20cmファスナーの15年後の透明樹脂留め具の劣化の現実、20年持ち続けることができるバッグに利用するのは金属ファスナーに軍配【1338】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「ハンドメイドバッグ」活動を始めて15年が経過、最初は2007年からでした。

まだ今でも活動のスタート当時の一重仕立てのポーチをインテリア使いしているものがあります。

その中の1つに耳かきを入れている細長ポーチがあります。

お店ではなかなか売られない特徴あるサイズ感で、縦が3cmくらいの細身です。

ポーチの中では、ペンケースなどはおおよそ縦が6cmありますので、こういったサイズ感は規格外。

この量産では手が届かない範囲のサイズ感をカバーできるところがハンドメイドの良さなのです。

2007年ハンドメイドバッグ活動当初に作ったペンシルポーチ:<サイズ>縦3cmx横21cmxマチ無し。

耳かきを取り出そうと、入り口がファスナー式のこの細長ポーチを開けた時の事。

「あっ!」、何かがぽろりと落ちたことに気づきます。

製作時の2007年からは、15年後が経過した2023年8月のことでした。

透明樹脂でできた20cmファスナーの留め具部分の劣化の瞬間、この部分は金属製であることがお品物の長持ちに繋がると確信した

透明な合成樹脂がはがれて右下に落ちています。おそらくナイロン混の樹脂です。15年の時を経て劣化です。

この透明樹脂はミシンに対してやや融通があり、金具との差別化で良いなあと思ったものでしたが、結果15年後の2023年現在このように劣化したのです。

この事実は大変重要で、最初に材料を選ぶ際に15年先を見越して選べるのかということへの「問題提起」です。

遠い未来を見越して物を製作できるのか・購入できるのかという大変重要な事柄を示していると思えて仕方がありませんでした。

この留め具のカバーが外れた樹脂だけで固まっているファスナーの端はいずれファスナーが開いてくると予想できます。

そうしますと、今この時点で何とかせねばなりません。

そこで、こんなことをして補修しました↓。

ファスナーの「務歯:むし」に馴染む糸を用意。30番のチョコ茶です。ピッタリな色。
二重に下糸を玉結びを内側に隠して、手刺繍をしていき樹脂留め具の範囲分横へ移動していきます。
最後の玉止めは、ひっくり返して内側で。
出来上がり。これで一安心です。同色の糸がうまくなじんでいます。

ということは。。

最初からこれでも良かったのでは。。

実は、ハンドメイドバッグ活動をスタートした2007年頃は、カードサイズ程度の「ミニミニポーチ」というネーミングの小さなポーチも作っていた時期がありました。

ファスナーも20cm以下だと特注となりなかなかピッタリの色が見つかりませんので、とにかく色をすっきりとなじんで合わせていくことに重点を置く決断をしました。

その代わり、20cmのファスナーをカットしてその端を上の補修の写真と同じように留め具としてハンドによる糸刺繍を利用していたのです。

既製品の留め具に合わせた20cm用の型紙でポーチを作ったのにもかかわらず、15年後にはこれを補修して規格外と同じ糸刺繍をするという皮肉。。

結局ファスナーに型紙のサイズを合わせた意味がなくなってしまいました。

このような事実から、留め具は金属製が良いと思います。

務歯(むし)の部分は樹脂ですが、留め具の透明樹脂と成分が違うと見ました。

務歯が劣化したことはこれまで経験していません。

よって、現在は留め具部分のみが金属のこのようなファスナーを選んでいます↓。

務歯は樹脂で留め具が金属の20cmファスナー。

留め具だけが金属、これははるかに永久的だと言えます。

ただ、その代わりに、デザインする時に型紙をファスナーに合わせる必要があります。

何を優先するかでこういった型紙の起こし方もちゃんと理由があるので、縛られた自由の無い窮屈な製作だとも思いません。

むしろちゃんと「なぜそのサイズなのか」の理由ができるわけですので、何となく作った型紙とは意味が変わってきます。

事情を持ったお品ということで、かえって深みは増すと思っていますので、こうした「理由」の部分をちゃんと販売時に説明すると良いです。

あとがき

このたびのように、15年経過して分かった事実ということは大変貴重だと考えます。

予想が付きにくい未来の状態を今現在の何も起こっていない時点で見抜くための一助になればと思います(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

