最低限であることこそが美しさを作る、衣服やファッション小物に飾りが多すぎることを今一度見直したい【1372】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、「江戸な日用品:森有貴子 著/喜多剛士 写真」を読ませていただきました。

江戸後期に大衆に広がった文化、これを継承した当時開業の老舗が現在でも江戸の中心の町東京の「日本橋」で営業中。

ただ、この本も2013年に発行の本なので、そこから約10年、やはりその中で「311震災」や「2020コロナ」を無事乗り越えることができたのかどうかというところが気にかかります。

大小規模かかわらず、2020年以降はかなりの老舗も苦戦。

ただ、今少しネットで拝見しますと、この本の中の老舗の1つが元気に継続中であることを拝見しました。

ネットでググるとすぐに登場発見できるということ自体、現在のネット販売の流れの波に乗っているということがまずうかがえます。

このように江戸の日用品文化発祥からは150年以上経過した今もなお継承できるその理由なのですが、1つには、そのお店でしか買えない品物という完全特化型になっていることがあるようです。

そうしますと、見込み客としては全国で、これは強いと思います。

ただ、その特化型の貴重な存在になったのも、品物がどんなものであったかも大きいです。

このたびは、長年受け入れられるその理由を考えながら「機能美」の存在について身の回りのアイテムの例で深堀りしてみたいと思います。

装飾はどこまでも無限、むしろその逆を行くミニマムに装飾を落とした最低限の「機能美」の魅力

この「機能美」というのは重要なキーワード。

この本の中で箒(ほうき)を販売しているお店が紹介されています。

例えば、なぜ箒(ほうき)はあのような形なのか、ということは、そうなるべくしてあのフォルムになった素直な姿だからです。

もっと違う形になってしまっていたらどうだったのであろうかということを考えると、やはり、そこに「極限」を見ます。

もうそれ以上は表現しようがない必要最低限の姿、そして、掃除をする時の「掃く:はく」という機能を十分に果たしてくれる価値があるのです。

「粋:いき」なコーデに仕上がるワンピースがどんなデザインなのかを追求してみる

そのリボン本当に必要なの?、なぜそこにベルトがあるのか?、など疑問や違和感をもつことも時には大切で、より優れた品物がどんなものなのかをたくさんの中から見抜くヒントになるかと。。

よく行うこと、ヴィンテージワンピースに共布リボンがウエストに付いていて、ベルトループと共に外すことをしています。

せっかくのデフォルトの状態ではあるのですが、ウエストは別の強いアクセントのレザーを配置したいからです。

共布は優しくてインパクトが弱いです。

なぜ決まって共布ベルトが付いているのかに関しては、共布ベルトで作る必要があった背景があったことが想像できます。

ウエストラインを美しく表現するためには絞ることであるという考え方がまずあると思います。

何も取り付けないよりもリボン的な装飾も兼ねた共布紐が本体でどうせ余る細い面積を利用するにはうってつけだということもあるのかと。。

共布ベルトもそれ自体きちんと作られていることも多く、せっかくの出来上がり品と考えて、これまでこんな風に利用してまいりました。

柄がかわいくて、もったいなくて捨てていないのです↓。

これまでヴィンテージワンピースのウエスト共布ベルトリボンを外してきて別の使い方をしている様子。

改めて、その数に驚きましたが、随分と多くのヴィンテージワンピースに共布ベルトが付いていたことが分かります。

「ワンピースには共布ベルトを付けるものだ」という「しきたり」のようなことも感じますが、本来ウエストラインを美しく見せるためにある仕様だということ、生地をできるだけ使用するためのコスパを考えた仕様であることもあるかと。

しかし、それを1ユーザーは不必要だと外しているという事実があります。

もしかして、ベルトがまだまだ普及していないレアアイテムだった時代(おそらく広まる百貨店全盛期時代より前の時代だと推測)では、共布でベルトを作ってパーツの一部として仕上げるということに意味があったのかもしれません。

現在では、ベルトが「小物」の分野でその存在感がありますので、お洋服+小物というようにベルトがワンピースからも分離しているのが当たり前という解釈です。

そうなると求める究極のワンピースの形というのが、ズドンとした何もないつるりとした素朴なものになっていきます。

これもある意味「機能美」が追求されたワンピースの1つの姿なのかもしれません。

もうベルトというアイテムが別で存在する以上、共布ベルトの存在はある意味「強制」。

このように装いなさいと決められてしまったようで面白みがないとも感じる方も一定数いらっしゃるかと思います。

渾身の思いでベルトをしっかりと選び自由自在にmayコーデを作っていくことに喜びを覚えます。

それほどにウエスト部分というのは視線を受ける重要ポイントなのです。

あとがき

こうして無駄な装飾や機能をそぎ落とした最低限なシンプルさこそがかっこよく素敵であると考えられます。

現在も何百年前と変わらないその姿でいる伝統的な日用品というのは、完全にそれ以上変わりようがない行き着いた極地の姿であり、同時にそのことを理解されたお品物であるということになります。

当たり前に使っている者1つ1つを改めてよく眺めてみることも「百聞は一見にしかず」です(^-^)。

製作に「らしさ」を込める、例えば「この人が製作のポケットだ」と分かるように【294】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回は、ハンドメイドバッグの各パーツについて、他のバッグとの差別化とか個性、あるいはブランディングにまでなるのかもしれない、なっていきたいというそのパーツ自体のデザインや作りについてのお話です。

