職業用ミシンでも限界の難関箇所、厚みが重なる縫い付けを可能にするためにトライ、ミシン針での跡付け作業を伴う関門突破【1064】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグをこれまでたくさん製作してきました。

その中で、丈夫な良いお品を作ろうとすると必ず出てくるのが、「難関箇所」です。

強度を追求しようとする場合、必ずどこかでこの部分が存在してしまうのではないかと。

このたびは、生地の厚みからミシンが重くて糸が切れたり、糸目が飛んだりと苦労した場面を振り返りながら、ピンチの場面でお役に立てるかもしれない工夫を実際の成功体験をもってお伝えしたいと思います。

くれぐれも、最初の計画こそ、ゆったりと落ち着いて製作できる作り易さを追求した状態が一番に望ましいです。

それでも訓練の段階や新しい挑戦の最中に、ハプニングとして起こってしまった場合にのみということで頻繁に行うものではないことをくれぐれも心に留めておいて下さいませ。

きっかけは縫い直しの二度目の成功体験、ミシンの針で穴を開け生地がぺたんこになると二度目に縫えることがある

ハンドメイドバッグ製作では難関箇所の1つになります。接着芯が貼られ四つ折りが2つ重なった状態です。

まだ、上のスポーツメッシュという生地は、柔らかくしなやかなので、針が通りやすいです。

しかもメッシュなのであらかじめ穴も開いていたのです。

こうして、素材を工夫するというのが1つ手としてはあるのですが、どうしても硬めの厚い生地で作りたい場合には、当然ここが職業用ミシンの限界を感じるような厚みになります。

厚みと共に硬さも大いに影響しますので、厚くても針が通りやすいような粗い織り目の生地は大丈夫なこともあり、薄手でも針が通りにくいような緻密な織り目の生地もあるのです。

厚みがさらに重なるような箇所は、返し縫いもして頑丈に仕上げたい箇所でもあることに何ともジレンマを感じます。

返し縫いも向きそのものを帰りの時に正位置向きにあえてひっくり返す手もありますが、針がきちんと通るということとはあまり関係がような気がします。

そこで、下のような案です。

①上:糸を通さずに針だけでミシンを走らせる。②下:開けた針穴を意識しながら実際に糸を通して縫う。

そのまま難なく縫っていける場合は全く必要が無いことです、あくまで厚みが立体的に重なった場合のみです。

①のように、事前に針だけで空縫いのようなことをしておきます。

そうすると押さえによって地がならされぺたんこになることと、糸の通り道が作られて縫いやすくなります。

そして、②の通り糸を実際に通して縫うということです。

このやり方に気付いたのが、一度目に糸がプッツンと途中で切れて、ほどいてやり直した2度目にはうまくいくことがあったことからのヒントでした。

ただ、これも不可能な場合もありますので、数度やってもだめなら、その生地が限界を超えているということであきらめねばなりません。

何度もやり直しは、生地を傷めますので生地がかわいそうです。

まだ完成していない状態なので、生地を優しく扱ってあげることは製造者の心得です。

せっかくここまで作ってきてここであきらめたくないという場合に考える1つの策としてだけご検討いただければと思います。

絶対ということではないですので、可能性が0%ではない対策ということに他ならないということを背景に、何かの時に思い出してみて下さいませ。

あとがき

教科書には決して書かれていない、実体験からの特殊なコツ・やってみないと生まれてこなかった策などを今後もご紹介していけたらと思います。

実際に体験していく中で知ったことや、深みは貴重なものであり、共有していく方が全体の「文化」が育っていくと思うのです。

コツや技術が生まれることは、いかに幅広くチャレンジしたのか、挑戦する態勢でやってきたのかという失敗の豊富さの裏返しとも言えるでしょう(^-^)。

バッグのポケットのフラップの固定ステッチを一列から二列に変更、生地の一点集中負担の解消が見込めた一方で開けにくくなったデメリットもあった【801】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

バッグの内部には、最低1つはポケットを付けようと思うものです。

せっかくなら、ゆったりとした万能なポケットをと考えたのが、フラップポケット。

開きっぱなしではなく、フラップによって出し入れもスムーズでありながらセキュリティー性もある程度高めるという機能のバランスを考えたアイデアです。

このたびは、このフラップを縫い付ける時のステッチに注目。

一列の二重縫いだった今までから違ったやり方の二列(こちらも二重縫いでの二列)にしてみました。

これをやってみようと思った理由は、1点集中の力のかかり具合が生地を傷めるのではないかと一列のみのステッチを見直してみたものになります。

ただ、やってみたその効果が必ずしもパーフェクトではないところに現実の厳しさがありました。

最終的には、この二列を選択しなかったのです。

その理由をどうぞじっくりとご一読くださればと思います。

フラップ固定ステッチは、1連より2連の方が生地に負担がかかりにくいメリット、幅が狭くなり入り口は狭くなってしまったデメリット

フラップポケットのトップ部分。面積を広げた負担のかかり方にして生地を傷めにくくするという対策です。

この部分には、元のシングルステッチの時から、「ハード薄芯」で裏側に当て芯をしていたのでした。

そうはいっても、シングルステッチだとたしかに狭い面積に一極集中的に力がかかるようだと感じました↓。

裏面にはハード薄芯を当て芯。この後ステッチの周りを適度に残しハード薄芯の余分をカット。

二列の方が生地を広範囲に力分散させるので負担が無いと実感しました。

フラップを開け閉めした時の動かしでこの裏側の様子を眺めてみるとよく分かります。

しかし、ダブルステッチにしても今までと同じ袋とフラップの距離ですので、このようなことが起きてきました↓。

フラップと袋の距離は今まで通り2cmくらい。ステッチの2本目のせいで入り口のゆとりが少なくなりました。

このことによって、ポケットの開閉がしにくくなったと言えますし、反対にセキュリティー性が高まったという解釈もできます。

つまり、メリットも確かに生まれましたが、デメリットも生まれてしまったことになります。

あとがき

当ブログ記事は、当初の投稿が2021.11.21でしたが、そのおよそ3年後の2024.06.22に「手直し」をしています。

2024年は、1年間かけて毎日3記事ずつの過去の記事を手直ししていく年とする目標を立てて実行していっているのです。

この3年後の現在、このメリットとデメリットをどうジャッジしているかというのが大変興味深いと思われるでしょう。

実のところ、この時にやってみたダブルステッチは現在は不採用。

理由は、デメリットとしていた「入口が狭くなる」ということと、もう1つ「美し映らない」ということです。

上の写真の時の「シャンブレー」というラメマルチカラーの生地ではそれほど美しさが損なわれたという印象は無いかもしれません。

ただ、全ての生地に対してはどうなのか。。と考えますと生地によっては、フラップのてっぺんの美しい姿は損なわれると判断しました。

また、先ほどのお話に戻りますと、メリットもあった半面同時に存在することになったデメリットが入口周辺のゆとりがないということでしたので、これが多大なストレスを生むことをとても気にかけました。

おそらくメリットよりもデメリットの方がはるかにインパクトが強いものになるかと。

よって、ダブルステッチは廃止したのでした。

「当て芯」をその後「ハード厚芯」に替えて強化することでシングルステッチの二重縫いを継続、これが現在の腑に落ちた選択です(^-^)。