決して完成品では見ることのない貴重な裏側、バッグの製作途中のファスナーポケットの裏側の「袋」の構造【68】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在ハンドメイドバッグ製作におきまして、「同素材シリーズ」という企画を続行中です。

同素材で5デザインを連続製作、素材が同じという条件下でデザインや作りにより一層着目する研究の一環です。

5デザインのラインナップは、①ドーム②バニティ③巾着④ボストン⑤リュック、このたび製作に入りますのは③です。

前半部分ですのでまだ完成しておりません、完成の巾着ショルダーバッグは【70】の投稿でご覧いただけます。

当回は、前半部分の工程の中のファスナーポケット作りの裏側をお届け。

「事」の裏側。。つまり「裏事情」でもありポケットを成り立たせてくれる貴重な部分。

決して完成したバッグの表からは隠れて蓋を閉じてしまうため見ることがありません。

是非、ファスナーポケットの袋が裏面に隠れるポケットの裏舞台のリアルをお楽しみくださいませ。

<同素材シリーズ:巾着-前編>内部に袋が収納されるファスナーポケットが優れた貴重品入れになるようにと願う

表地(右):風通ジャカード、綿/54%、絹/26%、ナイロン/20%。イタリア製。裏地(左):ラメツインクルサテン、ポリエステル/60%、ナイロン/40%。日本製。
柄の向き:生地全体では柄の向きは差し込み型に配置。しかし、小さく裁断すると向きが生まれることに注意。
先に完成したファスナーポケットを映します。こうなるまでにはいったいどういう構造になってのものなのか。。

ファスナーに袋パーツを取り付ける場面はこのたびは割愛、ポケット作りは随分たくさんの段階を経ます。

特に、ポケット袋の形状が変わっていく様子に一番にスポットを当てます。

ファスナーと袋が合体、くり抜きボックス枠に縫い付けられたその後。ハギ目を繋ぐ二重ステッチを入れます。
(左上から時計回りに)袋のハギ目を繋ぎ縫いした後、繋ぎ目をアイロンで両割り。袋を両手で下へずらします。
左上の内部の紫部分に見られるように、ハギ目が左手の人差し指付近に来ています。この状態でアイロン。
最後は、開いたままの袋の左右を縫い代1.5cmで二重縫いで縫い閉じ。これで袋のすべての辺が囲われました。
ファスナーポケットの視界に入る部分:ポケットを覗き見た時の風景です。複数の過程があってこうなるのです。

先程の写真の左手の人差し指付近にあったハギ目はポケットを開けた時には手前に位置します。

ポケットを覗き見た時に、向こう側にあると真っ先に視界に入りますので、ハギ目が視界に入りにくい方の手前側に来るように配置を逆読みした配置なのです。

ファスナーポケット完成後は、蓋のような役割を兼ねた「セキュリティールーフ」を作りました。

巾着袋においては弱い安全性のフォローのような役割です。

このルーフにスポットを当てた記事は過去の【55】で詳しくご紹介しています。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.10.09からおよそ5年半後の2025.03.09にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

2025年ではファスナーポケットは、開け閉めのストレスとセキュリティー性のバランスをとって廃止しています。

とはいえ、バッグの中に1つあると非常に安心感のあるファスナーポケットは優れた機能であることは間違いないと思います。

そして、貼り付けタイプのポケットよりも容量が大きく使える手ごたえもあるのです。

では、2025年現在でファスナーポケットではなくどんなポケットを製作しているのか。。

それは、「片玉縁風」と呼んでいますが、ファスナーを付ける代わりにスーツのポケットのような「比翼」を付けて、更にその上にフラップで覆っています。

この作りは、既製品では色展開の少ないファスナー選びの悩みを解消でき、可能性が無限です。

ただ、先に足を踏み入れたのはこのファスナーポケットの方、この過程なくして後の「片玉縁風」は生まれなかったと思うのです。

こうした過去のブログ記事の「手直し」は、技術が未熟な過去の製作の中にもその後の発展への道程があったとし、大切にしながら内容を高めるためのタスクなのです(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

既製品ファスナーのカラーがマッチする貴重な出会いを活かす、ファスナー色に馴染む美しいステッチの出方【61】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたびから、ハンドメイドバッグ製作をシリーズごとに括るという企画を始めました。