手法を秘蔵するよりも伝えていくことの方が断然素晴らしいとお伝えする方向主流に舵を切っています。

よく、音楽に似ていると思うことがあるのですが、メロディーとか曲調で、この作曲家が作ったのではないかとか、「らしい」と思ったりすることに似る部分があります。

。。というのも、同じ芸術品を作り上げるということが共通しているからです。

円の一部の5cmの半径を利用したフラップ

内側のフラップポケットのフラップ:半径5cmの円の一部をコンパスで利用し型紙を作っています。

ゆったりとしたボリュームあるフラップです。

ポケットの袋を優しく覆う屋根のようなセキュリティー性を追求したデザイン。

以前に、ここにマジックテープを付けていたのですが、実際に自分で使ってみて、マジックテープを不要にした方がストレスフリーでした。

この安全性と使い勝手のバランスは悩むところですが、都度の細かな判断により決めていくのです。

入り口がファスナーなどで密閉されていれば、ここは、マジックテープ無しの方が開閉の時に余計なヒネリなどが必要なく、さっと物が取り出せるポケットになるだろうということに行き着いています。

フラップポケットの完成。
隠しポケット作りのラッピング布を固定した場面。

ポケットの袋は、ラッピング布をそのまま袋として大きいパーツで使う方法もありますが、別にしています。

理由としては、もともとファスナーが付いたバージョンからスタートしたので、それと同じ手法だとここで区切るのが同じ作りとなります。

ファスナーの場合、ポケットの中を覗いた時に、ファスナーの縁が見えない綺麗なやり方がこの分けるやり方です。

もう1つの理由は、直接だと、上の枠のラインにポケットの袋に物を入れたときの重さの比重の影響で、スクエアの枠の形が変形することの懸念です。

枠に袋を取り付けたという構造は枠が変形しないと見た考え方です。

隠しポケットの出来上がり。

この「片玉縁風」は、「ひさし」が中を見えにくくして、セキュリティー性を高めます。

ここ最近はファスナーを取り付けておらず、手を入れてすぐ取り出せる便利性も考えて行き着いたファスナー無しの隠しポケットです。

隠しポケットの裏側の構造。

袋にもちゃんと接着芯を貼ったので丈夫です。

出来上がったバッグではこういった部分は見ることができないので貴重な写真です。

取っ手の完成:取っ手は共布で作ることが多いです。既製品の本革レザーなどは利用しません。

ご要望に応じ本革も取っ手にしたことがありますが、元の方向性としましては、本革は使いません。

アイレットカンに細めの本革を通して結ぶというのも向きが不安定で廃止しています。

あれこれ考えると、現在は、取っ手も布で作るに至っています。

取っ手の付け根タブx4個完成。

このようにパーツのみで一度縁をぐるり1周にって、8角形のとんがりをしっかり出しておくことが綺麗にできるコツの1つ。

ストレッチフクレジャカードという生地は、薄手で折り目が付けやすくて、角がしっかり出てくれたので出来上がりは期待できます。

厚手すぎるとふんわりとなってしまい線があいまいで、あまり綺麗にできない傾向があります。

ショルダータブの5cm四方のパーツ。
接着芯である薄芯に加えて、ハード薄芯をボンドで貼ります。

このような小さなパーツでも、ハード薄芯まで貼ることで、うんと丈夫なタブになります。

タブは全体を支えるので大変重要な箇所。

ここを薄くあっさり作ってしまってあるのがレザー製品。

ブランドのスタイリッシュなバッグのショルダータブがちぎれることが起きていた過去があります。

スタイリッシュに映ることを重視して薄くしてあること、元々ハンドバッグに附随しただけのショルダーであった過去のバッグの流行の傾向があったと思います。

しかしながら、ここ近年は、ハンドバッグよりもショルダー、リュックと体に負担の少ないデザインに変化しつつあります。

よって、よりタブの存在は重要になってくるというわけです。

リュックなので3個のショルダータブが完成。

やはり、この生地にはゴールドのDカンが合いますね。

取っ手を真ん中線から、左右へ6.5cm、下へ6.5cmの位置が正8角形のタブの位置。

取っ手は2cm分中へ隠します。

縫い付けは、一番上の横のラインを返し縫3度、周囲を2度のステッチで固定。

なじんで見にくいですね。アップにしてみます。

更に寄ってみます。

この8角形のタブの目的は、取っ手の付け根を隠すこととデザイン性の2つを兼ねています。
ここも力がかかるところなので、このように8角形のタブの部分にハード厚芯で力布として補強します。

最初は粗裁ちで四角く裁断して、縫った後で余計な縁をカットする方法でこうなります。

このように作るととても安心できます。

以上がここまでの今回の進捗具合でした。

いろいろなパーツの裏側をご紹介致しました。

あとがき

今回の複数パーツについてそれぞれ、意味が込められていることがお分かりいただけたかと思います。

長く愛用されるようなものをどのデザインのバッグにも組み込んでいきたいと思っています。

こういった細かいパーツも、ちゃんと意味が入っていると、「深みのある品物」なれます。

なぜ、この形なのか、それが苦肉の策の末行き着いた形であればあるほど、はっきりとしっかりお伝えできる「哲学」になります。