まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
今回は、1990年周辺のデザインであると思われるヴィンテージのバッグを購入後、自分の希望するような使い方をしたくて自主リフォームを致しました。
基本的には、元あるお品をそのまま譲り受けて使っていければ良いのですが、時代の変化とともにそうもいかないことがどうしても起きていきます。
元のデザインは、正面のフックに外れないような頑丈な設置でチェーンが通され、全体で黒とゴールドのコントラストが効いた華やかなナイロンハンドバッグでした。
チェーンも斜めがけではなく、ハンドバッグを肩に引っ掛けるドレスライクな持ち方のいかにも1980-1990年のファッションを彷彿とさせるような長さです。
購入は2015年くらいですが、購入時にすでに思っていたことがあります。
それは重すぎるバランスの悪いチェーンが気になるのです。
ある時代では、チェーンのゴールドの輝きが華やかさとパワーを見せるというような価値があったかと思います。
しかし、現在は見かけよりも持ち心地とか体への負担の無さがより重視されているようであり、自身も同感です。
2015年の購入時も、「チェーンは外そう、入れ物として使っていこう」こんな風に思いながらの購入でした。
古い物の割には非常に綺麗で、チェーンのピカピカな様子、内側の新品同様の綺麗さから、ほとんど使用していないお品であることが見て取れました。
そのようなヴィンテージ物に出会えたことがまずはラッキーだと思いました。
その後、不可能であるチェーンの留め具の部分をペンチなどを使い時間をかけて取り外し、まずはセカンドバッグへ。。
その時にはまだ、マグネットボタンが付いていました。
そして、その後、このセカンドバッグへのリフォーム品の中に大切なカードなどを収納するようになりました。
そこで、気になりだしたことが、マグネットボタンの磁気。
以前にハイブランドバッグの入り口の強力なマグネットボタンの磁気によって(予想です)、銀行の通帳、カードと次々に磁気が壊れて使えなくなる不便な事態を経験。
その時気づいたのです。バッグの入り口のマグネットボタンの磁気に物の出し入れの際に影響していることを。
そして、マグネットボタンをマジックテープに交換したのが、下の写真です。
ある程度ミシンを扱えること、自主交換しやすいバッグのデザインであったことで、上手く行きました。
今度はトートバッグをそのままトートバッグで今後も使用していくマグネットボタンのリフォーム例
上述のお品は、過去に自主リフォームした記録でした。
今回、もう1点同じ黒のナイロンバッグに気になるマグネットボタンが付いているお品が手持ちの中から見つかりました。
1995年くらいに購入のお品です。
過去にマジックテープに付け替えたように全く同じ要領でリフォームしてみようと思いました。
すると、驚く光景を目にすることになりました。
個性的な形のマグネットボタンになっている理由を読み解く
少し脱線です。
マグネットボタンというのは、一般的な形としては、2枚のプレート状の刃を生地に差して反対側に折り込んで留めます。
下の写真では左側のような形です。
ところが、このたびのトートバッグのリフォームでは、マグネットの爪が一般的な左右のみの開閉式ではなく、放射線状のものだったのです。
写真では右側のものが今回のマグネットボタンです。独特ですね。
簡単には外せないようにしてありました。ここに製造メーカー様のデザイン変更への阻止策を見ました。
よくジュエリーのリングにサイズ直しできないようリングのちょうど真ん中位置に刻印が入れてあることに類似しています。
そんなことを考えると、とりあえず、「申し訳ございません<m(__)m>」とまず一言。
ただ、どうしてもリフォームする必要があったのです<m(__)m>。
左側が一般的なマグネットボタンのイメージと同じ形をしていますが、右が今回のバッグに付いていた形で、初めて見ました。
こちらは、裏面なのですが、表側のパーツと真ん中に本体の布を挟んで完全に一体化している様子でした。
おそらく、ドットボタンのような考え方で、道具で打ち込んで二度と外れなくする作りを独自に考案されたようなのです。
私はこうやりました!マグネットボタンをマジックテープに交換する作業の過程
特にリフォームの技術や長い経験のない私が行ったやり方です。
それほど複雑な形には見えないので結構簡単に作業できると最初は思っていました。
ただ、放射線状の特殊なマグネットボタンは、上述の通り、取り外しができないように固定されている作りなので、やむなく生地を少し破って取り外したことがちょっと気持ち的にあまり良いものではなかったです。
まず、マグネットボタンのすぐ近くの縫い目から、必要な分だけ、ほどいていきました。
入り口が「わ」なので、このファスナーの周りをほどかないとマグネットに到達できないのです。
2cm近く進むと、ほどきやすくなってきます。
その後は、開け過ぎず必要な分だけにとどめます。
めやすは、ファスナーの行きどまりの端っこ位置より1cm以上は手前でないといけません。
後でもう一度閉じる時に、3次元の世界になってしまって、普通のミシンでは行えないからです。
たとえ見えなくなってしまう箇所でも、糸で破れたところを修繕しておくのは、気持ち的にとても安らぎます。
その後も永く永く持っていけることにつながる見えない箇所の手間のかけ方の例です。
そして、反対側の相方であるマグネットボタンも取り外します。
まさかのマイナスドライバーの登場で、プレートを起こし、円の面積を小さくしておいて、リッパーなどで生地をカットして取り抜きます。
これでも生地にキズを付けることが乱暴で心もとないですが、ドットボタン形式に取り付けてあるので、どう引っ張っても取り外せませんでした((+_+))。
仕方がないのです。
そして、マジックテープのオスとメスをそれぞれ、もとのマグネットボタンのあった位置にかぶせるようにして、縫い付けます。
返し縫いをしながら、2.5mmほどのミシン目でまっすぐに、丈夫に縫い付けます。
黒いマジックテープになじむ黒糸はマストです。
そして、同じことを反対側の相方のマジックテープも行います。
マジックテープのオスメスはどちらを前側か後ろ側かなどは、どちらでもいいと判断し、こだわりませんでした。
そして、この後は、一時的に開けていた空き口をふさぐという始末を両側とも行います。
反対側はこちらとまた、作りが違いますが、閉じる作業を行いました。
左側の写真のファスナーが絡む方も、それほど簡単ではなかったです。
右の方は、そもそも3次元の世界。
今から、同じようにするには、ミシンがバッグの中に入り込まねばできませんので、そんなことは不可能で、やむなくつまんで山を重ねて縫うという方法になりました。
しかし、綺麗に縫えれば、中側であるし、黒いバッグということで、目立つものではありませんので、これは仕方がないことです。
私はミシンでやったのでこうなりますが、手まつりであれば、ある程度3次元の世界観で行えまして、ハギ目の突き出しが無いです。
いかにお直しがしにくいような作りに考えられていることがよく分かりました。
元の構造は、唯一のデザインとしての哲学が入っていることが見て取れました。
よって、なかなか後で手を加えにくくなっているバッグなのです。
見た感じは簡単な作りのように見えますが、実は隠れた内部の構造にものすごい工夫がしてあったという貴重な経験をしました。
では、これで、完成です。
この写真でははっきりわかりませんが、実は手前のマジックテープがちょっと斜めにゆがんで付いてしまいました(;'∀')。
このまま今回は仕上げてしまいましたが、ここから得たことは、マジックテープをマチ針1本で留めていましたが、2本ほど使うか、ボンドで縫う場所以外の数か所を貼り付けて、固定してから行うのがまっすぐに出来上がるコツかも。
さらに、縫い付ける時は、一気にぐるり1周して、その後、2度目のステッチに二重にするなどのやり方が良いですね。
私がずれてしまったのは、返し縫いしながら前に進めていったので、これもずれの原因です。
そうして、このように入り口の留め具が変身したわけです↓。
あとがき
以前に、貴金属のお店で、こういう話を聞きました。「指輪のお直しは、実はできるだけしない方がよい、お直しによって石がぐらつきます」という店員さんの言葉です。
今回、どうしてもお直ししたいので修正しましたが、この時の言葉が思い出されます。
元の形というのが一番望ましく作られているものです。
後から手を加えたりすると、今回のように、生地を切らねばならなかったり、再び閉じた口が、前と同じようにどうしてもできなかったりということが起こってくることがありますね。
最初の形が一番美しいのだということを分かった上でリフォームした方が良いです。
私はそこまでしてもマグネットボタンが気になっていましたので、満足はしています。
でも、注意しなければならないのは、手を加えたことによって、弱いお品になるのはよくないので、広い目で行く先を予想するということもとても大切です。