ファッション映画を見てそこから得たもの-「テーラー 人生の仕立て屋」【719】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

新聞の夕刊の一番最後のページに1週間に一度、新作映画の紹介のコーナーがあります。

邦画、洋画問わずちょっとしたレビューを記者がすでに試写会などに参加されてか、公開の数日前にアップされます。

ここ最近はこの情報で見ることが多くなりました。

主にファッション関連の内容であれば見ておきたいと必ず記事に目を通しています。

今回は、ここ4日程前に封切りの「テーラー 人生の仕立て屋」を見ました。

EU離脱の危機のギリシャが舞台。

露店商があちこちにある風景が異国情緒あふれて印象的です。

今回は、この映画から3点程ここが良かったというMY名場面なるシーンをネタバレしすぎずにご紹介させていただきます。

「テーラー 人生の仕立て屋」の見どころ3シーン

3シーンがきりの良い数字なので3シーンをピックアップさせていただきます。

YOUTUBE動画内では、1つにしぼっていまして、全体的にといった感じで1点です。

まず1つ目です。YOUTUBE動画内でも1つだけとすると。。ということの、苦境の状態でありながらも、高級スーツ作りにずっと長年携わってきた主人公の身のこなし、所作、ふるまい、佇まい、すべてが落ち着いた、どこか自信に満ち溢れたぶれない何かを感じさせるシーンがところどころにありました。

苦境により廃業寸前で、差し押さえによりバラバラに壊れた作業場の散らかったちりやほこりを、ポケットのお洒落なチーフを取り出してそれをふきん代わりに使うようなシーン。

これぞチーフの究極の使い方であることを紹介しているような場面。

商品の使い方の研究という面で何かアパレル業の者達にはキュンとくるものがあるかと思います。

長年の沁みついた職人の本能や魂がそうさせたような自然なそのシーンが印象的に映ります。

次に、差し押さえのショックから病に倒れた父親が古くからのニーズの少なくなってしまったスーツの型紙を病み上がりながら印付けをする場面。

人生をかけて仕立ての仕事をしてきたことを見せてくれる場面です。

そんな古くからのやり方や方向性を変えずにそのまましがみついていく父親も仕事場ではきちんとしたスーツを着こなしながらの作業で、これも職人魂の1つ。

息子である主人公が方向転換を図ってレディースに移行していることをうわさで聞きつけていて、一目息子の新しい企画を見せてもらう。

それはウエディングドレス。

今まで男性専用の紺、グレー、黒のような色味の世界から、白やピンクの全く違ったカラーの世界へ。。

そのドレスをチェックした父親が最後に一言、「良い仕立てだ」と。

そのお品自体の仕立ての良さを褒めただけではない。

今後こちらの方向で行くと決めてたのであろう息子の方針に太鼓判を押してくれた瞬間だと思いました。

3つ目の印象的なシーンは、お隣のご夫婦の娘の存在。

小学生くらいですかね。

この映画の中でこの子供の存在感は意外に大きい。

おもちゃのタクシーのミニカー(娘の父親はタクシーの運転手)と、露店商のリヤカー付きの乗り物(主人公)を衝突させて、ある答えをそこに打ち出します。

それは彼女の心からの意思表示だと思います。

とここまでです。

あとがき

あっという間の時間でしたが、この映画の中のギリシャがEU離脱の危機に瀕した苦境は、現在のコロナ禍の状況に何かヒントになる部分もあるかもしれません。

事業の面から見てみると、紳士服の高級スーツ路線でやってきた伝統は守りたい父の考え方も分かるが、この先を本気で考えていかざるを得ない主人公としては、ここでの方向転換の決断の時。

その決断の速さが一瞬で、お客様のニーズをすぐに取り入れてもう翌日には現実化してみるスピード感。

仕立てという大きなくくりではそのまま技術を使える商品がスーツと同じく高級なレベルであるウエディングドレスに変わっただけと考えれば、無駄のない方向転換の仕方であることがヒントに。。

この作品がどこかコメディチックに感じるのは、いかにもメンズのスーツを作っている風貌のお堅いイメージの主人公が女性のふんわりとフリルの付いたエレガントなドレスと交わる姿が意外性があってユニークな点。

これまでのジェントルマンなイメージとのギャップがある事業であっても、本当にお客様が求めていることに対応していく視点から見れば、その見た目の違和感どうこう以上に大切なものがもっと深い部分にあることを分かりやすく、視覚的に見せてくれているかのよう。

希望をくれる良い映画でした(^-^)。