ハンドメイドバッグを作っている者が一流ブランドに学ぶ拘りと技術について【724】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回、「シャネルの戦略:長沢伸也 編著/杉本香七 著」という本を読ませていただきました。

10年以上前に書かれた本ではありますが、現在でも大変参考になる内容です。

他の一流ブランドについても、著者様が多くの研究の末、書かれているのですが、今回は、その1つとしてまずは私が一番気になるブランドということで読ませていただきました。

むしろ私達のようなプチ業者こそが参考になるシャネルの方針、価値観、考え方など

この本から、私がいくつかピックアップしまして、メモをしてあります。

今回、その印象に残ったシャネルの方針に大変感銘を受けた部分だったり是非同じようにトライしてみたいことなどをご紹介したいと思います。

まず、ここでお伝えしたいのは、プチ業者が大きな有名一流ブランドを参考になどとレベルが違い過ぎると思われるかもしれないですが、実はそうでもなさそうです。

まず、1点目。

1)非上場、株式非公開の事業形態であることです。

とても意外ですが、あのビッグな世界中の人々が知るブランドさんが、大企業の証である上場をしていないということです。

これにも訳があり、メリットが大きいようです。

もしも上場したり、株式公開がされていると、事業以外の分野からのしがらみによって事業が自由にできない点が出てきます。

私たちの目には意外ですが、シャネルという企業は、陰での数多くの努力とか、実らない日の目を見ない部分の努力の期間も長いと聞きます。

そうした努力の途中段階では、目立ちすぎる存在でいると、落ち目だと悪い情報を流されたり、せっかくの将来の実りの為の種まきとか、地道なコツコツとした歩みがしにくくなるのです。

そういった点で、ひっそりと影の努力が人知れずのびのびとできて、とても向いている形態のようです。

2)オーナーは、シャネル社自身ではなく、資産家のヴェルタイマーであること

シャネル社とは言え、経営者は別にいらっしゃいます。

別で馬とか高級品の事業も手掛けるヴェルタイマー一族。

大きな資産家をバックに持つことで安定感のある会社でいられるわけです。

アパレル業だけでは、なかなか難しいところを、他で多くの収入のあるヴェルタイマーはシャネルに翻弄されることが無いという強く安定の経営者みたいです。

頼もしいですね。それもこれも、信頼関係のもとということになりますので、通常は相手にもされない分野であったかもしれないファッション関係の事業でありながらも、そこが資産家に見初められたのだということですね。

3)香水事業はアパレルの資金源

どの一流ブランドも香水事業を持っていますね。

あれには訳があって、香水事業こそが一番利益が出せる分野であるようなのです。

とても意外です。

そうして、香水事業で得た資金源をアパレル事業の方の投資に使えるというものです。

この事業の仕方にはヒントが詰まっています。

香水でなくとも、1つの分野だけでは難しい事業をどうしてもやりたい場合に、他の利益が多くあげられる事業も行うことで全体を安定的にしていくというもの。

いかに1品だけを商売にしていくことがリスクなのかが分かる例です。

このようなビッグブランドでさえ、多角的な部分がある必要があるということの証明になります。

4)創始者亡き後の目覚ましい発展

創始者がなくなると衰退するものが常。シャネルの場合、引き継ぎ役が大変優れていました。

その一人が、「カールラガーフェルド」。

彼も惜しまれながら、2019年になって間もなく亡くなりました。

この方のシャネルブランドの引継ぎ方が非常に良かったために、シャネルが、新しい形で引き続き発展できたことにも大きく貢献したようです。

古いものを守っていては衰える、思い切って捨てて、ベースにある価値観とか、スタイルのみを残し、それでも変化し続けていく。。。

創始者、ココ・シャネルの価値観を、シャネルブランドに携わるメンバー全員がきちんと理解して、大切に継承しているといったことが徹底的です。

5)基本的な事を地道にやり続けていく

こういったことは、大変学びになります。あんな良い地位にあるブランドでも、これを怠れば奈落の底ということを肝に銘じているのです。

よく、ビッグスターが影では努力しているのだという話がありますが、同じです。

ビッグになればなるほど、その座を狙うライバルも負けてはいませんので、それ以上に上回る大きな要が必要です。

それは、明日や明後日に花咲くものではなく、過去から長い時間をかけた磨いてきた技術であったり、研究であったりというもの。

長い月日は、ライバルが今焦ったところで、何か魔法のようなテクニックで追い越せるものではないのです。

それほど時間をかけるべきところにかけてきた重みというものの力はどんなものにも勝るものであるということです。

6)創始者ココ・シャネルの名言、「ファッションは消えゆくもの、スタイルは残るもの」という考え方

大変分かりやすい文言です。

よく分からなくなってしまいがちな、ファッションとスタイルの違い。

これが根本的に違うものだということです。

表面的な浅いファッションに対してスタイルは奥深いです。

私は、スタイルって、「らしさ」なのかなあと思っていますが、らしさはブランドの力を高めるには大切な部分です。

あとがき

お客さんを呼び込むマーケティングにもきめ細やかな工夫があったようです。

まるで、一人一人に訴えかけるような仕組み。

そういった表にはなかなか出ない影の地道な活動が結果としては大きな成果を生むようで、数字にもつながっていったようです。

そして、その一人一人に訴えかけるような仕組みというのも、無駄のないように、引っかかるべき相手に到達するような工夫とのこと。

ひたすら、メルマガを、見てもいない人に送り続けるという技術があるようです。

他数の内の一定の割合の幾人かに届く情報の事業手法もなるほどとうなずけます。

送る相手を多くすればするほど、ある一定の割合という数も比例して増えるので、いかに多くの相手に送るかということになるかと思います。

しかしながら、メルマガを開けもしない人には無意味です。

届く人が多くなる分、届かない人も多くなるというものです。

そういったこととは逆の、届くべき人をあらかじめ選定しながらのアプローチというものをしているそうです。

現在のネット社会ならではの前者に比べて一見、効率が悪そうなことですが、長い目で見れば、信頼とか喜びに繋がることかもしれません。

こういったきめの細かいことを大手のシャネル社がやっていることに驚きます。

やはり、一番最初の、非公開企業ならではの可能なやり方なのだと思うと、すべてをシンプルに、余計なことはそぎ落とし、ブランドの発展だけに集中できる体勢というものもちゃんと作ってこれたことが現在の存続の結果に出ているのでしょう。