バッグに使う金属パーツにもレベルがある、ゴールドやシルバーの塗装の表面の質感がプレーンなツルツルがたっぷりと使われる素材感と高級感を感じた【808】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「ハイブランドバッグ」を一目見て、「高級だ」と感じます。

素材や丁寧な縫い目。。そして、使われている金属パーツの金具も見た目には間違いなくアクセントであり、キラキラと艶めいて一層高級感が増しています。

「ハイブランドバッグ」の金属パーツは何か高級感のオーラが放たれます。

過去に内部の作りまで拝見したことがありまして(自主リフォームの為にやむを得なかったのですが)、「特注」に違いないと思う個性的なデザインの金具もありました。

このたびは、この金属パーツについて、どれも同じではなくレベルに違いがあるという点にスポットを当て、どの部分がそう思わせているのかを研究してみたいと思います。

今後の金属パーツ選びの際に、「コストを抑えてほどほどでいく」のか、それとも「コストが増しても見た目の高級感を重視」するのかの選択のヒントになればと思います。

どの点が違うことでぱっと見の違いに影響するのかは、塗装前の表面の処理の緻密さなのではないか

同じタイプのカンを、レベルを1-3の3つに分類してみます。

レベル1:内部の素材が塗装前ですでに甘いというかでこぼこしざらざら。メインの部分もどこかざらざら。

こちらは、デザインは非常に良いものの、内側の金属部分がなめらかでなくゴツゴツした風合いです。

サイドの太いバーもざらざら感の感じられる表面です。

しかし、とても整った作りの、間違っても折れたりはしないしっかり感はあるので、一定の基本的な基準はあるお品であると思います。

レベル2:溶接の仕方が少し1つ目と違います。バー4つがくっついてできた姿、ツルツル感はそこそこあります。

こちらになると、先ほどにはあったザラザラ感が見られず、少し高級感が出てきました。

表面の風合いだけでここまで違うのです。

こちらのデザインは、「タルカン」と呼ばれるもの、サイドの片方にマイナスドライバーの溝のネジがあり、回転するように作られています。

レベル3:ここからは、スタイリッシュにもなっていくレベル。高額でした。素材感は完璧です。

それほど数も豊富ではないので、既成品であれば、だいたいレベル1-3の3段階くらいから選ぶことになると思います。

ここにどこまでコストをかけるかの方針も大いにあると思いますが、選びますと「2」です。

金属パーツだけが品物の高級さを決定するわけではないのだという挑戦の意味もあります。

他の部分でも迫力を出していくわけですし、ある一定の良質さがあれば良いと思うと、決して「1」ではないのですが「2」という選択になりました。

ただ、その後分かったことなのですが、「タルカン」は回転するので、ネジが動きの積み重ねで自然に外れてしまい、気が付いたら落として紛失していたという事態が「3」で起こりました。

この事実が非常に大切であり、その後、留め具に「タルカン」を使用することはなくなりまして、すべて「Dカン」へ付け替えをしたのでした。

あとがき

このたびは、四角いカンを例にご紹介しましたが、すべての金属パーツにおいて同じことが言えると思います。

どれも、ある同じメーカー様の独占的な製造の品物がほとんどで、独自の金属パーツのモデルを販売されているメーカー様の品物は小ロット販売でネットでは目立つ存在ではありませんが、その作りはとても丁寧で高価です。

このたびのネジが外れたエピソードも含め、すべての金属パーツに対してのスタンスは、「永続的ではないものは廃止」ということ。

ほとんどの金具パーツの種類をひと通りバッグ製作に取り入れてまいりまして、最終的に「永続的である」と思えたのは、「Dカン」「ナスカン」「線コキ」のみです。

これらは、すべてミシンステッチで縫い付けで取り付けるタイプのもの。

それ以外の打ち込み式(打ち台や金づちを使うカシめるタイプのもの)はいずれ外れる日が来ると見ていまして永続的ではないと判断して廃止しました。

この度の例の「タルカン」も気が付いたら外れて紛失していたという事実からも当然「廃止」です。

そんなにほとんどすべてを廃止したら随分狭い製作になるのではないかと懸念されるかもしれません。

しかし、結局は3点程しか永続的な金属パーツがないという結論は、多くの貴重なバッグへの引用あってこその結果だと解釈いただければと思います。

いかに途中でどうにかなってしまうようなものが平気で世の中で使われているのかということなのです。

それでも決して「ゼロ」ではなかったわけで、残ったわずかな納得したパーツだけは今後も使わせていただくのです。

「なぜこれらのパーツしか使わないのか」の答えに一層深みが増すことになります。

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ヒネリ錠の間から生地がはみ出る不安の解決へ。。くり抜き後玉縁の手法を取り入れた安心な設置のための部分的試作【373】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグを作っていますが、どうも、穴をあけて生地を打ち破るということを好みません。

今までアイレットカンや、ショルダーの両面ハトメなどを一通りそろえ、実際に設置する経験をほとんどすべての種類に対して体験してまいりました。

その経験後、現在はほとんどの「打ち込み式の金属パーツ」の設置を廃止しました。

やはり生地を破ることへの抵抗が強くあり、その後の劣化があるとの懸念が残るからです。

さらに、生地は意外と穴が開きにくいもので、芯地が複数ミルフィーユのように重なっているので一発開けができないのです。

パーツメーカー様も「本来打ち込み式はレザー用に作られたものであり、生地には不向きである」とおっしゃっています。

確かにパーツを使うとスタイリッシュではありますが、その完成当時だけの見かけだけで判断していては、現実的ではないと思うのです。

今回は、打ち込み式ではないものの穴をくり抜きツメで止める設置のヒネリ錠について、最もその後も安心な設置のための「部分的試作」を作ってみました。

ヒネリ錠は今まで生地をポンチでスクエアに打ち抜いて大きく穴をあけて使ってきました。

このままの始末でヒネリ錠を設置してしまいますと、その後の危うさが伴います。

今後頻繁にヒネリ錠のような留め具を必要とするハンドバッグを作っていく場合を考えても、そもそもヒネリ錠という種類のパーツを使っていくのかということさえ検討を慎重にしている最中です。

けれども取り付けることでかっこよさは生まれると思いますので、可能ならば使いたいということです。

ヒネリ錠のくり抜きを「玉縁」仕様でやってみた結果の展望

いろいろ考えてみました。

まず固定観念を取っ払います。

ヒネリ錠はポンチでくり抜くものということという発想からいったん離れてみます。

そこで、よくバッグのポケットに作っている隠しポケットの時の「玉縁」をこの小さい穴にもほどこせばよいのではないか、そう思いました。

このヒネリ錠は隠れる部分が比較的多い方のタイプで、ネジ式ではなくツメ式での設置ということで選択。

出来るだけ綺麗にできる最大限、されど枠のくり抜きより大きくなりすぎない最低限というバランスを考えながら、玉縁ラッピングを引用。

作図とカット:くり抜き枠を作図し枠をなぞるように縫います。Yの字をハサミでカット。

この時点で表面には「中表」に重ねたラッピング布が設置してあります。

ラッピング布の位置:表地の表面に中表に設置。そして、この切込みから向こう側へひっくり返します。
ひっくり返し:こうして、裏面へラッピング布を返します。これで四角枠がすべてラッピングされます。
完全にひっくり返した様子:くり抜きわくの縫い代がすべてラッピング布で覆われたことになります。
ラッピング布の始末1:試作なので裏面みたいですが、実はこの面は目に見える位置になるのです。
ラッピング布の始末2:とりあえず、短くカット。すっきりとはしておく必要があります。

カットしたとはいえ綺麗ではないですね。

目に映る場所なのですからこのままでは汚いです。

実際にヒネリ錠の枠をはめてみます。
ここからがふんばりどころ。ラッピング布のはみだしをどう綺麗に見せるかが次の課題です。

さて、バッグを開けた時に視界に入るこの部分をどう美しく仕立てるのかが今後の課題です。

このたびはここまでなのですが、今浮かんでいる案だけを記録しておきたいと思います。

<ラッピングの美しい始末の仕方案>

①ラッピング布に使う生地をほつれない生地で選択する。

②ラッピング布は後からカットするのではなく、最初からスタイリッシュな形でカットをしない方法をとり裏面にひっくり返した姿が完成形とした計算されたものにデザインする。

③更に本革レザー(ほつれない)を裏面に当て(この時点でレザーもくり抜く必要があり)、ラッピング布を覆い隠してしまう。

※③に関しては、覆い隠すだけあって面積が大きくなりますので、ヒラヒラを解消するためにステッチで固定し、表にも貫通しますので、表から見た時にヒネリ錠の周りのデザインのように見せることになります。

