まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
生地は製造された直後からは、「原反:げんたん」と呼ばれる紙製の長い筒棒に巻かれ保管されます。
生地屋様には、原反の状態でお店に並んでいることがほとんどです。
ネット販売でも、原反の写真が入ったショットも写されています。
まず、原反で見る、生地の地の目のお話を先に致しまして、生地を材料に製作するケースの大切な「基本」を解釈する際にご参考にどうぞ↓。
巻いてある生地を開いていきますとこんな風に見ることができます。
「人」では、人間が「天地の向き」に立った時にこの矢印の方向が「縦」で、顔に耳が両サイドに付いています。
原反も人間の配置と同じで耳が左右に位置するという見方、矢印が生地の地の目で、縦方向に当たるのです。
経糸(たていと)と、緯糸(よこいと)の紡ぎ構造で成り立ったアイテムが生地であり、生地の耳は細かく穴が開いた少し違う様相をした端っこの部分です。
あのほつれない分厚い耳の部分は安定していて少し厚みが感じられます。
そして、縦向きの性質としては、生地を引っ張ると硬いこと、横向きは生地を引っ張ると少し伸びます。
これは織物であってもこの特徴があることがこの度の重要ポイントになりますので、ここでお伝えしておきたいと思いました。
基本的には地の目通りに裁断が望ましいが、コスパの良い型入れ(マーキング)も大切、本来の地の目に逆らった横取り裁断が可能な2パーツ「ショルダー」「袋布」
生地にも無地やプリントやジャガード等いろいろな種類がありますが、基本的な糸の重なりの構造は縦向きが正しい向きとして製造されています。
プリントが分かりやすいですが、天地があるような木や木の実が入ったボタニカルな柄は、絵画と同じように、木の幹が下側で葉っぱやお花が上の方という「向き」を持ったものです。
プリント柄も使いやすいように、あえて、向きが上下どちらでも可能に配慮されているタイプも多いですが、縦と横に関しては、必ず向きが必ずあるということです。
そうしますと、地の目に沿う裁断こそが本当の意味で美しく作り上げられるということです。
こうして、地の目を意識して型紙を配置していくわけですが、そうもいかないことも出てきます。
例えば、限られた最終の裁断スペースで、「このパーツの向きさえ変えれば上手くおさまる」などの状況があることもあります。
そして、これまで多くの裁断をし、多くのバッグを作ってきた経験から次の2パーツに関しては、特に本来の縦向きではなくて、横向きに裁断した方がコスパが良く、生地をエコノミーに利用できることが多い例になります↓。
本来なら、ショルダーや支柱を含む取っ手などは、縦向きに出来上がりますので、縦に2本並べて裁断するのですが、長いものは、生地の巾(横の長さ)を利用した方が効率的です。
これをなんとしてでも縦で配置すると、その残りの生地の使い道の配分が悩みの種になるのです。
ショルダーは、力のかかるパーツなので縦向きの方が良いのではないか。。ということに関しては、その後の対策があります↓。
横向きで伸びる方で裁断したというデメリットをカバーする、その後の、接着芯全面貼りがまず1つ。
続いては、観音開き折りに仕上げる厚みの増加、更に仕上げのステッチの本数が豊富であることでベルトがしっかりとしたものに仕上がり、「向き」が本来の方向ではないというデメリットをはるかに超越していくのです。
よって、裁断の向きのデメリットはその後の製作面での工夫で十分フォローできるものだと考えています。
ポケットの袋布も、「わ」で作っていますので、縦に長いのです。
意外にこのポケットの袋パーツが面積を要するものだということが分かっていまして、それでもゆったりとした容量のポケットを作りたいことから、横向きに配置するとコスパが上がります。
ポケットの袋は無地であれば、横向きに裁断したことで何か問題が起きるのかというと「大丈夫である」とお伝えしておきます。
このように、横向き裁断可能な上述の①と②の2例は、実際に取り入れている方法でありまして、特に1つ目の細長いショルダーパーツは毎回です。
ポケットの袋布は、それに比べたら滅多にはないですが、こういった場面が過去に何度か出てきました。
では、すべてのパーツに対して向きを無視した場合どうなるのか。。当然ながら良質なお品にならないと思います。
それほど、生地の地の目が感じさせる整った「風合い」も重要なのです。
まとめますと、基本的には地の目向きで裁断が良質なお品を作ることは正しい解釈です。
ただし、隠れた部分や、その後のフォロー作業が効く場合であれば、縦に長いパーツは横向き裁断をしても問題ないということです。
あとがき
接着芯も、裁断した生地の向きにそろえた接着芯の地の目で馴染ませることが望ましいです。
柄がパッと華やかなタイプに依存し過ぎた製作は、なかなかこういったことを見落としがち、まっさらの無地や織柄が特徴あるものも含めた生地全体を常に俯瞰して見ることです。
本来のベーシックな部分の「原反」というところから生地という材料を利用させていただいているのだという見方、是非大切にして下さいませ(^-^)。