比較して並べると歴然、デニム向きなスパン糸の30番と20番のボリュームの違いが驚く程差がある事実【1068】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

これまでハンドメイドバッグ製作を通じまして、様々な厚手の生地を縫うことに挑戦してまいりました。

金華山織・ゴブラン織り・セルヴィッチデニム・帆布が難関を伴う悩みが伴う生地だったというのが感想です。

スパン糸の30番と20番というのはひとくくりに「デニム向き」などと称されますが、実際に両方を使用する機会に恵まれまして、その違いがあまりに歴然としていたことで是非この記事でお伝えしたいと思いました。

カラー展開が豊富で見つけやすいのは30番ではあるが、説得力あるアクセントになってくれるステッチは20番に軍配

30番糸に本格的に統一したのは2017年のこと。

以前は50番や60番だったのですが、どうしても弱々しく糸を横に引っ張るとプッツンとすぐ切れたことが不安の種でした。

二重縫いをして強度を高める工夫も取り入れた途中段階の年月を経て、30番へ完全に移行して久しくなりました。

地縫いに関しては、30番の現在でも二重縫いという徹底ぶりです。

スパン糸は短繊維なので切れやすいというのはデメリットです。

しかし、そのぱさついた様相がカジュアルで、コットン方面の気取らない生地には相性が大変良く向いているのです。

番号が少なくなるにつれて糸が太くなりお品もレアになっていきます。

通常60番などは一番多くの人が使用されていることでしょう。

60番より丈夫にと、ハンドメイドのスタートからしばらくの間2007年-2017年は50番も使用していました。

ミシンを家庭用から職業用に変えていった時期くらいからバッグを作るバランスは30番が向いていると感じ始めたのでした。

このたび、「帆布」に対して縫う糸を探す際にたまたま30番ではなく20番でピッタリの糸の色が見つかったことがきっかけで20番使用に挑戦してみたのでした。

そして、30番とのあまりの違いに驚かされるのでした↓。

上下とも1重ステッチ。一括りにデニム用と称される30番と20番も並べて比較すると縫い目がこんなに違います。

驚かれるかと思います。

この違いは非常に大きいです。20番はより存在感があり、力強いです。

ステッチのアクセントを強調するようなデザインに20番は向くと予想できます。

30番は考え方を変えれば、適度に上品ですので、カジュアルな素材を大人っぽく製作したい場合などには向いています。

入手しやすいのは30番の方です、比較的豊富ですから。

一方、20番は思うような色が見つけられないこともあるかと思います、つまり20番はレアなのです。

Q:20番糸でも職業用ミシンでの製作が可能なのか、A:工夫次第で可能であることを実体験した者が証明します

結論からは可能でした。

使用ミシンは「JUKI:シュプール:TL25」です。

末尾に何も追加番号のない昔の「TL25」、その後「TL25DX:デラックス」という商品が出たようです。

こういった太口の糸の場合には工夫が必要で、その工夫というのは糸調子の大胆な調整になります。

下に貼りますYouTube動画内でポイントの糸調子を整える箇所をご紹介致しますが、ここでまとめておきますと、2つの箇所を徹底します。

①糸案内にすべて通す・・・取説によるとスパン糸は2箇所通しでよいのですが、3穴にフルに通します。そうすることで、糸がピンと張り、硬いデニムにしっかり糸が埋まっていくのです。

②糸調子ダイヤルは強め・・・こう覚えたらよいです→。硬くて厚い生地にはダイヤルは番号が大きい方へ絞めるということ。ただ、あまりにかちんこちんに「4」などはお勧めしません。糸が切れやすかったり、他のパーツが引っ張られて傷みますので「3」くらいにとどめます。

ミシンを優しく扱うために①をやっておいて、上糸を引っ張る際にも、針の周辺を引っ張ると動きにくいので無理矢理引っ張らず、糸のコーンと糸案内の間をたるませることを手動で行います。

この手作業は、縫う途中では出てきませんので大丈夫。

最初の縫い始めと最後の縫い終わりに引っ張る時がありますが、あの時にそのまま引っ張る前にコーンと糸案内(三つ穴のパーツ)の間を手動でたるませることが、針やミシンを傷めない優しい作業だと実体験からお伝えしておきます。

あとがき

今後たくさんのハンドメイド作品作って行きたい方へのメッセージとしましては、ある時期に家庭用から職業用のミシンへの切り替えをお勧めします。

確かに家庭用ミシンはロックミシン機能なども付いていて便利なのですが、縫い目が歪んで綺麗に縫えません。

せっかく技術が上がろうとしているのに、ミシン自体の不変的なクセや性質がそれを妨げるのでよろしくありません。

ステッチの美しい目は「プロ風」であり「商業風」としてまかり通る様相なので非常に重要だからです。

いずれ「商業利用」を見据えたハンドメイド品を作りたいと誰もが思うことでしょう。

そうした時に、土台であるミシンを「職業用タイプ」にしておくことで、こうして、何とかデニムとか帆布なども上手く縫っていけるのです。

しかも驚くほど美しい縫い目が購入者様の心をぎゅっとつかむのです!!。

デニムや帆布は糸調子が普通地である服地に比べて上述のように難しくなりますが、それでもこうして工夫と対策を分かっていることで突破出来ています。

どうか、素敵なオリジナル作品をお作り下さいませ。

そして、途中でやめてしまわないこと、何年も何年もひたすら続けていくことです。

そうした中で何かの転機が生まれたり、考え方が良い意味で変わったりして発展が起こると思います(^-^)。

<糸調子>ヘビーオンスデニム(25oz)を職業用ミシンで縫えるのかの問いに「はい縫えます」と答えることができる条件とコツ【803】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、大変有難いことに、YouTubeの過去の動画にご質問とコメントをいただきました。

