もう同じものが見つからない場合は当てぬ布をスタイリッシュに縫い付け、洗濯により裂けた40年来のピアノカバーの継続【1377】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

擦れたり持ち運びがあまりないような動きがないお品物、所謂「置物」のような劣化が無い布製の小物は、比較的持ちが良く長く残っていくことが多いです。

実家へ帰ると懐かしい昭和時代の物がたくさん見つかります。

それぐらい変化がないままなのです。

かつては当たり前にあったインテリア品を今まじまじと見てみると、随分価値が増したように感じるのが経年後の面白さ。

このたびは、アップライトピアノカバーのお洗濯をすることでリフォームの必要性が出てきてしまいました。

原因は布地が経年で弱ったところへ追い打ちをかけたのか、洗濯機の脱水により一部破れてしまいました。

この時、脱水をかけたことを非常に後悔、手洗いまでは良かったのですが、脱水もせず自然乾燥をするべきだったのでした。

40年前購入(祖母より贈呈)のアップライトピアノと共にこのカバーも足並みをそろえてきたのです。

この写真は実際のピアノに設置前のお洗濯後にハンガーラックに干している場面です。

色使いが独特の、「金華山織」という生地で作られたカバーで、黒がベージュやレンガ茶の中に溶け込んだ渋いテイストです。

どす黒く汚れた状態を手洗いで綺麗に洗い、脱水をした後にアイロンをかけて房や毛並みをそろえていきました。

そんな中であることに気づきます、一部裂けていたのでした。

それがこの度のリフォームのきっかけです。

金華山織りのピアノカバーの一部の破れをサテンの同色で馴染む色の当て布でパッチ縫い、何事もないかのように目立たない姿になるリフォーム方法

こんなレトロな素材や柄を是非今後も継続して持っていきたいと思いました。

そこで破れ部分をリフォームします。

正面から見ると奥の方の端っこがこんな風に破れていました。
まず、裂けた箇所の縦に走る糸をそのままに、横向きに馴染む同色糸を走らせ、縫い閉じをしました。
裏からと表からと両方横ステッチを入れます。あくまでもひっぱらず元のままに織り目を継ぎ足すイメージ。

針を上下に元の糸と絡ませながら編み込むように糸を渡らせていきました。

引っ張って口を閉じようとすると変なタックが寄ってしまい美しくありません。

あくまでも元の面積はそのまま活かしますので、織り糸を追加して埋めてあげるイメージです。

「かけつぎ」という上級な手法があるようですが、ああいった考え方と基本的には同じです。

あの技術は全く持ち合わせてございませんので独自のやり方になりますが(^_^;)。。

次に、白でも良いのですが、黒の12mmの伸び止めテープで傷み部分全体を覆いました。

2つを重ねてすべての傷み部分が最低限カバーできるくらいのサイズ感です。

できるだけ目立たない方が良いですので余分には必要ありません。

表面にも同じように伸び止めテープを貼り、傷み部分全部をカバー。

最初接着芯でやってみましたが、糊の付きが伸び止めテープの方が断然上ですので、伸び止めテープがお勧め。

四角よりもこうした多角形の方がスタイリッシュ。型紙を作り馴染む色や素材の別布を裁断。
カットした別布に接着芯を貼ります。
多角形に固定しておくために、アイロンで縫い代1.5cmくらいを折ったら、外回りステッチを入れます。
元のステッチの上をなぞるように更に2周(2重)ステッチで固定。この時に裏にハード薄芯2重を当てています。
裏面のハード薄芯2重にもステッチ2重が貫通。固定の待ち針を端っこに止めてやりました。
裏面の仕上がり:余分をハサミでカットしてスタイリッシュに仕上げます。
実際こんな位置なので、ピアノのてっぺんに位置する場所です。目に映る機会はあまりないです。
before/afterの比較:お直し前の破れのまま使っていくことを考えたら、心がうんと安らぎます(^-^)。

あとがき

当て布は、メンズジャケットの肘(ひじ)のアタリ防止を彷彿とさせます。

リフォームしながら思ったことは、結局、最終的な見栄えがスタイリッシュなのかというところも大事なのですが、それでもこうして手間をかけてやったリフォームの行き着いたところというのが、「安心感と心地良さ」でした。

「気持ち」は目には見えませんが、その代わりひしひしと感じることであり、この「心地」こそが本当の目指すところだということをお伝えしたいと思います(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

まさかの極厚生地でも横に広がるペンシルケースなら作れた、金華山織のはぎれを表地にも裏地にも配したミニポーチ【160】

アイキャッチ画像160

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

裁断が伴う縫製においては、必ず「はぎれ」が生まれます。

活動的にたくさん作ればそれだけはぎれも並行するわけです。

このたびは、特にもったいないと感じる素敵な柄を含むパーツのはぎれや、高級生地の面積がやや広めのはぎれでのミニポーチの製作です。

タイトルは「金華山織」のペンシルケースのみを表示しましたが、実際の製作は全6点の素材別同時完成です。

極厚生地でも裏地になれること、重ねて良い作りのケースに仕上げられる事実をお伝えできればと思います。

特異な柄・高級生地を隅々まで使い切る、表地も裏地も厚い金華山織で製作できたペンシルケースを含む全6点のミニポーチ

生地別に少しずつ製作過程の途中をご紹介してまいります。

ティッシュケース程度のサイズ:マジックテープをあらかじめ蓋にオスを本体にメスを設置。馴染むブルーを選択。
「中表」ひっくり返し:本体も蓋も「中表」で縫った後ひっくり返します。ふんわりと自然に膨らむ性質あり。
船形のペンシルケース:「金華山織」の白x紺バイカラーの薔薇柄。非常に分厚いのですが、裏地もこの生地で。
表地と裏地の重ね合わせのポイント:右下のように2つの同じ船形袋を底の縫い代内同士で縫い留め(部分縫い)。

これは、その後のぐらつきの解消、安定感を得るための秘訣です。

フラップの本体への取り付け:左上はフラップの外枠縫い。右下は、表地と裏地に挟み込みの場面。

確かにごわついていますが、横長のデザインだからこそ可能な事でした。

ナイロン生地(黒白水玉)のフラップ作りと縫い付け:右上のように背の部分のステッチの位置をチェック。

視界に入らない背面をどう良い位置に重ねていくのかがコツです。

ステッチの位置が内部過ぎても外部過ぎても汚く感じる際どい部分です。

6点の完成の横顔:マチが分かるように写したショットです。内2点はマチ2cmを作ってあります。
全6点の完成:そこそこの容量のポーチばかりで、ミニサイズとは言え充実しています。

右上2点は、同じペンシルケースでも金華山織の方は、文鎮や工具などの重厚なアイテムの方が相応しそう。

極厚生地に見合うアイテムが見つかれば、こうして形作った甲斐があるというものです。

あとがき

こうして、6点連続を3時間程度で仕上げましたが、1点ずつは決して手を抜いたものではないのです。

接着芯を貼り、裏地を必ず伴うその構造はメインバッグと変わらないものであり、メインバッグが生み出した末裔のような存在なのです(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク