自国の伝統生地、衰退しないためには文化として馴染みある形で一人一人に広がれば良い【758】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、一気に4冊連続で、産地品である生地についての本を拝読。

1)「糸がつむぐお話 一宮のまちと繊維産業:末松グニエ 文(あや) 著」

2)「糸がつむぐお話Ⅱ~尾州ツイード~:末松グニエ 文(あや) 著」

3)「大島紬誕生秘史:重村斗志乃利 著」

4)「ヨーロッパのテキスタイル史:辻ますみ 著」

1)の地域に3)の地域の方が視察に訪れるような場面もあり、生地発祥の当初はそんな風につながりもあったのだということが驚きでした。

このたびは、得に1)2)については住んでいる地域の近隣であり、これまで繊維分野にたくさん触れてきたことで今後のアイデアみたいなものを考えてみました。

世界からも注目されているハイブランド様御用達の傾向もある「尾州ウール」に関して、3)の大島紬に関して、4)の海外の生地に関してをそれぞれ、自らの言葉で、今思うことをまとめたいと思います。

「尾州ウール」の可能性・・・1)2)

どうしても、お洋服で言うと「冬」をイメージしがちなウール。

重いイメージから季節が限定され、実際にも重衣料に向くような素材ではあると思います。

しかし、受け取る私達も、変なイメージをいったん取っ払い、もっと取り入れ方を広げるということが今後の存続と広がる可能性を生むのではないかと考えます。

黒生地だとウール100%だったとしてもバッグには違和感もないですし、以前にウール100%でバッグもを作ったことがありますがとても使いやすかったです。

ウールは保管すると虫が好み穴が開いたりすることが多いので、常に使うものに取り入れるのも1つの手ではないかと思います。

「季節感」も時として使用時期の縛りをもたらしてしまうので、使用機会が減ってしまうとも考えられます。

今後は、お洋服で数が多い綿/100%、ポリエステル/100%など共に毛/100%であってもフラットに見る目というものが受け取る我々にも大いにあることが望ましいかと。

「大島紬」の美しい柄を出すための「絣筵:かすりむしろ」の手間のかかり具合・・・3)

通常の織物との違いが「大島紬」にはあり、手間がかけられた芸術的な素材。

「締め機:しめばた」という機械に糸を交差させてその後の「染め」作業後美しく柄が出るための「絣筵:かすりむしろ」を作るそう。

この本の読みやすい点は、解説形式をうまく物語と溶け合わせた綴り方である点。

ノウハウ的な硬い説明のみだとなかなか新しい知識として浸透してこないのですが、当時にタイムスリップしたかのように昔話になっているところが忘れられない1冊となりました。

この本の中で熱心に「図案」を考える姿がありました。

やはり、必ず柄はどこかの誰かが考えたもの、「著作権としては無し、もしくはグレーゾーン」の着物の柄とも言われているようですがこうして一読すると、いやはや芸術品のようだと思えてくるのも確か。

「シノワズリ」という呼び名は、貴族の時代のヨーロッパから見た「中国」の芸術品のテイストのこと

17世紀中頃から貴族の間で、他国のテイストを楽しむ文化が栄えた中に、「中国風」のテイストが「シノワズリ」という名前で呼ばれていたそう。

これも模倣の1つで、フランスの独自の解釈によるもの、山などの風景画やボタニカルな花柄などの陶磁器へと製造された文化があったのでした。

他国のテイストはあこがれるもので、我々がヨーロッパのテイストにあこがれるように、互いに新しい感覚に対して興味があり惹かれるのです。

ただ、あくまで呼び名であり、その定義は曖昧ですが、日本の伝統的和柄も元は中国から伝わったところから始まっていまして、中国は他国に多大な影響を与えていたのだと思います。

いかにもヨーロッパ生まれと思えるような柄も、実は中国のテイストの模倣や引用によって取り入れられたきたこともあること、日本にも伝わった中国生まれの柄などの事を考えますと、中国の影響力は多大です。

あとがき

古い本であっても、産地の素材の本は不変の内容であることで一読の価値もあるものも多いです。

ただ、読みやすさなどは近年の活字離れへの工夫として読みやすくなっているところも感じます。

品物を製造するには必ず材料が必要。

すべての始まりは材料の選択にあり、生地のバッグを作るのだと特化していてもその中でどの生地なのかという特化においては、このたびの4冊連続の拝読がとても参考になりました。