しばらくは、「〇〇シリーズ」というように製作品を特色あるものに括っていくスタイルで進めていきます。

最初は、ハンドメイドバッグでは何といっても重要な存在の生地を主体にしたもの。

全くの同素材でデザインのく違う5点のバッグを作る、「同素材シリーズ」です。

このシリーズで学びたいことは、同じ素材にそろえることで生まれるデザインの違いの真実。

見かけのかっこよさや流行を取っ払った本当の事を探究したいのです。

元々同じデザインの色違いの展開において、カラーの違いによる優劣の差が生まれることを排除、あらかじめ渾身の1色を選んだ1点物製作スタイルなのです。

このことを更に深堀りするにあたり、全くの同じ生地で同じカラーで数点の別モデルを連続製作していくという企画です。

最初は、難易度の高いドーム型(おにぎりのような形)から始めていきます。

このたびはまだ完成に至る前、ファスナーの縫い付け場面の特に内部にあるステッチ(ポケットの中をのぞいた時に見える内部という意味です)の出方にスポットを当てました。

完成のドーム型ミニショルダーバッグは、次の投稿番号の【62】でご覧いただけます。

<同素材シリーズ:ドーム-前編>ファスナーポケットのファスナーが生地のパープルにぴったりで見つかったケース

このシリーズに使用します表地と裏地は共通です↓。

左(黒地xパープル系花柄):表地-風通ジャカード、綿/54%、絹/26%、ナイロン/20%。イタリア製。
右(パープル):裏地-ラメツインクルサテン、ポリエステル/60%、ナイロン/40%。日本製。

上から時計回りに、元生地→裁断→生地ズーム。

表地のボタニカルな柄の中のパープルの部分と裏地はほぼ同色と言ってよいでしょう。

ファスナーポケット製作の手順(左上からジグザグに):四角くくり抜き→ファスナーと袋の合体→本体へ設置。

このたびの部分は、表側の後ろ面に取り付けるファスナーポケット、既製品の付け位置に習ったものです。

ファスナーを丈夫に縫い付けるために、ファスナー自体に二列にステッチを載せている点が特徴。

普通はほぼ一列しか縫われていないことが多いのですが、実はここは非常に圧力がかかる部分でもあります。

そして、出来上がりもすっきりと、ポケットをオープンした入り口の手前のステッチも美しく二列に出るようにしました。

完成したファスナーポケット:ファスナー周りのボックス縫いも二重(2周します)なのです。

あとがき

「たとえ内側でも視界に入る部分は全て表である」という考え方を徹底、その後もこうした一見内部の場所でも気を使うということをやっています。

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.10.01からおよそ5年半後の2025.03.02にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

このシリーズ企画は、2025年から懐かしい過去の記録ではあるのですが、今のスタイルを作るきっかけに間違いなくなっています。

複数のデザインを同じ素材で作ったことで分かったデザイン同士良し悪しは、後の製作モデルを単一化することに繋がっていきました。

出来るだけ寄り道をせぬよう割愛しましたが、実はこの場面だけでも結構突っ込みどころがあるような未熟さが2019年全体では存在していました。

例えば、黒地であるからと思いっきり黒糸を使用したことでファスナー周りのボックスステッチがやや汚い印象。

マルチフラワーの綺麗な色にバランスをとったトーンダウンしたグレー系のような糸の色を選ぶべきであったのです。

その後はこうした望ましくない判断を根本から見直し、そもそもファスナーポケットで素敵な柄を遮ることさえやめています。

ただ、それもこれもこうした企画でよりクリアになった点が良い機会であったということが何よりの資産となりました。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

ミニリュックにポケット2個の充実感、安全性高めのファスナーポケットと物の出し入れスムーズなフラップポケット【46】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

バッグにも必須機能としてポケットが付きます。

どんなデザインにするのか、設置する数などはそれぞれの企画次第。

ただ、一番にはユーザー様の使い勝手の良さに寄り添ったものであるべきではないかと考えます。

2007年からのハンドメイドバッグ道、一番最初に作ったポケットはこちら↓。

吊り下げ式ポケット:一重仕立てで出来上がります。一重仕立ての製作では、このポケットを1個付けていました。

どこかで作り方をご教授いただいた仕様、その後は自らのアイデアでポケットを数種類考案していくことに。。

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.09.07からおよそ5年半後の2025.02.15にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

2025年ではこうしたポケット1仕様のみに行き着きました↓。

コンビネーション型のフラップポケット:フラップを開けると中は片玉縁風隠しポケットがあるという構造。

このモデル1択に行き着くまの段階として、この2019年考案の2種類のポケットを2個設置するという期間がありました。

これはこれで、それぞれ1個ずつのポケットの良さや特性がありますので、このたびは、2019年当時を振り返りながらポケットを使う立場に立った見方でその完成部分をご紹介したいと思います。

ミニリュック自体の完成は、次の投稿の【47】になります。

ミニリュックの1面にそれぞれ最大限のサイズで設置したポケット2種、安全性と使い易さの両方を2個で実現

2025年というのは、このたび製作の2019年2個のポケットの特性をミックスしたものと考えていただくと分かりやすいかもしれません。

ミニサイズのリュックに、1面に最大限のサイズの2種のそれぞれのポケットを設置。

ファスナーポケット:こちらは表地の前面に設置。外面にあることでむき出しに対する安全性の実現。
フラップポケットは、先に袋の方を設置。マジックテープを設置して安全性をカバーしました。
フラップポケットの完成:背景と同じ生地ですが、気にせずに同じ柄で馴染むように設置してしまいました。
完成したそれぞれのポケットの俯瞰した眺め:左はファスナーポケット、右はフラップポケット。

