難関を突破したい、樹脂ハンマーで優しくつぶして成し遂げる11オンスデニムの四つ折り同士の縫い合わせの成功策【1065】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

前回の【1064】の記事では、デニムなどの緻密な硬い織りの生地がさらにミシン製作の時に重なって、ミシンで縫い付ける際には難関箇所となる場面をご紹介。

クリアの仕方の1つとして、事前にミシン針で空縫いをして穴を開けておき、2度目に糸付きで縫っていくという策を究極のケース限定として【1064】ではご紹介したのでした。

今度はもう1つの策を引き続いてご紹介したいと思います。

実は、【1064】でもミシンの押さえを降ろすことで少しやっていたとも言えるのですが、対象の箇所をハンマーでたたいてあらかじめ平たくつぶしておくという策です。

折り伏せ縫いと三つ折りが重なるジーンズの裾上げでも必ず登場する箇所でありますので、お役に立てるかもしれません、是非ご一読どうぞ(^-^)。

金づちよりも優しい感触の樹脂ハンマーを使ってみた生地の重なりの「つぶしが効いた」瞬間

分厚いデニム生地を観音開きの四つ折りで(4枚が重なる)、ジグザグステッチをしました。
こうして見てみるといかに厚みがあるかが分かります。家庭用ミシンでは厳しく、職業用ミシンベースの作業。
まずはアイロンで熱を加えることで、柔らかくして曲げて、熱がホットな内に作業してしまいますことも1つの策。
曲げたわの部分の先端付近を優しくこの「樹脂ハンマー」で8回ほどたたきます。布との相性はソフトで◎。
樹脂ハンマーでやさしく8回ほど輪の部分をたたきました。端から端まで均等に。。
アイロン+樹脂ハンマーでわの先端がかなりつぶれて厚みが解消されました。ここで、ステッチをかけます。
わの部分を縫います。
はい、出来上がりです。糸目も飛ばず、糸も切れませんでした。糸はスパンの60番。デニムは11ozです。

あとがき

このハンマーでたたくコツはおそらくいろんなリフォーム屋様で使われているはずです。

せっかく丈夫に作ろうと頑丈に仕立てたのに、逆風として難関の縫いとなることは数多く経験してまいりました。

樹脂ハンマーの他には、「木槌:きづち」が使われることが多いと思います。

こんなに大変だったら、ジーンズも仕様を変えたらよいではないかと思われるかもしれません。

しかし、折り伏せ縫いこそジーンズの「証」であり伝統的な丈夫さを追求した作業着ならではの「デザイン」であり「機能」なのです。

この、後の困難を伴うことをあえてデザインに配した別の目的に注目しますと、お品物が作られたその細部の「理由」や「哲学」が見えてくるはずです。

反対に、そのような理由が到底見つからないものは、まだまだ追求が甘い未熟なお品物であると言えるのです。

縫い目が埋もれて見にくいボア生地の細かいパーツにかける二重ステッチ、2回戦に分け表面からと裏面からとで正確に重ねる方法の成功【863】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