3)の大島紬だってバッグにすることができるのです。

ただ、着物として作られたものを解体するのか解体などしないそのままの姿こそが良いのか、はたまたお洋服にした方が柄が広いままで使えるのかなど考えるところは多数。

「リメイク」もむやみに解体して作業する前に、こうした元の背景も一度考えた上での判断が良いと思います。

実際に着物を購入したものの、あまりに美しくて、解体できずにリメイクを躊躇している方のお話をうかがったことがあります。

それは、素晴らしい柄で作られた品物に手を加えることへの躊躇だと思います。

「伝統を守る」とか「産業の継続」ということがどういうことなのかを製造者側だけでは足りなく、受け取る側も同時に考えてみるきっかけはこういった本の良さだと思います。

一読後こうしてアウトプットすることでどなたかに記事を読んでいただいて何を感じたのか、どんな意見を持ったのかというように連鎖してゆけばよいと思いました。

どうぞ、このたびの記事を一読いただいた後に、どんなことを思ったのかというところに注視してみてくださいませ(^-^)。

品物は伝統的な木製家具、考え方はヒト重視の従業員の幸せを願う体勢へ、望ましいバランスの事業活動の一例として頷ける【1181】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「売れない時代に、なぜ売れる?:橋爪福寿 著」を拝読。

新しいものだらけのビジネスとは違い、その違いこそが差別化。

産地ならではな古くからの伝統も継続していきながら新しい売り方の波にも乗る創業者様の柔軟で複合的な考え方を知ることができます。

家具に関しては、古いアイテムでは箪笥が思い浮かびます。

お洋服をハンガーラックにかける一方で、伸び防止のためにはニット類は箪笥の引き出しにたたんで収納したいのでいつまでもヴィンテージ物の木製チェストやデスクををかれこれ20年以上使い続けているのです。

もとは箪笥屋様からのスタートであった会社様、日本の中でも屈指の家具の名産地という環境があったところからのスタートでした。

家具の名産地x6箇所、ヴィンテージ家具好きな者にとって産地別の木の味わいにそれぞれの特徴がある点が醍醐味

これまで、家具好きであるヴィンテージ家具を集めてきた手持ちの中には、北海道産、広島産などがあります。

有名どころでは6箇所、もっと規模は小さければ、近隣地域にも家具の有名な地場ブランドがあるのです。

ここで屈指の6箇所の家具の産地を列挙。

<日本の家具6大産地>

①旭川家具:北海道旭川市

②静岡家具:静岡県静岡市

③飛騨家具:岐阜県高山市

④府中家具:広島県府中市

⑤徳島家具:徳島県徳島市

⑥大川家具:福岡県福岡市

というラインナップ。

この⑥大川家具:福岡県福岡市がこの本の舞台です。

どの地方もそれぞれの木製の中の木の種類が違ったりして味わいも違うわけですが、⑥大川家具が日本でも一番の産地であるとのことです。

この環境で箪笥事業からスタートされた会社様だったのですが、随分ライバルが多くどの地域の家具も負けることなく有名なのです。

ECサイトへの移行でこそ従業員の大切さも大きくなった、一人一人の気持ちにまでケアが行き届く働きやすい会社を目指す姿勢が模範的

産地の家具文化の伝統を守っていきながら、その販売方法はECサイトに特化していったバランスの良さを見ます。

伝統に固執し過ぎて、実店舗を継続できなかった環境から時代の流れに沿ってネット販売をしていく柔軟性が素晴らしいです。

現在はECサイト中心ですが、また、そこから更にリアルな産地の現場でへ呼び込むサイクルも生まれているよう。

今の事業が成り立っていくことができているのは多くの従業員あってのことであるという意識を感じます。

日本全国に点在するライバルの家具の産地があることも考えると、売上というのは、そのシェアの獲得。

ましてや、家具離れの現在で簡単ではないのは当然です。

この本を読んだら、意識してこの会社のお品を購入しようなんて思えてきます。

本自体が宣伝の広告の役割を果たし、従業員募集の広告の役割すらも果たしている点がユニークです。

あとがき

すべてを新しく塗り替えてしまうことが「発展」ではなく、古い部分も大いに継承していく姿勢を含む点は非常に参考になる部分。

昔の軌跡なくして決して今はないからこそです。

時代の波などとは言われますが、これだけたくさんの事業が存在しているのならば、やはり自らの事業の「誇り」の部分を大切にしたいものです。

とはいえ昔のままを継続し続ければ変化がないので衰退に向かってしまうわけで、そういったバランスのとり方が非常に参考になると思います(^-^)。