ポケットの見かけは全く違いますが、ファスナーポケットは安全性が高い反面、ファスナーの開閉のわずらわしさが付きまといます。

右は、フラップの中はすぐに入り口なので、セキュリティー性がやや弱いことをマジックテープでカバー。

2個設置することで、互いのデメリットを解消しつつ全体の価値を高めるという工夫をしていたのでした。

使用生地:右が表地、左は裏地です。パイル地と服地などリュックには使われないような生地である点が差別化。
表地(カーキグリーンミックス):パイルニット、綿/100%、日本製。右は裏面。裁断すると端が丸くなる特徴。
裏地(グリーン系マルチ草木柄):ジャガードプリント、ポリエステル/100%、日本製。

右は、プリントの一部にまるで自然界の「露:つゆ」のようなぼやけた水玉が表現してあります。

このコンビで成り立つ柄の素敵さにうっとりと魅せられます。

あとがき

小さいバッグの場合は、容量のフォローとしてポケットが2個も付くことで価値が高まると考えました。

ただ、2025年ではファスナーポケットを採用していない理由として、①開け閉めのストレス②ファスナーの色の少なさがあり、最も快適に使える具合をユーザー様の立場に立った中間的な仕様に行き着いたのです。

また、別の切り口からは、表生地に設置すると柄が途切れることなどから、外側にポケットを付けることはしておりませんのが現在の判断です。

そうしますと生地を広々と愛でることができるということになります(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

ポケット設置に希望通りにゆったりとした容量がとれないバニティーバッグ、2重構造にすることで2個分のポケットを実現【40】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

2019年で挑戦しております立体的なバッグ、ボストン型・ドーム型などと並び難易度が高いというイメージのバニティー型のショルダーバッグの製作風景。

製作の前半が当記事の【40】、次回の記事【41】が完成を含む後半部分になります。

このたびは、前半部分で作業時間を占めますポケットの製作にスポットを当て、面積を広々ととれないバニティの内部で同じ場所に二重構造に考案したというアイデアをお伝えしたいと思います。

美しいブルーグレーのジャガードの裏地、バニティー内部の狭い面積のデメリットをポケット二重構造でカバーした

表地は、「紬(つむぎ)シルクプリント」という名前の生地。

これまでのバッグ製作の経験からは、バニティー型は、あまり厚みがあると作れない為、やや薄手の方が成功率が上がると思っております。

背の部分が重なるので、重なってもミシンがしっかり通ることを見込みます。

表地:紬(つむぎ)シルクプリント、絹/100%、日本製。左は遠目、右はズーム。3色以上の定義のマルチカラー。
裏地:ジャカード、ポリエステル/100%、日本製。色はブルーグレー。実際もっとブルー気味です。

つむぎというと着物の紬(つむぎ)が有名ですが、節が全体に横向きに入り、その織り模様が凹凸感があって大変美しいです。

控え目なマルチカラーもしとやか、一時流行のパターンによるたくさんの小花プリント柄とは何となく違う個性は、小花柄1つずつにも入り込むこの「節」のせいでは。

表地のみの状態のうちに早い段階で取っ手を付けます。理由は、ステッチの裏側を内部に隠したいからです。
内側のポケット作り:ファスナー使用で内部にポケット袋が隠れた構造がセキュリティー性をより高めます。
外側のポケット:先に設置したファスナーポケットの次の段階で覆うように貼り付けポケットを縫い付け。
二重ポケットの完成:一瞬1つのポケットしか目に映らないところがセキュリティー性の高さです。

この部分は、生地が重なるので表地にアタリが出ないよう、裏地には薄手を選ぶということもポイント。

以前に表地のジャガード生地の裏面を裏地に使用した製作では、裏地にしては生地に厚みがあり過ぎ、表に響いていたという苦い経験があります。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.08.29からおよそ5年半後の2025.02.09にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

バニティーバッグの成功率は高いものではありません。

どうしても近くにパーツが込み入り、ミシンの限界を感じながら生地に対する条件付きの製作になってしまうことも、なかなか作り手がいない原因でしょうか。

だからこそ挑戦して独自のメソッドが生まれると貴重な「武器」になるとも言えるのです。

そうしますとこうした裏事情こそが大切、上手くできた時であったとしても、デメリットも同時にお伝えすることが苦労した者からの貴重なメッセージです。

当記事のシルク紬は、結果的にはバニティにはあまり向かない生地だったと2025年では振り返っています。

もっとこの生地の素敵さが最大限に生きるようなバッグがあると後から思い、巾着袋を製作してみたのが2022年↓。

色違い生地の巾着袋:柄を広々と見せるような切替えのない丸いラインのデザインの方が向いていたかと。

2025年にもしこの生地を採用するとすれば、おそらく裏地にキルトをかけて使用させていただくと思います。

高級生地であっても、その価格やブランディングに左右されず、フラットな見方をしていきます。

こうして年月が経過するにあたってどんどん考え方を含む製作スタイルも変わっていったのです。

そう考えますと、この2019年にしかない記録としてはこうした高級生地でバニティバッグを作ったことはかえって貴重。

次の【41】でその完成をご覧いただけます(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク