<糸調子>意外と知られていなかったナイロン100%生地の糸調子の難しさ、弾力性があり緻密な織組織には、時にはデニム級の工夫が必要【1302】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

以前にナイロンオックスはっ水加工という生地でバッグを製作した時の事。

随分いろんな苦労をしたものです。

ナイロンオックスはっ水加工はナイロン100%生地の中では定番で身近に入手しやすい生地のイメージですが、実際に手に取ってみて、複雑な製作をしていく中で大きく2つのポイントがあることを知ったのです。

以前に製作したビジネスバッグ(テリーヌ)(左)とやり直し前の失敗した状態(右)。

この右の写真は随分衝撃的です。

1つは、接着芯に織芯を貼ってしまってこのような右の気泡だらけになってしまった失敗。

もう1つは、写真には残っていなかったのですが、支柱部分の4本ステッチが裏側が糸がモジャモジャになって困ったということがありました。

接着芯の件については、別の記事の【764】の記事でじっくりお話させていただいておりますので、ここでは、「ナイロン100%生地もしくは、ナイロンの混率が結構ある(30%-40%)割合の場合には、ニット芯がマストである」という心得で右のようには決してならないと言えます。

織芯の他、不織布芯も不可です。いずれも伸びませんので、融通が利かずナイロンの弾力の動きについてゆけません。

気泡の理由がナイロンの①織り目の緻密さ②弾力性の2つにあります。

そして、この同じ2つの理由で今回お話させていただきます糸調子にも影響が出るということになります。

過去に失敗した支柱のステッチの下糸のモジャモジャの原因をまずはひも解く

ナイロンオックスはっ水加工、ナイロン/100%、日本製。

ナイロンオックスはこのぶつぶつが凹凸感とツヤがあり美しいからこそ、バッグのポイントであるステッチも美しく縫いたいものです。

このナイロンという素材自体あなどってはいけない意外な特性があるということなのですね。

①織り目が緻密、②弾力性がある、というこの2つの性質を持つ1枚の生地が四つ折り観音開きで4枚重ねになった支柱の場合特に①②が4倍にパワーアップすると考えます。

更に、その間には、「ソフト厚芯」が同じように4枚重ねで挟まれますので厚みも増し、パワーも増していくのです。

もはやそれは、セルヴィッチデニムや帆布にも匹敵するようなパワーになることがあるのです。

それを通常と同じような糸調子で済むはずがないと、冷静に考えてみればそういうことになるのです。

こういった厚みが重なるような「支柱や取っ手」作りでは、糸調子が狂うことがあります。

ナイロン100%の糸調子が悪い場合の調整の仕方

では、どのように糸調子を調整していくかです。

先程デニムに匹敵するようなお話をさせていただきましたが、デニムの時も糸調子が特殊でした。

通常では、糸調子ダイヤルが1.5-2.0辺りなのが、ある日デニムを縫う時には糸調子ダイヤルは思い切って3.0周辺まで上げていくと合います。

ただ、4には行きません、

糸調子ダイヤル:押さえを降ろした状態で必ず見ます。デニムの場合3.0手前まで絞ることがあります。

デニムの場合は、よくカジュアルテイストなスパン糸を使いますが、スパン糸では、職業用ミシンの糸案内の3つ穴に通常では2つしか通さないものです。

そのように取説にも書いてあるからです。

しかし、私の実体験からは、デニムや帆布の場合に、スパン糸でも3つとも通します。

この方が、糸調子ダイヤルよりも効果があると感じました。

糸案内:通常スパン糸では、右の穴の上方向から入れ込む向きで真ん中を外すことが推奨されていますが、
デニムではすべて通してやっています(右の下から入れ込んでスタート)。