現在製作中であります黒いボア素材の表地に正ダイヤキルトをかけ、裏地にはタータンチェックの内蔵巾着袋を設置のリュック。

いよいよ完成間近となった後半の最終局面に差し掛かりました。

ボア素材はこのたび初めて取り扱ったのですが、いやはや、他の生地との大きな違いをいろんな場面で実感しました。

そうして大変良き学びにもなりましたので、この製作も大変貴重な体験となりました。

このたびは、取っ手の付け根タブの8角形を含む細かいタブなどの細かいパーツを本体に縫い付ける時に、丈夫に二重ステッチをかける場面が多く登場します。

その時に、通常の生地とは違うボア素材の特徴が現れました。

それでも徹底した美しい二重ステッチを重ねるためにいつもと違う工夫をしましたのでご紹介したいと思います。

表面から二重ステッチをする時の2周目、黒地に黒糸の見にくさとボア地に1度目の糸が沈み込み視界を遮ることで、正確にステッチを重ねることが難しい状況があったのです。

連続で二重縫いが通用しなかった縫い糸が沈み込むボア素材へのステッチ、二度目の位置が分かりにくい悩みを裏面からのステッチで解決

二重ステッチの時は、表面から一度目ぐるり1周して、引き続き二度目を一度目に重ねて表面からなぞっていくやり方をしていました。

ところがこのたびのボア生地では、その二度目の位置がボアの中に一度目のステッチの跡が埋もれてよく分からないのです。

よく分からないままやった結果、裏側を見ると、とんでもなくずれていることが分かりました。

ここを解決しようとします。

まず、1周目は通常のように表側から見ながらステッチして、いったんそこで終わらせます。

その次に2周目をなんと、裏返しにしてステッチするという方法です。

裏面のハード薄芯に出ている1周目のステッチの糸目を見ながら、それをなぞっていくというやり方です。

二重ステッチの手順①:まず、一周目は表側からステッチします。
二重ステッチの手順②:二周目は、裏側のハード厚芯に出る見やすい1周目のステッチ通りになぞります。

そうすれば、二重ステッチが綺麗に重なることが確実に実現できます。

完成間近の様子:本体が完成しました。あとはリュックのショルダーを取り付けて完成です。

あとがき

細かいパーツは意外と重要で、目線が行くところです。

バッグの中ではアクセントの部分だと思っていますので、やはり綺麗に縫い付けたいもの。

このたびはボア生地なので、いつものやり方と変える場面もあり、素材によってやり方もそのように対応していくことが大きな学び。

次回は、いよいよ完成になりまして【864】の記事に投稿されます。

製作日数というのが全体で約5日。

生地の裁断、芯貼りで1日、巾着袋製作で1日、裏地製作で1日、ダイヤキルトがけで1日、表地製作で1日です。

なかなか手間のかかる製作ですが、こうした細かいところの徹底が「あっ!」と言わせる完成になればと追求しているところです(^-^)。

フラップポケットのてっぺんのストレートラインこそ力を入れたい、先に縫い代を折ってからひっくり返す順番で美しさを実現【309】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

来年からスタートするテイストの凹凸感ある真っ黒生地というのをここ最近調達しています。

有難いことに、以前はなかなかネットでは見つけられなかった私がまさに探しているピンポイントの生地が最近見つかるようになりました。

もしかして、コロナ禍で店舗からネットへ移行したお店が増えたのでしょうか。

実際に手に取ってみないと。。と目で確認した生地のみに目を向けていましたが、写真もかなり具体的になり、1枚だけでなく、複数枚、しかも立体感のある角度からの撮影もあります。

これは大変安心でとても見つけやすくなりました。

ネットで生地を探す時に、サイトを最初から絞ってしまうと渾身の1点にたどり着けないことがあります。

お勧めのやり方は、検索の「画像」というところから目で見た画像を元に探していく方法です。

結果、楽天市場だったりamazon内の商品だったりすることもありますが、意外に「自社ホームページ」に個性的なレアものを販売してみえる会社様にたどり着くことが多いです。

その方がとても広い視野で探していることになるではないかと思うことがあります。

さて、このたびは、せっかくの良い生地を丁寧に仕立てていくための1つ、「まっすぐライン」の追求のお話です。

今まで当たり前にやってきたやり方を見直し、技術アップに大きくつながることなのでした。

最初から縫い代を折っておく、そうするとひっくり返しの後まっすぐなラインが出やすい

ひっくり返しの作業というものは、縫い代を隠すにあたって、ハンドメイドバッグではよく登場します。

いかにこのひっくり返しを綺麗にするかでラインの綺麗さが決まることが多く、とても重要です。

分かってはいたものの、ではどのようにすることが綺麗になるのかをいろいろ工夫してきた中で大きく気づくことが今までは有りませんでした。

このたび、これで徹底という事項がやっと出来ました。

フラップの上のラインの真っすぐさが実現できるやり方です。

これまでのやり方:ひっくり返した円形をアイロンで折るのでどうしても左右サイドが坂のようなラインに。。

半月型の2枚のパーツを中表にしてとりあえず、一番上のラインを返し口として開けてひっくり返しをして最後に縫い閉じたやり方です。

まず2枚のパーツを用意。
縫い代の印を付けたら、すぐに待ち針していたのがこれまでのやり方。

この場面をこのたび変えていきます。

まず、待ち針をする前に線が歪みがちな返し口になるまっすぐなラインの場所をアイロンするのです。

返し口となるまっすぐのラインをあらかじめ縫い代1cm分アイロンで折っておくのです。
考え方としましては、このアイロンで折った真っすぐが最後まで固定されることになるということです。
折った状態のまま待ち針します。そして、印をつけた縫い代をUの字に縫いましてカーブの切込みをカット。

その後、アイロンで綺麗にカーブも割り、ひっくり返して、縁をぐるり1周縫い固定。

この時にせっかく最初に付けた縫い代のアイロンの真っすぐ線をキープする待ち針を打って行います。

ミシンで、カーブのラインを縫います。
アイロンで仕上げます。
今回の新しいやり方は下側。古いやり方は縁はすっきりしていますが、目に映るのは上部ラインの綺麗さです。
上下を比較。新しいやり方の下側が断然綺麗。カーブのラインまで下の方が綺麗に見えます。
フラップのひっくり返しと同様、ポケットの袋に関しても事は全く同じです。

ポケットの袋布に関しても同じ考え方でやります。

てっぺんのラインの真っすぐさがこちらも重要なのです。

フラップポケットの完成:すっきりとした良い形に出来上がったと言えます。

あとがき

些細な事かもしれませんが、なかなかの影響力でした。

ひっくり返しのパーツがハンドメイドバッグにはあまりにも多くあるので、この度のやり方の影響は多大です。

長いこと同じやり方をしてきたのに、突然気づくこともあります。

長いこと綺麗にならないやり方でやり続けてきたことが、いかに、思い込みや、固定観念に縛られていたのかを思い知ります。

常に客観的にも見ることができる視点は持っていたいもので、フィードバックやアンテナも重要なのです(^-^)。