美しいうねりはまるで丹後の海のよう、「うらにし」の物語を知った上での「丹後ちりめん」の生地に対する見方の変化【201】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「何て美しい畝(うね)なのだろう。。」誰もが感動する芸術的な「縮緬:ちりめん」という生地。

特に「丹後ちりめん」は格別です。

美しさの裏には、なんとも皮肉ながら産地品活動の多難の歴史がありました。

このたびは、冒頭のような生地の美しさへの興味から、その生まれや作り手などの背景に迫ってみたいと1冊の古い本を手にしました。

「丹後ちりめん物語 「うらにし」の風土と人間 :八木康敞 著」。

図書館では「貯蔵庫」行きの古い本だったのです。

京都の北部海岸寄りの地域が「うらにし」という俗称のようなもの。

ハンドメイドバッグ活動ができるのも、生地のおかげです。

こうした二次的な創作物に携わる者としては、まず作ることができた材料に感謝するべきだと思うようになりました。

そしてその材料の美しさの裏にある決して陽の当たるような事情ではない内部の扉を開けた方が良いと考えます。

バッグ作りに利用させていただいたうっとりする程美しい「丹後ちりめん」、その美しさの奥にあった歴史や背景

元は、京都への卸し品としてお仕事を受けたという流れがあったその歴史には、今でいう「ブラック」な面も多々あり、前途多難なぐらつきを伴う本来成り立たないような背景があったそう。

一揆の記録も綴られ、血も流れたのでした。

なぜ、こうして「衣」に携わる製造活動が「搾取」無くしては成り立たないのかというのも、どこかで必ず「王様的存在」がいるという構造が軸にあるからだと思います。

非常に皮肉なもので、生地が美しいことと相反するかのような苦難の歴史が共なった生地なのです。

立派な製造物が出来上がるところまでの、その製造者達の心の内が本当に満たされているのか。。近年の「サステナビリティ」の動きはここにもフォーカスした考え方なのです。

あとがき

「丹後ちりめん」なのではないかと予想した、良質なオーダーメイド品の黒のワンピースを古着で見つけたことがあります(今でも持っています)。

品質表示が無いため、入手直後に早速手洗いをしてしまい、びっくりするほど縮み子供服のようになってしまいました。

「縮ませてしまったから、失敗したかも」そう思っていたところ、乾いた時に元のサイズにまた戻っていたのでした。

この性質には心底驚きまして、ちりめんの性質を目の当たりにしたのでした。

「毛/100%のセーターがホームクリーニングでギュッと縮んで、サイズダウン」というケースとはまた違うようなのです。

ちりめんのシボは非常に丈夫く、バッグにも向くと私は考えます。

ハサミで裁断の際にもハサミに硬い手応えをしっかりと感じ、うねりが均等に配分されほつれにくかったという性質も見つけています。

優れた生地は是非今後も残っていってほしいですし、「本場」と言って良いでしょう、「丹後ちりめん」は大切な芸術品・文化として是非存続してほしいと願っております。

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書き手:ピクチャレスク