<糸調子>目が詰まった太糸の綾織り生地が製作の途中で重なった部分で起こる急な糸調子狂いの整え方【1311】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回の記事は<糸調子>と記事タイトルの頭に付いているもので、糸調子が狂った時の当てはまるケースとしてご利用いただくことに役立つようにと集めた記録です。

過去にもいくつかこの<糸調子>シリーズの記事がございます。

YouTube動画も同じように頭にこの言葉が付いていますので、検索しやすくなっております。

どうぞご活用下さいませ。

なぜ、いくつかシリーズになるほどの記録があるのかという理由は、いろんな生地の種類によって糸調子が狂うということが分かっているからです。

このたびも新たなケースがあることが判明し、記録として残しました。

デニムや帆布だけではない、中肉程度も重なればデニム級や帆布級になり糸調子が狂うケース

そもそも糸調子が狂う理由の1つに、「硬さ」があると思っています。

厚みがあってもガサガサの粗くて緩い織り目の生地だと起こりません。

厚みがある=目が詰まっていて硬いということでもないということがここでとりあえずお伝えしたいことです。

とはいえ、結果的には太い糸で織られた生地が厚みがあると同時に硬く目が詰まっていることになるということが多いというのも事実。

このたびそれほど厚みがあるわけでもない生地で糸調子が作業の途中で急に起こりました。

その起こった場所というのが、生地や芯地によって多重に重なって厚みが増した箇所。

そこが同時に硬くなったのです。

<生地:赤>デッキングタータン、綿/100%、日本製。

織り目の逆綾がはっきりと目に映りますね。これこそが目が詰まっていて硬い証(あかし)です。

タータンチェックはこの織り方が多いです。

デニムまでは厚みが及びませんが、中くらいの厚みでした。

そこへ、ハンドメイドバッグを製作していくにつれて、重なり部分などが現れました。

ここは、隠しポケットを作っている場面。

表から縫う場面では、上糸側では悪く表れないことが、縫った裏側で起こるというのが特徴です。

つまり、それは、上糸が緩いと導けます。

勘違いしがちなのは、裏側の糸調子が悪く映るから下糸に原因があると考えてしまうこと。

下糸は、それほどいじるものではありませんので、最初に一度ボビンケースに入れて「吊り下げて、にぶく下に下がっていく様子」であれば、それでよいです。

あとはすべて上糸に原因があるのです。

<生地:黒>エステルポプリン、ポリエステル/100%、日本製。
急な事だったので悪い例があまり撮影できていないですが、やり直しの前の糸が一部分残っていました。
右側の赤い点と左側の赤い点です。
この反対側を上に縫っていますので、こちら側の面が縫った面とは反対側(下糸側)に当たります。

こうして、点や時にはループを描くようにこちらへ飛び出る原因は、つまり「上糸の緩さ」です。

今まで良かったのに急に悪くなると、「なぜ上糸が緩いなどと急になるの?」と疑問に思いますが、その答えは、「現在縫っている箇所が硬く厚みがある場所に変わったから急に狂った」ということになります。

さて、いよいよ糸調子の直し方です。

この時に縫い直しをして良い糸目にしていくわけですが、2箇所を触ります。

狂った糸調子の直し方は2つの箇所①糸案内②糸調子ダイヤルの調整

まず1つ目は糸案内。

今回使用の糸はスパン糸の30番なので、取説から言えば、真ん中の糸案内には糸を通さないのが通常。

しかし、こういったケースは特別。取説以上の奥深い対策をせねば対処できないのです。

テトロンで推奨の真ん中にも通すということをスパン糸でも行うのです。

最初は下からくぐらせて最後は上から出ます。

①糸案内に3穴とも通す:これでかなり上糸が絞められる効果が出ます。

次に、糸調子ダイヤルを触ります。

②糸調子ダイヤルを3に近づける
:状態によって3の少し手前なのか2と3のちょうど真ん中くらいなのかが変わります。

先にこの糸調子ダイヤルをさわりがちですが、①の糸案内の方が思い切った効果が出ますので、あちらが先に触る場所であるとお進めしたいです。

そして、糸調子ダイヤルは「3」オーバーはあまりなく、3手前くらいでだいたい解決できます。

過去に25oz(ヘビーオンス)というとんでもなく分厚いデニムをこの写真のミシンで縫いましたが、その時はさすがに「3強」くらいでしたが、それでも3周辺の範囲内なのです。

それよりも、糸案内に3つとも通すということの方が効果が大きいです。

覚えやすいのが、「3の法則」です。たまたま3という数字が並びました。

3つとも糸案内に通す3と糸調子ダイヤルの数字の3です。

あとがき

実は、今回の黒い生地のエステルポプリンの方にも原因があるからこそ、極端に糸調子が狂ったケースだったのです。

ポプリンという生地は、織り糸の番手違いでブロードと同じ種類の織り方です。

ポプリンはブロードの2倍の番手。最初から織り糸が太いのです。

よってブロードに類似とは言え、勝手が違ってきて、コンビの赤のタータンチェックとも相まって余計にこの度の糸調子の狂いが分かりやすく起こったと言えます。

糸調子が起こった理由をミシンに探そうとしがちですが、実は、ミシンはあくまでもツールであり、元の原因はその製作中の生地そのものにあるのです。

ここが今後も何か糸調子の狂いが起こった時にその解明がの手掛かりとなるでしょう。

その他ナイロン/100%も、製作の中では幾重にも重なった仕立てをすることがありますね。

ナイロン/100%ももともと目が詰まった硬い生地です。

その硬くて丈夫な点がせっかくメリットであり優れた素材であるわけなので、上手く利用しなければなりません。

糸調子が狂う原因は多くが、「生地の硬さからくる上糸の緩さ」だと言えましょう。

職業用ミシンでも限界の難関箇所、四つ折り同士の重なりの更なる縫い付けを可能にするテク【1064】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグをこれまでたくさん製作してきました。

その中で、丈夫な良いお品を作ろうとすると必ず出てくるのが、「難関箇所」です。

長い時間をかけて作るものには、この難関の箇所は存在するのではないでしょうか。

今回は、私自身が経験した、生地の厚みからミシンが重くて糸が切れたり、糸目が飛んだりと苦労した場面を振り返りながら、それでも何とかして完成させていきたいという大切な場面でお役に立てるかもしれないテクニックを1つご紹介したいと思います。

きっかけは、2度目には縫えたことから。。。

このショルダーの引っ掛けられているナスカンとのつなぎ目に、四つ折りをさらに2倍に重ねて縫っていますね。こういったところがハンドメイドバッグ製作では難関箇所の1つになります。生地だけでなく、中には接着芯も貼っています。内部構造がミルフィーユのように重なっているのです。

まだ、上のスポーツメッシュという生地は、柔らかくしなやかなので、針が通りやすいです。メッシュなので穴も開いていますしね。

こうして、素材を工夫するというのが1つ手としてはあるのですが、どうしても硬めの厚い生地で作りたい場合には、当然ここが職業用ミシンの限界を感じるような厚みになります。

厚みと共に硬さも大いに影響しますので、厚くてもずっしりと沈むような粗い織り目の場合は大丈夫なこともあります。

それで、こういう箇所はやはり何度か行ったり来たりミシンを走らせながら返し縫いをしていかねば丈夫に固定されません。

返し縫いも向きそのものを帰りの時に正位置向きにあえてひっくり返す手もありますが、針がきちんと通るかということとはこのことはあまり関係が無いように思います。

それで、下のような案です。

①左:糸を通さずに、針だけで穴をあけることをミシンで行う 
②右:開けた針穴を意識しながら実際に糸を通して縫う

①のように、事前に針だけで空縫いのようなことをしておきます。

そうすると押さえによって地がならされることと、糸の通り道が作られて縫いやすくなります。

そして、②の通り糸を実際に通して縫うということです。

このやり方を気付いたのが、一度目に糸がプッツンと途中で切れて、ほどいてやり直した2度目にはうまくいくことがあったことからヒントを得ました。

ただ、これも不可能な場合もありますので、何度やってもだめなら、その生地が限界を超えているということであきらめねばなりません。

何度もやり直しは、生地をいためますので、生地がかわいそうです。

まだ完成していない状態なので、生地を優しく扱ってあげることは製造者の心得です。

せっかくここまで作ってきてここであきらめたくないという場合に考える1つの策としては今回の策はご紹介する価値はあるかと思いました、

絶対ということではないですけで、可能性がある対策ということで何かの時に思い出してみて下さいませ(^-^)。

あとがき

今回のように、教科書には書かれていない、実体験からの特殊なコツとかやってみないと生まれてこなかった策などを今後もご紹介していけたらと思います。

実際に喜んでいただけると、私の方も長い間ハンドメイドバッグをあれこれ作ってきたこれまでの意味もあると言えますので光栄です(^-^)。