次に「テトロン糸」の場合で考えてみます。

私の考えですが、ナイロンオックスの場合、つるりとした高級感を活かすには、テトロン糸が見かけの素敵さでは勝ると思っています。

そうした時に、あのような支柱のような重なり部分で糸調子を整えるには、テトロン糸であっても、糸案内の3つの穴通すことです。

これをスパン糸のように真ん中を飛ばしたことで、下糸のステッチがぐちゃぐちゃになった過去の失敗がありました。

また、それでもまだ調子が整わなければ、初めてそこで糸調子ダイヤルをしぼっていくということです。

先に糸調子ダイヤルをいじるよりも、糸案内の三つ穴通しの効果の方が大きいということを再びこことでお伝えしたいと思います。

あとがき

もしも、糸調子に困った時には一度今回の私の過去の失敗が成功へと転化したエピソードを思い出し、お役立てくださればと思います。

意外に取説などには書かれていないことです。

実際にナイロン100%をたくさん複雑な構造で縫ってきた者がお伝えできることです。

簡単な三つ折りや2枚重ねでは、もしかして問題なく通り過ぎてしまうのかもしれません。

そうすると問題が起こらないのでこのようなことを知ることはありません。

複雑なバッグに挑戦したからこそ起こった問題であり、学びであったと言えます。

わざわざ希望しない難しいアイテムを作る必要はないと思いますが、「あのデザインをどうしても作りたい」と思った時には、もしかして困難が待ち受けるのかもしれません。

しかし、そんな時にも、元あるよく言われている定番の「ルールとかしきたり」もある種の固定観念となってしまう場合があります。

実体験して良くなっていった結果が出れば、それこそが「正解」だと言えます(^-^)。

ナイロン/100%、もしくは、ナイロン混の生地に貼る接着芯はニット芯がマストである【764】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在、新たなメッシュ素材でのハンドメイドリュックの製作に取り掛かりました。

その中で早速ながら、これはお伝えしたいという件が出てまいりまして、ここで記事アップとなります。

それは、選ぶ接着芯についてです。

ナイロン素材に貼る接着芯を間違えた失敗の経験から言えること

過去に、ナイロン/100%のバッグを製作途中で芯地を織芯を貼ってしまったことがあります。

実は、このことが大きな「タブー」なことであると後から気づきました(^_^;)。

織芯というのは、こういったもの。

下の細い反の方が織芯です。上の太い方はニット芯。何かビシッとまっすぐなのが下の織芯の特徴ですね。ハリコシがニット芯よりもダイナミックに出ます。もう少し素材感が分かるようアップしてみます↓。
右が織芯。左はニット芯です。
右の織芯は、ハリコシに関しては抜群でも、柔軟性の面では、伸び縮みがないのが特徴です。
この織芯をナイロン/100%に使用してしまった過去の失敗例です↓。
気泡がたくさんできてしまいました。
この気泡ができる原因としては、
ナイロン/100%自体の織り糸のナイロン糸が伸び縮みに富んだ弾力性のあるものだということにあります。
特にストレッチとかゴムとか関係なしにナイロン/100%の織物の生地に言えることです。
これがとても意外ですね。接着時にアイロンの熱を加えて気泡事件が起きたのです。

ということで、この時に、この後ニット芯に張り替えて、見違えるツルリとした滑らかな見栄えになりまして、解決しました。

アイロンの熱との関係が大きいのです。ナイロンの素材にアイロンを当てると、もちろんニット芯であってもきゅっと縮みます。そして、その後もまだ動きがありまして、熱が冷めると今度は戻るようです。

そうすると、伸びの方と縮みの方の両方によりナイロンが忙しい動きをするということだと解釈しています。

写真1枚のショットではなかなか分かりづらいですが、アイロンの先端周辺が縮んでいる様子です(YOUTUBE動画がよく分かるので後程下に貼る動画をご覧になってみてください)。

ナイロンは、40%程度でもニット芯が必須な件

以前に、ナイロンが一部混率に入っている素材でも同じことが起きました。

ナイロン/100%よりはましですが、とても見栄えは美しいものではなく、失敗の芯貼りの結果だと思いました。

ということで、ナイロン/40%が入っている程度でも同じことが起こるということで、混率の中にナイロンが入っている時には是非アンテナを張り巡らせていただきたい。

こういったことが起こらぬように、わずかな混率であっても、ニット芯をお使いいただくと安全かと思います。

結局ニット芯というのは、そういったことも総合して、すべての素材に対応しやすいのですね。

ただ、私は、織芯が好きで、あのびしっとしたパキパキ感は織芯ならではです。

よって2種類持ち備えて、使い分けをしているわけですね。

あとがき

芯地1つでもなかなか奥が深いものですね。

いろんな素材を使ってきたからこその学びであったとも言えますが、個人的に、綿や麻素材よりもつるりとしたレーヨン、ポリエステル、ナイロン系が好みなので、触れる機会が多いです。

そんなこんなで、最初から注意点のあった裏地素材、どんな内貼りになっていくのか、また、バッグになった時のこの花柄が内側で美しく広がる感じを後日の投稿でご紹介します(^-^)。