべきで、いくつかの細かな徹底した追求の末に技術が生まれると思います。

写真のようになったのはごく最近の事で、かつては、幅が不統一、縫い線も脱線してしまうこともありました。

縫う場面以前のアイロンがけの折り線付けの段階での徹底も綺麗な仕上げには大いに関連してきます。

そういった流れ作業ではあるけれども細かな作業の集まりが1つの技術となって結果美しくきらりと光る独自の特徴にまで行けるかと思います。

そして、4連である理由も、その幅では一番綺麗に映るのが4本であると感じたことからそうしています。

3本だと1本少ないので、作業が進むなど、そういった考えを横に置いてでも追求したい本数だったのが4本でした。

結局は、当方の都合だけでは考えなかったという点です。

徹底的とか、拘りとか口では言いますが、実際にどこまでの追求であるのかどうかは出来上がりがその答えを教えてくれるというとでも言いましょうか。

その辺りは、こちらの製造側以上に、お品を選ぶ購入者様側の目というのが鋭いもので、ちゃんと手間をかけてあるものかどうかは 結構見抜かれます。

とても厳しい目をお客様は持っていらっしゃるのです。

¥5,000以上のお品を販売しようとすると、すでにそういった点が物を言います。

¥3,000台は、格安の量産のお品でかわいいのが多くあるので、そこを超えていかねばなりません。

ステッチをするときに、心の中にその整然とした佇まいのステッチを見て、うっとりと眺め微笑むユーザー様の姿をイメージするのです。

あとがき

ということで、このたびは、技術を高める例として、長年お作りしてきました取っ手・支柱のステッチを例にとってみました。

とは言え、この4連もすべて線を引かずして等間隔にしていくわけなので、プロと呼ぶにはまだまだといったことを思う時があります。

偏って幅が均一でないこともしばしばあるのです。

難しい部分である箇所こそ技術の見せ所、そういう点を特に訓練と研究で磨いてゆくことに注視したいものです。

「やりにくいヶ所を綺麗にできる技術」を高める根底には、「良い物をお届けしたい」他者様へ与える「give」の気持ちが入っています(^-^)。

なぜそんなにハリコシのある取っ手に出来上がったの?の答えがここに。。内部構造すべてが分かります【135】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグを作り始めて10年以上が経過しています。

その中でいろいろなパーツの作りを改善してきたり、デザインを変更したりしていく中で、これが最強と思える状態に常にしていたいと思っています。

もし、これは改良した方が良いなあと思うと、早めに改良していくのがよいかと。

一方、当初からそれほど変更していない早い段階で腑に落ちて、ずっとこのやり方で来たのだというパーツもあり。

今回はどちらかというと、そのような長後者の方に当たるかもしれません。

そのパーツというのが取っ手です。

取っ手は結構大切で、バッグを支えると共に手でよく触る部分です。

丈夫で長持ちを望む部分となります。

ということで、今回は、丈夫でありながら、しかも持ち心地が良いという手の感触を工夫した取っ手の中側の構造をご紹介したいと思います。

取っ手には芯地を2種入れる、接着芯ともう1つの芯地「ソフト厚芯」こそがその感触を作る

通常、取っ手というパーツにも芯地を貼りますがまず1つは接着芯です。

接着芯は生地自体の風合いを生地に馴染みながら自然に出す効果を感じ、基本的にはすべてのパーツに貼っています。

逆に貼らないパーツが珍しく、ぱっと思い浮かぶのが、フリルかな。

フリルは裏返して見てみると、それも表面のようにぴらぴらなので、芯地は貼らないという考え方もありますが、どのみち裏側なのだから貼っても良いかもしれません。

ちょっとした小さなタブ、巾着ひもなどにも必ず貼ります。

逆にそういった小さなサイズのパーツこそ縁の下の力持ちですから、補強には必要なのです。

接着芯を貼るのと貼らないのとでは丈夫さが大きく変わります。

さて、今回の取っ手ですが、接着芯の他に、入れ込む芯地というのがもう1種ありまして、「ソフト厚芯」と呼んでいるフェルトみたいなふんわり芯です。

上のグレー色がソフト厚芯。不織布でフェルトっぽい感じのもの。
接着剤は付いていないのが逆に使い勝手がこの取っ手に向いています。
下の表地は、インディゴデニム、綿/100%、日本製という生地。接着芯はすでに貼ってあります。
よって取っ手は、2種芯地が付くということになります。
取っ手の作り方を簡単にご説明します。
①まず表地とソフト厚芯を別々にアイロンで真ん中に縦に折ります。
②そこに向かって両サイドからアイロンで折ります。
③①と②を合体してこのように折り線を合わせながらくるみこみます。
④クリップや洗濯ばさみで固定し、外しながらステッチ。

表地とソフト厚芯を別々にアイロンで線を付けるところはぴったりと重なり、美しいラインになる大鉄則。

特にステッチの方法などは、後で貼りますYOUTUE動画の中でそのじっくりお伝えしますね。

取っ手の完成:こんな風にグワングワンにハリコシが出ました。
ステッチが少し見にくいのが申し訳ないですね<m(__)m>。
こちらは、インテリア収納用のたためるタイプのバッグを作った時の接着芯のみ貼った取っ手です。
接着芯だけでもそこそこハリコシは出ますが、今回のソフト厚芯入りに比べると柔らかいですね。
たためるタイプのサブバッグ的なタイプの場合はこれでも通用します。
こちらはステッチがはっきり写っていますので、ステッチ巾などのご参考にこの写真がなればと思います。

ステッチを4本均等な巾に縫うことは訓練も多少必要です。

目の錯覚などで片方に寄りがちなのが常です。

印は付けていきませんので目で見た感覚によって位置を決めてステッチしています。

何かしらコツをつかみ、「職人の勘と技」みたいな感覚を得ていくのです。

ソフト厚芯を入れたことの意外な効果、心で感じる「持ち心地の良さ」であること

こうして感覚が揃った4本のステッチは間違いなくバッグのアクセントになっていき、バッグが美しくなるための重要ポイント箇所になることでしょう。

このように少々念入りに取っ手を作っていくのです。

ソフト厚芯の効果は、ソフト厚芯その物だけでは実は無いということがだんだん見えてきましたね。

ソフト厚芯+ステッチにより、ぷっくりとその空間がふくらみ、ふんわりとした持ち心地になることが最終的な行き着く効果であるということです。

ソフト厚芯をただただ入れ込むだけでは、役割は不十分。

さらに真ん中に2本のステッチを入れることが、このソフト厚芯とステッチの強力なタッグが効果を発揮するということになります。

あとがき

今回のような内部構造に関しては、完成したバッグでは到底分からないことでした。

バッグがボロボロになり、捨てる際に取っ手を切り裂いて研究する人がどれだけいるでしょうか。

そう考えると製作者である者ができることとして、自分が見ているものをそのままバッグのユーザー様にお伝えすることではないかと思います。

「隠す文化」から「見せる文化」へ時代が変わったと思います。

この意味は、つまり「ごまかしが利かない」ということです。

何なら、良い意味でのごまかしさえご披露してそのどうしてもそうするしかなかった理由をご説明するくらいの分かりやすい理解を得られるお品もある意味素敵なのです。

最後までミステリアスにその秘密を隠し続けられたことに何か意味があるのでしょうか。

それよりも理由がクリアなお品の方がなるべくしてそう形作られたのだと共有されるという考え方です。

その考え方は、もしかすると、作り手のスタイルの投影なのかもしれません。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク