まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
バッグのファスナーというのは、玄関のようなもの。
整ってスッキリしている状態がやはりグッドです。
今回は、ファスナーがものすごく波打って出来上がってしまったバッグについて、リフォームのような作業をしながら、その波打ちを解消していきたいと思います。
そもそもファスナーが波打つ場合とそうでない場合の違いは?
どんな場合でも大きく波打つというわけではないです。
大きな1つの原因として、ファスナーに縫い付けられる生地があります。
ファスナー自体は大きくはそれほど伸び縮みするものでは本来ないと思います。
ただ、ファスナーに縫い付ける生地があまりにも伸びる生地だったり、洗濯によって生地が縮み、そのパワーでファスナーも一緒に動くという物理現象があったりします。
今回の私の例では、前者の、生地がよく伸びる生地であることが原因となります。
ニットだから伸び、織物はそれほど伸びないというのが一般的な考え方ではあります。
今回は、しかしながら、ニットではなく織物なんですね。じゃあなぜ。。。
織物ではあるのですが、フクレジャガードという名前が付いていて、ぷっくりと膨らんだ立体的に見せる加工がしてあります。
当然ながら、ぺったんこの平らな生地からつまんで、膨らませる分の余分な生地が膨らみになりますから、その余分なスペースが結局ゆとりであり、伸びるといった現象になって現れることになります。
なので、ある意味、目のしっかり詰まった固く編んであるニットよりも伸び率が大きいかもしれません。
このブログ記事のちょうど1つ前の【27】の記事では、同じミニボックス型ショルダーバッグが完成した記録を掲載しました。
その時の紺系のマルチカラーの変わりボーダー柄はニット生地だったのですが、この問題が起こっていません。
ということで、フクレなどの加工物は織物であってもニット以上に伸びる生地のゆとりが多く、注意が必要だということです。
一筋縄ではいかなかった波打ち解消の作業
まず、とりあえず、ファスナーを取り外さねばなりません。
今回の場合お直しが可能な物理的状態にありました。
よって、ファスナーに縫い付けてある口布部分のみを糸を切って取り外します。
このデザインだからできることであり、また、このデザインだからこそ、波打ちが目立つとも言えます。
そして、ファスナーが綺麗に取り外せたら、伸び止めテープを貼るという対策をしました。
伸び止めテープは本当は黒の方が良かったですね。いや、たとえ黒であっても飛び出さないようにわずかな隙間に隠さねばなりません。
よって、9mm巾の伸び止めテープを縦に、半分にカットして、4.5mmにして使います。
これで、表から見えることがなく、中に隠せるかと思います。
そして、アイロンで、生地側に飛び出さないように気を付けて接着します。
そして、ミシンでファスナーに縫い付けます。
その出来上がりが、こちら。
あれれ?。
あまり変わり映えがしませんね。とんだオチでした。
結果的に、伸び止めテープを1枚仕立てで通常のようなやり方では、通用しなかったのです。
分かりやすく、ビフォーアフターで比べてみますね。
ということで、いったんエラーということになります。
そこで、次の対策として、伸び止めテープを重ねて貼ることにしました。ただ、2枚だとあまり変化がなく、またやり直しになるかもしれない手間もあり、思い切って3枚重ねです。
その結果がこちらです。
分かりやすく1枚仕立ての状態と並べますね。
だいぶ、良い状態に進んだようです。最初と比べれば、劇的ですね。
次は、段階ごとの移り変わりも見てみましょう。
とりあえず、解消はできたということです。
ただ、完璧に波打ちがなくなったとは決して言えません。あくまで解消の領域内であり、完全に成功ということではないのです。
これが厳しい現実です。
完璧に波打ち/うねりは無くせるのかどうか
ところで、完璧に波打やうねりは皆無にできるのでしょうか。
これは、おそらく、不可能だと私は結論付けました。
ただ、劇的に解消はできるという検証結果がこのたびのリフォームで出ました。
ニットの生地とか、伸びるような生地を使う宿命として、この現象はどうしても起きてしまう仕方がないことです。
が、今回これほど劇的に解消できたのは、良かったことです。
あとがき
今一度最後の方の検証結果の所を振り返りますが、今回のうねりの解消で、完全には「うねり」現象は、完全にはぬぐい切れないものだということを結論付けました。
それなのに、このバッグを作って行くの?ということになります。
ということで、最終的な結論は、「こういった完全が実現できないようなデザインは作るべきではない」というものです。
私は大切なことを忘れていました。
一度考えたので作り続けていかなければいけないのだという固定観念。
これは間違いで、自分が腑に落ちない状態にしか出来上がらないものを製作するのかというそもそもの最初の時点の判断を、「製作しない」というジャッジにするということもできるのです。
まあ、そこまでということであれば、少なくとも、今回のフクレジャガードはファスナーと組み合わせるべきではなかった、ファスナー仕様の無いバッグのデザインに製作するべきであったと言えます。
これこそがこのたびの最も重要なポイントです。
どんなお品でも綺麗に出来上がることができないものはそもそも作らない、ということで、「切り捨て」の大切さがあります。
切り捨てるなんて冷たいようですが、悪いお品を商業利用することこそが一番冷たいことなのです。