以上、こんな風に課題の解決案を現時点で思い浮かぶ範囲でアップしてみました。

あとがき

本革レザーを附属品として利用。。

このことが上手くいくとヒネリ錠の悩みは解決していくのではないかと思います。

一方、「ネジ式」というヒネリ錠がありましてあれこそスタイリッシュでカッコイイのですが、ネジ式はおそらく布にはてんで不可能だと思います。

ネジ穴を開ける苦労が半端なく、生地を傷め、ずれてうまくいかない過去の実体験があります。

やはり、金具パーツ全般を見まして、「かっこよさへのあこがれ」を重視することが多いと思います。

確かにヒネリ錠を取り付けると素敵になるのです。

それは、考え方によってはヒネリ錠に「依存」するということになります。

「では、どうやって入り口を開閉するのですか」ということになりますね。

ここで、「どうしてもヒネリ錠を使わねばならない理由」やっとが生まれるのです。

考え方としてはそうあるべきで、最初からヒネリ錠のスタイリッシュさにあこがれるものではないのです。

そして、「使っていく中での長持ちがちゃんと製造の時点で追求できているのか」、これが最もこの度お伝えしたいことなのでした。

織りが複雑に絡んだツイード生地のハンドバッグ製作に設置のヒネリ錠は、ネジ式ではなくツメ式が作業の実感がわきやすい【286】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドバッグでは、マークのような存在感のヒネリ錠。

ここ最近いくつかヒネリ錠を取り扱いましたが、このたびは、複雑な繊維質のツイード生地に向いたヒネリ錠の種類を選んだ記録をお伝えしたいと思います。

ヒネリ錠には主に、「ネジ式」と「ツメ式」がありますが、そのかっこよさだけを見ると、「ネジ式」の方が粋(いき)です。

ただ、そうはいっていられないのも現実で、ヒネリ錠を生地に取り付けることができるだけでも本来のレザー向けパーツの発展的な使い方と言えるのです。

パーツは本来レザー向けのものなのだとパーツメーカー様がおっしゃっているのですから。。

ただ、布製のハンドメイドバッグの研究の一環として是非こうしたハンドバッグタイプにも一歩踏み出したかった夢がありました。

そうするとおのずと、留め具が必要になり、ヒネリ錠を選択。

そして、このたび、初めてのツメ式にトライしました。

ネジ式との比較や、今後見込める細部や隠れた部分の良質さを追求する上でもとても重要な箇所だと思いますので、よろしければ最後のまとめの部分までご一読いただければと思います。

厚手のツイードにはネジ式は位置が分かりにくいためツメ式へ変更の記録

まず、このように表地と裏地を重ねてタブを作ります。折り込んで、周囲をステッチしてあります。
こういった厚手の生地の場合、裏地側からステッチするのが秘訣。綺麗に縫えます。
タブを製作後ポンチでヒネリ錠用の穴をくり抜きます。穴のサイズは大きすぎても小さすぎてもいけないです。

最初、左側の写真のようなネジ式で挑んでしまいます。

ネジ式ヒネリ錠(前案):右上の物がネジ式のヒネリ錠1式です。
ネジを極細ドライバーのプラスで開けるとこうして2パーツとネジ2個に分解されます。
ネジの足の長さが短いので、厚みのあるツイードに及ばず、いつまでたってもネジが穴に入っていきません。

ということで、ネジ式を取りやめ、ツメ式に調達し直します↓。

ツメ式ヒネリ錠(後案):単純な2パーツのみで一式です。ツイード生地にはこちらの方が向くと思います。
爪は、開き枠の縁の内側に来るのでこの開き枠のまま取り付けました。
ツメは、後側で外側へ倒します。布を当てたマイナスドライバーなどを利用し、しっかり倒します。
当初のヒネリ錠よりも横が長いので、少しタブのスペースの部分が良くないですが、一応取り付けて進めました。

穴から少し生地が内側にはみ出しています(^_^;)。

あとがき

スタイリッシュなのはどうしても「ネジ式」。

ほんのちょっとしたことですが、遠目で見た時の「透かし」のかっこよさは、ネジ式が上回ります。

どちらかというとツメ式はごつい。

それでもこれらの2種以外にはヒネリ錠は見たことがありません。

とはいえ2種あるありがたさがあるとも考えられます。

この度の結論としては、どうしても布に使用したい場合は、どんな生地でも「ツメ式」が良いのではないかということです。

そして、さらに過去の製作でヒネリ錠を使用してきての結論としては、このたびのような「ツメ式」を使いながら、ポンチで打ち抜いたくり抜きを「玉縁」でラッピングして覆うという1作業も加えることをお勧めしたいです。

とてもくり抜きっぱなしの状態では、バッグを使用する中での動きからヒネリ錠がずれて、縫い代がむき出しにはみ出すリスクがあるからです。

この玉縁の1作業を追加することで、「丁寧な仕立て」「その後の使用シーンも考えた仕立て」が成された「付加価値」が高まるのです。

玉縁をヒネリ錠に引用する件に関しましては、過去の記事の【263】で図解と共にそのやり方をご紹介していますので、どうぞ、【263】にもお立ち寄りを(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

パーツメーカー様の言葉「ヒネリ錠はレザーに使うものであり、布には向いていない」がその通りである理由とそれでも布に利用する術はあるのか【263】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグにあれこれ金属製のパーツを取り付けることでバッグがもっともらしくなります。

元々布が本革レザーの迫力に対する劣等感のようなものを覆すべく、附属品に力を入れる製作です。

しかし、よく考えると、それは附属品頼みの製作に陥る可能性もあり、ちゃんと自主製作の軸を残したいものです。

ある貴重なお言葉をパーツメーカー様からいただき、当記事に盛り込ませていただきたいと思います。

ハンドメイドバッグ作りの多くが「布」で行われることも多く、素材としては一番入手しやすくバラエティーにも富んでいます。

ただ、ほとんどのバッグパーツの附属品をトライしてみた結果すごく意外な結論に行き着きました。

このたびは、「ヒネリ錠」というパーツを引き合いに、パーツについて綴ってまいりたいと思います。

デニム生地に裏地を付けたクラッチタイプのバッグに取り付けたヒネリ錠の苦々しいエピソードから得たこと

セルヴィッチデニム生地で2点同じデザインを製作しました。クラッチバッグです。

裏地の種類、金具のヒネリ錠の色を変えるという点で雰囲気を変えてみました。

2点同時製作をスムーズに行う方法というのは、過去にも経験があるので、いくつか思い浮かびます。

・糸の色を可能であれば同じにする

・同じ作業を続けて行っていく

こんな辺りが当たり前と言えばそうですが、作業効率が良くて、早く仕上がります。

<裏地>左:先染コットン(紺x黄)、綿/100%、日本製、右:広幅先染サッカー(トリコロールカラー)。

ぱっと濃紺のデニムの蓋を開けたときにこれらの柄が内側で広がっているのです。

楽しい気持ちになりそうです♪。

ところで、同時進行の糸の色は、裏地側に関しては、白をチョイスの共通に致しました。。

表地に対する糸は、デザインも兼ねて金茶の30番糸で共通です。

ヒネリ錠の穴をまだ取り付けていない状態:ここへヒネリ錠の穴部分を取り付けるワンポイント効果が大。

ヒネリ錠は機能だけでなく一気にクラッチバッグを華やかにするデザイン性もあるのだと感じます。

ヒネリ錠1式(いぶしゴールド):その他、ゴールド・シルバーがあり。ネジを穴へ埋め込み突き出して固定。

ネジをプラスドライバーのミニを使って留めるタイプでしっかり固定してくれます。

とはいっても「生地にしっかり穴が開けば。。」の条件があります。

ある程度のパッキンのような補強の芯地が中に詰め込まれていないと安定感が無く、動きがあることで、中の生地の切れ目が見えてしまうような事態になりかねません。

本来こういった錠(じょう)タイプのパーツや、その他ドットボタン系統、カシメなどはすべて本革レザー向きのパーツとして作られたものだとのこと。

そのようにおっしゃっていたのは、紛れもないパーツメーカー様。

それなのにいかに巷では生地にこういったパーツが多く使われていることか。。

生地は繊維がレザーより緩くひっかかって穴が開きにくいのです。

そういう事情なので当然穴へネジが通ることも困難なのです。

本革レザーはきゅっと引き締まっていて、そもそも穴あけに向いた構造なのです。

何度やってもうまくできたと思えなかったヒネリ錠、このたびをもって使用を最後に致しました。

そして、もう1つ悪い傾向を見つけてしまいます。

それは、ヒネリ錠の「枠:わく」の方のパーツの時に開ける長方形の穴。

これをポンチで開けたり、ハサミで補助したりしたわけですが、切りっぱなしの状態でこの枠をはめ込むと、力がかかった時に生地が移動し枠から縫い代がはみ出すことがあります。