少しやり取りさせていただき、おそらく、このことにお悩みであろうと思いました。

厚手のデニムを職業用ミシンで縫う場合、少し大胆なまでの糸調子の合わせ方をすると良いのです。

その大胆ということは、糸調子ダイヤルを「4」にするということでは決してありません。

良い糸調子になる時の糸調子ダイヤルと糸案内の糸の通り方の2つのポイントを確認しながら、デニムにはふさわしくない普通生地と同じ糸調子の条件と同じの状態から先に分かりやすくお伝えしてまいりたいと思います。

保存版、職業用ミシンでできる厚手デニムの糸調子の上手な合わせ方

今回は、思い切ってデニムの厚手の王者、25ozのヘビーオンスデニムを使います。

特に生地の地の目に対して、並行ではなく垂直に縫う時によく起こる下糸のループ現象などが分かりやすくご覧になれますように、横に縫う設定をします。

三つ折りにしてステッチをします。

縫っている方向は、生地後の目に垂直向きです。この時に特に糸調子が狂いやすいのです。

こちら側の向き、上糸側はほとんど綺麗に糸目が出るものです。

問題は裏側の下糸側の面の糸目の出方です。

そもそも、前提として、下糸の糸調子が合っているというのはベースです。

よくご紹介されているような、クレーンのようにボビンケースに入れて吊り下げた時、鈍い感じで滑って下がっていく様子が正解です。

これが成された後は下糸はいじることはありません。

ほとんどは、上糸側で調整するやり方です。

まずは、通常の他の生地全般のそれほど糸調子をいじることなく使ってきた糸調子ダイヤルで縫ってみます↓。

糸案内(普通地):30番スパン使用。取説にもあるように、真ん中を空けて通し、普通生地ならこれで合います。
糸調子ダイヤル(普通地):押さえを上げてた状態だとこのような位置。押さえを下げると1.5-2.0程が通常。

こうして、とりあえず、まずは、通常の他の多くの生地と同じ条件で縫ってみました↓。

通常の糸調子1.5で縫ったステッチの下糸側:非常に汚いです。右の方は、ループもできています。

糸が絞められ切っていない緩んだ状態で余ってループみたいに飛び出してきていると見ます。

つまり、上糸側から出ている糸が緩んでいるので上糸が緩いのだと導けます。

他の場所もすべてアウト。非常に汚いです。わらびやゼンマイのようなループは、これと同じ理論です。

表面は、何ら問題ないのですが、この縫った裏面が汚いのです。

これを下糸が原因だと思ってしまいがちですが、原因は上糸側の糸調子にあるのです。

下糸の糸調子に関しては、上述の通り、ボビンケースにボビンを入れて吊り下げた時の、スルスルとは行き過ぎない適度に支えられているような感覚の絞まり具合が目安。

マイナスドライバーの溝のあるネジで緩めたり絞めたりしますが、そこを適度な状態に調整してあれば後はいじることはありません。

すべてが上糸のせいでこうなるのです。

ということで、実際にデニムの厚手を縫う時に調整後の糸調子にいきます↓。

糸案内(25ozデニム):スパン糸であっても3つの穴にすべて通します。

これでかなり引き締まる効果があるので有効。このことは取説には決して書かれていません。

そして、これを忘れてはいけません。糸調子ダイヤルを触る前にいったん押さえ金を下げ、針も指します。

糸調子ダイヤルは、押さえ金を下げ、糸を指して縫う状態と同じ状態で目盛りを見るのが大鉄則。

糸調子ダイヤル(25ozデニム):ほどほどにして3強くらいまでです。4までやりません。

そして、同じように三つ折りステッチをしました。

左:糸調子(悪い)、右:糸調子(良い)右側が糸調子を合わせた方の縫い目の下糸側です。

左側の先ほどの失敗と比べて全く変わりました。

さらにもっと細かい微調整は都度、それぞれの生地の種類やデニムのオンスとの兼ね合いで試し縫いをしながらパーフェクトに合わせていったらよいのですが、大きくは、これで劇的に変化できます。

まとめますと、

①下糸はボビンケースごと吊り下げた時に鈍く下がっていく感じにボビンケースのネジを絞める調整をしておく。

②糸案内をスパン糸でも3つの穴にすべて通す。

③押さえ金を下ろし、糸を刺した状態にして(実際に縫う時と同じにする)、糸調子ダイヤルを3強あたりまで絞る

以上がポイントとしてお伝えしたいことでした。

あとがき

デニムは、こういったことからも特殊な生地だと言えます。

デニムがこれほどまでに特殊な理由は、「目の強固な詰まり具合」「織り密度の高さ」だと思います。

糸調子が良くなった右側の写真でもステッチがあっちこっち向いていますが、その理由も同じです。

仕方がないというデニムの性質もあるのですが、それでも許容範囲内の綺麗さまでは持っていくことができます。

今回のこの実験から言えること↓。

「厚手で針が通るのだろうか」という心配は誰でもするかと思いますが、たとえ、針が通ったとしても糸調子というものこそが結局綺麗に出来上がる大切な条件であるということです(^-^)。