まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
以前にナイロンオックスはっ水加工という生地でバッグを製作した時の事。
随分いろんな苦労をしたものです。
ナイロンオックスはっ水加工はナイロン100%生地の中では定番で身近に入手しやすい生地のイメージですが、実際に手に取ってみて、複雑な製作をしていく中で大きく2つのポイントがあることを知ったのです。
この右の写真は随分衝撃的です。
1つは、接着芯に織芯を貼ってしまってこのような右の気泡だらけになってしまった失敗。
もう1つは、写真には残っていなかったのですが、支柱部分の4本ステッチが裏側が糸がモジャモジャになって困ったということがありました。
接着芯の件については、別の記事の【764】の記事でじっくりお話させていただいておりますので、ここでは、「ナイロン100%生地もしくは、ナイロンの混率が結構ある(30%-40%)割合の場合には、ニット芯がマストである」という心得で右のようには決してならないと言えます。
織芯の他、不織布芯も不可です。いずれも伸びませんので、融通が利かずナイロンの弾力の動きについてゆけません。
気泡の理由がナイロンの①織り目の緻密さ②弾力性の2つにあります。
そして、この同じ2つの理由で今回お話させていただきます糸調子にも影響が出るということになります。
過去に失敗した支柱のステッチの下糸のモジャモジャの原因をまずはひも解く
ナイロンオックスはこのぶつぶつが凹凸感とツヤがあり美しいからこそ、バッグのポイントであるステッチも美しく縫いたいものです。
このナイロンという素材自体あなどってはいけない意外な特性があるということなのですね。
①織り目が緻密、②弾力性がある、というこの2つの性質を持つ1枚の生地が四つ折り観音開きで4枚重ねになった支柱の場合特に①②が4倍にパワーアップすると考えます。
更に、その間には、「ソフト厚芯」が同じように4枚重ねで挟まれますので厚みも増し、パワーも増していくのです。
もはやそれは、セルヴィッチデニムや帆布にも匹敵するようなパワーになることがあるのです。
それを通常と同じような糸調子で済むはずがないと、冷静に考えてみればそういうことになるのです。
ナイロン100%の糸調子が悪い場合の調整の仕方
では、どのように糸調子を調整していくかです。
先程デニムに匹敵するようなお話をさせていただきましたが、デニムの時も糸調子が特殊でした。
通常では、糸調子ダイヤルが1.5-2.0辺りなのが、ある日デニムを縫う時には糸調子ダイヤルは思い切って3.0周辺まで上げていくと合います。
ただ、4には行きません、
デニムの場合は、よくカジュアルテイストなスパン糸を使いますが、スパン糸では、職業用ミシンの糸案内の3つ穴に通常では2つしか通さないものです。
そのように取説にも書いてあるからです。
しかし、私の実体験からは、デニムや帆布の場合に、スパン糸でも3つとも通します。
この方が、糸調子ダイヤルよりも効果があると感じました。
次に「テトロン糸」の場合で考えてみます。
私の考えですが、ナイロンオックスの場合、つるりとした高級感を活かすには、テトロン糸が見かけの素敵さでは勝ると思っています。
そうした時に、あのような支柱のような重なり部分で糸調子を整えるには、テトロン糸であっても、糸案内の3つの穴通すことです。
これをスパン糸のように真ん中を飛ばしたことで、下糸のステッチがぐちゃぐちゃになった過去の失敗がありました。
また、それでもまだ調子が整わなければ、初めてそこで糸調子ダイヤルをしぼっていくということです。
先に糸調子ダイヤルをいじるよりも、糸案内の三つ穴通しの効果の方が大きいということを再びこことでお伝えしたいと思います。
あとがき
もしも、糸調子に困った時には一度今回の私の過去の失敗が成功へと転化したエピソードを思い出し、お役立てくださればと思います。
意外に取説などには書かれていないことです。
実際にナイロン100%をたくさん複雑な構造で縫ってきた者がお伝えできることです。
簡単な三つ折りや2枚重ねでは、もしかして問題なく通り過ぎてしまうのかもしれません。
そうすると問題が起こらないのでこのようなことを知ることはありません。
複雑なバッグに挑戦したからこそ起こった問題であり、学びであったと言えます。
わざわざ希望しない難しいアイテムを作る必要はないと思いますが、「あのデザインをどうしても作りたい」と思った時には、もしかして困難が待ち受けるのかもしれません。
しかし、そんな時にも、元あるよく言われている定番の「ルールとかしきたり」もある種の固定観念となってしまう場合があります。
実体験して良くなっていった結果が出れば、それこそが「正解」だと言えます(^-^)。