そこまでして、穴を開ける必要があったのか。。

その点を非常に何度も考えに考えました。

<サイズ>縦22cmx横29cmxマチ無し。
内側の様子。確かにヒネリ錠は素敵なアクセントではあるのですが。。

それでも、生地に対してヒネリ錠を使用したい場合のご提案、不織布による玉縁で縫い代を隠す方法

とてもこの先このヒネリ錠を生地に対して使っていく気持ちにはなれませんでした。

生地を引き裂いて、それが見えてしまうなんてことがとても乱暴なことに思えたからです。

「優しい製作、優しい取り扱い」という点とはかけ離れたものなのではないかと考えるように。。

ただ、それでもどうしてもこのヒネリ錠を付けたいならば、このような案が後に浮かびました。

もしご参考になればと思います↓。

ポンチやカッターやハサミでくりぬいた長方形の穴に対して、まずは不織布芯を表面から当て、玉縁仕様。

少し場所が狭いので、拡大します。

グレーが不織布芯です。

赤線のY字:玉縁ポケットを作る過程と一緒。切り込みをY字に入れ、表から裏へと不織布をひっくり返します。
こうして裏側に不織布が移動し、くり抜いた生地の縁がすべて四角くラッピングされました。

この後の始末は当然ヒネリ錠の内側に見えないように隠れるよう不織布をカットします。

そして、ミシンステッチで押さえてまずは固定してしまってはどうでしょうか。

そうしたことで見えないヒネリ錠枠の内側では安心の状態が保たれると見ています。

ただ、ここからが自らが行き詰まったところ(汗)。

このやり方も、さらにここへネジ用の穴を開けなければならないのです。

不織布にぜんまいが貫通するような位置でなければいけないでしょうから、せっかく玉縁を作っても、またその玉縁周辺のラッピングにゼンマイの穴を開けなければならなくなります。

ということで、この度の写真のような「ネジ式」のヒネリ錠はどの道生地には向かないのです。

そこで、ここでご提案しておきますのが、「ツメ式」です。

これなら、せっかく作業した玉縁を傷めることなく内部に収納できます。

ツメ式は、比較的優しい留め具なので生地を傷めずにただはめてツメを倒して固定するだけだということです。

そうしますと、あとは、気を付けるのが、玉縁の布の始末ということになります。

ヒネリ錠からはみ出さないのが無理があるなら、裏側でスタイリッシュにはみ出した縫い代を始末してデザインっぽくするなどの工夫が見込めます。

あとがき

「ヒネリ錠」と同類の「差し込み錠」も同じことですが、差し込み錠はネジだけなので穴だけ空けるにとどまります。

ただ、片面ハトメ、ホックなどもすべてにおいて、生地にメスを入れるということをしますので、本当にそれをするべき理由があるのかどうかまでとことん考えるべきです。

「長持ち」をモットーとしておりますので、そう考えると「飾るために生地を傷める」ことへの抵抗感が非常にあるのです。

どうでしょう、パーツについて今一度考えてみて下さいませ。

ヒネリ錠をどうしても使わなければいけない「理由」です。

この「理由」に関しては、製作におけるすべての工程に入れ込むべきことであり、その集まりが成果となって「良質さ」とか「粋」を作っていくと思っております(^-^)。

バッグをまるごと支えるからこそ丈夫に取り付けやすく作るべきショルダータブ【126】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

以前、イタリア製の某ブランドバッグをとても気に入って持っていました。

かれこれ25年前くらいのこと。

ショルダー付きのドーム型バッグでした。

おにぎり:picturesque作。長財布が横向きに入るサイズ感のミニバッグ。

この写真のようなタイプの形のものでした。

入り口がぱっかりとたくさん開くので中身が見やすいものでした。

「高島屋」様で購入のもので大変気に入っていて、たまに使う感じにしていたのですが、ある日プチっとショルダータブ外れたのです。

私のバッグもタブの取り付け位置は斜めに対角線の位置ですよね、これと同じような位置に付いていたのですが。。

しかし、タブが本革1枚仕立てでした。

おそらく、今思えば、縫いこみやすいように革を漉いて薄くしてある作りだと思われます。

縫いこみが甘いのか、中身を入れ過ぎたのか経年により、レザーが避けてある日ポンと外れました。

とてもあっけなく、茫然としてしまったことを覚えています。

結局同じブランド様の最寄りである別の店舗のお店で何とかお直してもらえましたが、おそらく取り付け方は同じ手法でしょう。

ブランドバッグは、見た目の綺麗さも重視でしょうから、スマートな形に見えるように弱くなっている部分があると見ました。

というこんな苦いエピソードがあったのでした。

タブが外れた苦い経験から活かせること

このことから自分が製作するバッグに活かせるとしたら、同じように外れてしまうような丈夫でない取り付け方を決してしないということでしょう。

ということで、ショルダータブの作り方をご紹介します。

タブ自体も丈夫なのだけれど、取り付けも丈夫にする、それには取り付けやすくなくてはならないという連鎖で、「縫い付けやすいショルダータブ」がテーマです。

完成したショルダータブ:15mmのDカンに取り付けて、付け根部分を仮縫いしておきます。
そして、バッグの表地と裏地の間にそこそこ深めに挟み込みます。
ある程度深めに挟み込んだ方が長い目で見たら丈夫だと考えられます。

ショルダータブは、結局のところバッグ全体の重さを支えます。

それが外れてしまうようでは話になりません。

また、ここでお伝えしたいことは、何も硬くするばかりでもいけないという点。

過去にショルダータブを硬く分厚く作りすぎて本体に縫い付けられなかったことがあったからです。

よって、革を漉いて取り付けやすくするのももっともなことではあるのです。

ただ、その加減です。

取り付けやすい程度の厚みでありながら、同時に頑丈な取り付けでなければいけない、ここを今回追求したのです。

欲張りですが、2つのことを同時に満たす工夫をしたということになります。

後になって、お客様にお直しをするお手間をかけさせないように作りたいということです。

作り方は動画内で解説致しました↓。

あとがき

スタイリッシュに仕上げることを優先した丈夫でないショルダータブの取り付け方。

これがいかにユーザーの身になっていない製作側都合のお品であるかという見方ができます。

ショルダーなどは気休めなもので、常に使用するものではないという腕にかけるハンドバッグ主体の持ち方の優先ということもあったかもしれません。

そして、本革が厚みがあり過ぎると縫えないという製造の限界という事情もあるのでしょう。

特に本革レザーではこういったことが過去のお品に多く見られます。

そうしますと、布で作る製作者がそういった本革レザーのブランド品に抜きんでることができる点としてこうした細かなパーツの丈夫さの追求があると言えます。

イタリア製には付いていないことが多いワンピースの背の「スプリングホック」、髪の毛に引っかかるデメリットがあるのに本当に必要なのか【181】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

古着のワンピースがとても好きなのですが、ワンピースには決まって付いているものがあります。

それは、スプリングホック。首の後ろにちょこんと1セット付いています。

スカートにも付いています。フレアースカートなどの脇ですね。

しかしながら、私は、購入後手元に届いた瞬間、最初にすること、それはスプリングホックを外す作業なのです。

それには理由があります。

今回は、ワンピースやスカートに付いているスプリングホックの必要性について考えてみたいと思います。

ワンピースやスカートのスプリングホックを着用前に外してしまう理由

ワンピースから着用前に取り外したスプリングホック・・・これまで幾度もこのことを繰り返してきました。

さて、なぜ早々と着用もせずしてスプリングホックを外すのかをお伝えしたいと思います。

スプリングホックは、ワンピースでいうと、ちょうど首の付け根周辺に位置し、その位置が髪の毛に触れると髪の毛が引っ掛かるのです。

その不快感といったらこの上ないものです。

そういった不快な感触が忘れられずに嫌な記憶として残ります。

スカートのスプリングホックも同じようなことが起きました。

スプリングホックがインナーレースに絡む時があったのです。

そもそもスプリングホックの役割というものは、付けることによってメリットをもたらすから付けられているはずなのですが。。

このメリットが本当にあるのかをしっかり考えてみたいと思います。

スプリングホックは本来「留め具」としての役割であるはずです。

しかしながら、なかなかスプリングホック=留め具の名目上の役割ばかりが謳ってあるわけで、実際のところはどうなのでしょうか。

スプリングホックはコンシールファスナーとセットで取り付けられることが多いです。

体のさまざまな動きによりファスナーが開いたり、引っ張られたりした圧力がかからないように固定してくれているのがスプリングホック。

ただ、私の場合こういったことがあまり起こっていないためか、必要性を感じていないということが今まででした。

しかし、細かい洋服のラインを見てみますと、スプリングホックを取り付けてあると、安定してスカートやワンピースがファスナー部分でVの字に開かずにクローズされたラインになり、体に密着できるような美しい線を作ってくれる役割も果たしてくれているようだと気づきました。

ヨーロッパの商品には、スプリングホックはほとんど使われていない

私は、よく「エンポリオアルマーニ(イタリア製)」とか、最近では、「ESCADA:エスカーダ(ドイツ製)」の古着をよく見つけます。

2ブランドともヨーロッパ製ですが、スカートやワンピースにスプリングホックが使われていないです。

ワンピースやスカートのスプリングホックは本当に必要なのか
エスカーダのウール混マーメイドタイトスカート(黒)。

このエスカーダのスカートの場合は、代わりにボタンとタブでホックのような機能の附属が付けてありましたが、これは外すことはないにしても、やはり使っていません。

何かヨーロッパの文化なのでしょうか。。

読んだ本の中にファッション史的な部分があって、かなり昔にブローチみたいに衣服を留める役割の装飾性のあるアクセサリーが紹介されていたことを記憶しています。

古代は布を纏うだけの簡易な洋服ですので、余計な布の余り部分を留め具によって留める必要があったのですね。

よってファスナーが無い時代には間違いなくその留め具的な機能のニーズに対応する留め具が活躍したということです。

スプリングホックが必須アイテムであるブラジャーにたくさん付いていた!

スプリングホックが必要のないものであるとの断定はまだできかねる中、あることに気づきました。

スプリングホックが絶対に必要なアイテムを持っていたのです。ブラジャーです。

ワンピースやスカートのスプリングホックは本当に必要なのか
黒色のブラジャーのホック部分:「DHC」様。こんなに多くのスプリングホックが配置されていました。

あった、あったんです。ブラジャーには必ず必要ですよね。

ということは、スカートやワンピースのスプリングホックもこんな気持ちで必要とされることを想定したものであるのです。

本来の留め具というあっさりとした一言の名目ではなく、もっと裏事情を探ってみました。

ネットの悩みのコーナーのようなサイトの一部を拝見しました。

ウエストがきついけどどうしてもはきたいスカートがあったようです。

ホックの位置をずらして、ゆとりあるウエストにしてはけるウエストにするところに、縁の下の力持ちほホックに働いてもらうという裏ワザがあるようなお話でした。

なるほど。必要である人にとっては、この小さな針金みたいなパーツこそが大切な留め具なのです。

あとがき

今回は、スプリングホックの必要性について、不必要派の私が、一度フラットになって考えてみました。

スプリングホック自体は必要な場合があり、ブラジャーやコルセット(たまに医療用でしている人がいらっしゃるようです)などには複数の設置によって強度を高めるなどマストアイテムだと言えます。

あの小さなスプリングホックが体を支えたり、縁の下の力持ちともいうべき機能を果たしているアイテムであることは間違いないようです。

ですから、スカートやワンピースにも必要な人がいらっしゃることを認識していたいと思います。

では、最後に、スカートやワンピースのスプリングホックを使用しない私が得た、スプリングホックの必要性のまとめです。

<スプリングホックの必要性>・・・必要ない派であった者の新たな見つめ直し

・コンビで設置のコンシールファスナーがずり落ちないための心理面の安心を得るため。

・ファスナーの空き部分をVの字にならないようスプリングホックで固定して美しいラインを作ってくれる。

・医療用コルセットやブラジャーには欠かせないほどの機能である。

・サイズの合わないウエストのスカートをはく時などに工夫次第ではけるようになる裏技に使われる道具のとしての機能。

とこんな感じの新たな認識を持ちました。

スプリングホックは「必要である場合も大いにある」と締めくくりたいと思います。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク