基本が「真っ白」というミシン糸の選び方の見直し、白から離れた中間的な「オフカラー」が出来上がりの味わいや魅力へとつながる発見【1239】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

製作見本などでよく引用される真っ白な色の糸。

確かに1コーン持ち備えれば対応しやすいと感じる反面、実際にどんな生地にも白糸では「味気無さ」「センスの無さ」を感じてしまうもの。

スパン糸の真っ白カラー:全く使わないことはないので持っていますが1コーンで十分というほどのわずかな出番。

生地の種類が豊富にあふれた現代ならではだと考えます。

では、「味気無さ」「センスの無さ」と反対のことをしていけば良いのです。

「味わいある糸の色」「センスある糸の色」とは。。を追求していきます。

このたびは、真っ白から少し距離をおいた、「オフカラー」と呼ばれる色の糸が、結構出番が多かった実体験を綴りながら、実際の糸の色をご紹介したいと思います。

真っ白一辺倒な糸のカラーでは、実際には生地には浮いてしまうということから、「自然に馴染むカラー」という選択をするお勧めが出来ればと思います。

白よりも少しだけカラーが入った「オフカラー」の糸の利用の仕方、カーキ・ブルー・イエローなど放射線状に真っ白から離れた味わい深いカラーがある

このたびは、ハンドメイド製作したそのお品が味わい深いものになったり高級感あるものになる糸の「オフカラー」色の展開をご紹介したいと思います。

3cmのダイヤキルト。既製品では真っ白が使われるところですが、この糸の色は真っ白ではないところが特徴。
真っ白ではないオフカラーの糸(一番右は比較のために真っ白も配置しました)。

上のキルトをかけた糸はこれらのスパン糸の中でどれだと思われますか?。

答え:右から2つ目のこの色を選びました。真っ白であると合わないことはないのですが、キルトが浮き過ぎます。

もし、ここに、真っ白のキルトをかけていたとすると、機械的な様相になってしまい、量産でよく見かけるキルトになっていたことでしょう。

しかし、こうして、少しグリーンのような淡いカラーが入っているだけで背景の花柄によくなじみ、柄を引き立てます。

キルトが主役ではない、あくまでもこの美しい小花柄なのだ、キルトは「機能である」という考え方に基づいた糸の色の選択です。

反対に、無地にキルトの色を際立たせる場合はまた話が変わりますが、こうしたマルチカラーなどの柄物は特に、その柄の方を主役にしたいことが多いです。

そうするとこういったオフカラー糸の出番が大いにあるということになります。

デニムのお洋服のリフォームなどのご参考に、カラーステッチ以外の補修の際に馴染ませる場合は白じゃない、むしろくすんだカラーが向いている

再びこれらのオフカラー色のスパン糸の写真を見てみます。

左の3つは結構色が入っていますが、通常のブルー・黄色・グリーンと比べてどれも中間的なカラーです。

ジーンズの裏面に使用しやすいのがオフカラー糸。補修などの際には浮かずに馴染んだ方が良いのです。

このジーンズの裏面を見てみます。

ここに馴染む色は、見たところ、左から3番目のブルーから右へ3コーンの並びです。

実際に合わせてみるとこの3コーンはどの色も相性があるようで裏面に馴染みました

過去に製作してきたハンドメイドバッグでは、裏面にも糸の色をなじませることもありましたので、オフカラーの糸の出番がありました。

デニムの裏面に合わせるカラー:この3色ならどれでも合いますが、ジーンズの裏面の色も物によって違います。

あとがき

このたびは白系の糸の幅広い見方で、「オフカラー」を見てまいりました。

同様に「黒」でも同じことが引用できます。

真っ黒では浮き過ぎる黒ベースのマルチカラーのステッチに、グレーを使うことで汚く浮いていたステッチが馴染み美しくなることがあります。

このたびのような「色をずらす」というアイデア、是非製作に落とし込んでみてくださいませ。

素敵な味わい深い製作品に出来上がりますよう(^-^)。

縫い始めと縫い終わり25cmx4=1mあまりが消費、ステッチに縫われないミシン糸のかなりの割合に「ロス」の部分が占めている事実【1070】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、初めて20番という太番手の糸を手配する機会がありました。

20番は60番などと比べて糸の太さが格段の差、当然同じようなボリュームのコーンの巻きでもそのm数は小さくなります。

何コーン手配すればよいのかの見積もりに、これまであまり細かく計算したことがなかった糸の用尺による必要数を割り出してみたのです。

1点分の製造品に使う全部のステッチがかかった箇所の合計を「ネット用尺・・・裸の実寸のようなもの」として設定、x製造数というような見積もりをするわけです。

複数同じ糸を手配するにあたって用尺が必要になります。

実際に見積もったやり方です↓。

まずは、1点製作してみてステッチした糸の部分すべてを単純にメジャーで計ります。

上糸と下糸があることを忘れてはならないので単純に2倍します。

と、ここまでは出来上がった実寸でしかありません、いわゆる「ネット用尺」です。

しかし、よく考えると見落としてはならないことがあります。

それが、縫い始めと縫い終わりの余った糸のタランとした部分。

あれって20-25cmくらいあることもありますね。

1そうしますと縫いを途中で区切る数が増えれば、それだけ、その余った糸の縫い始めと縫い終わり、そして、上糸と下糸という風にざっくりですが、25cmx2x2=100cm(1m程)が一度の縫いのターンでロスが出るということになろうかと思います。

このたびは、このロスも用尺に入れることが結構な分量であり、糸がいかにロスの多い材料であるかということを共有させていただく回になります。

量産の糸手配は、不足よりも余った方が作業がスムーズ、多めに見積もる以前に忘れてはならない縫い始めと縫い終わりのロス

<ボビンにフルに巻いた下糸の長さ>30番スパン糸=17.5m/20番スパン糸=12.5m(実際に測量済)。

製品が出来上がってから算出する場合には、ボビンを何度交換したかをめやすに、上の「30番スパン糸=17.5m/20番スパン糸=12.5m」のデータをもとにだいたい分かるものです。

ただ、前もっての手配となると、少しお話が別になるのです。

できれば、ちょうどぴったりな分量を手配したいものですが、万が一不足の場合に、もう二度と手に入らないような特別な状況の中見つかった糸もあります。

よって、多めに手配して余るという形が結局慌てずに安定して作業ができるので、場合によっては1コーン程余らせることも複数製作ではあり得ます。

後になってもったいないなあと思うこともあるかもしれませんが、糸の場合仕方がないです。

また保管しておいて、別のお品に使う方が不足で悩むよりも良いのです。

結果は、5コーンの手配に対してまるっと1コーンと+α余りました(1コーンで600m巻でした)。

このたびの20番はわけがあってたまたま在庫にあったというメーカー様のお話。

通常なら入手できなかった糸だと思いますので非常に貴重でしたし、何よりも20番が体験できたことが「宝」です。

あとがき

当ブログ記事は最初の投稿の2022.08.28からおよそ2年後の2024.09.16に「手直し」の順番で、タイトルから考案し直してここまで綴り直してまいりました。

今この2024年で当時の2022年を振り返りますと、大変貴重な経験として、複数同時製作を何ターンかやらせていただいたことです。

その中で糸の用尺を出来るだけ現実的に見積もる体験が後にアウトプットしていけることになりました。

2024年現在では再び1点物ずつの製作・コンテンツ制作に集中しています。

量産と呼ばれるものが、いかに無駄を生むのかということもあらかじめ余分に手配する必要性から分かります。

非常にに矛盾することなのですが、お得に仕上げるための量産なのに材料を余らせているのですからお得には作られていないとも言える実態なのでした。

こうした構造は、もっと大きな規模ではこれまでのアパレルの姿につながることです。

同じことを繰り返すのではない、新しい形を各々携わる者が考えていくことが非常に大切であり、そのためにはこうした実態を自ら知るところは非常に大切だと思いました。

1点物が割高だというイメージかもしれませんが、工夫次第ではそうとも言えません。

一人一人が丁寧に1点のお品物を時間をかけて仕上げていく素敵さ、素晴らしさこそもっと重要なことではないかと(^-^)。