「洒脱:しゃだつ」と「瀟洒:しょうしゃ」が全くの別物とも思えない、互いにある共通の部分は「すっきり」している点【1374】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

高校生の頃、ファッション雑誌を見てお洋服のランナップをそろえていく夢を描いていました。

1980年代後半に読んだ「nonno」は、夢がいっぱい詰まっていたワクワクの読み物だったのです。

目を凝らしむさぼるように写真を見ていく中で、時々街角の一般の人のコーデも紹介されているコーナーがありました。

もしかして現在の読者モデルさんに近いかもしれませんし、たまたまその時に通りかかった「おしゃれさん」であったかもしれません。

当時の私は、写真も見ていたのですが、細かい字も見ていました。

その写真に対する雑誌編集者様のコメントです。

その中で印象的でありたくさん登場していたキーワードに、「すっきりとまとめられている」という言い回しがあったことを記憶しています。

この言葉こそが、「粋:いき」や「洒脱:しゃだつ」が現れているコーデであると言えます。

余計な飾りは付いていない、その代わり、ところどころの小物使いが差し色になっていて、互いに小物同士のカラーもリンクしていたコーデでした。

このたびは、ファッション史や新聞や雑誌の書物によく登場する「洒脱:しゃだつ」という言葉と、同じ「洒」という字が入るもう1つの熟語である「瀟洒:しょうしゃ」を比較してみたいと思います。

定義としては別物とされているようなのですが、じゃあ全くの別物なのかというと共通する部分があると私は思っております。

洒脱さはメンズファッションに見つけやすい

「洒脱自在:遠山周平 著」を一読。

この中で、興味深いメンズのスラックスのタックについて書かれている部分がありました。

目次が、アイテム1つずつで配置された分かりやすい本の構造です。

その中に当然パンツも登場で、前タックの意味は「デザイン」ではなく「機能」なのだということです。

されど、そのタックのみの美しさは多くのスラックス好きが認めるところであり、自身もタック入りのスラックスがとても好きです。

こういうパーツというのは、「機能美」と言ってよろしいかと思います。

必要な最低限の機能そのままを表したデザインだということなのです。

そのミニマムさがかえって美しいのであり、とても素敵なことである、その素敵さ=機能美と解釈しています。

実際に着用するユーザー側というのは、むしろ、この美しいデザインに注目しているのですから、元の「動作による人間の身体の変化に対応した機能」を知らない人だっているのかもしれないです。

特にメンズファッションは衣服の伝統を受け継いで大きく変化しておらず、普遍的なアイテムも多いので、「洒脱さ」を発見しやすい分野だと思います。

洒脱と瀟洒の違いはどこなのか

洒脱と瀟洒の定義の根本的な違いは曖昧:洒脱=chic、瀟洒=elegantで違いのニュアンスをまずは感じ取ります。

この記事を書くにあたって、ネットでそれぞれの意味を調べるも共通するのは、「垢抜けてすっきりとしたさま」という点。

ただ、洒脱と瀟洒は別物であるということも思います。

英語の力を借りると少し分かりやすいです。

洒脱=chicなので、chicの意味の「粋:いき」は、「洒脱」に等しいと考えて良いかと思います。

一方で、瀟洒は、絵画にもその解説で本に書かれているのをここ1年以内の読書で見ています。

動物の絵や自然の絵を描かれた画家の作品の本でした。

そこにも「洒脱は粋とは違う」と明言されていたと思います。

では、答えのはっきりしていないこの2つの言葉を別の言葉を引用しながらそのテイストの違いとして書いてみたいと思います。

「瀟洒:しょうしゃ」=elegantということですが、このエレガントは、自身のイメージでは、レースとかドレスのフォーマルの場面でのしとやかな佇まいの場面に相応しいお洋服をイメージします。

そこへカジュアルテイストの抜けた感じの装いはあまり当てはまらないかと。

それに対して、「洒脱:しゃだつ」は、カジュアルな決してフォーマルな場面には向かない素材でできたお洋服でも、スッキリとまとまっていればありうることだと思うのです。

そう思うのも、英単語の、elegantが瀟洒に等しいということが正解であるというならばということですが。。

ただ、その読んだ絵画の本も、著者様の考え方であるにすぎないとすると、果たして正解かどうかは言い切れません。

では、共通の部分ですが、「すっきり感」で良いかと思います。

上の図の交わる部分にあるテイストです。

共通していない部分は、瀟洒の方だと、例えば、外も気軽に歩けないようなロングドレスがあったとして、それは野暮ったさもあると見れますので、交わる部分には入らず、瀟洒の領域からもはみ出したものなのかもしれません。

一方、同じドレスでも、すっきりとして、外へも気軽に行けるような歩きやすいドレスだったとしたら、「瀟洒」の領域には入っているのかもしれません。

じゃあ、そのドレスが、「chic:シック」であると言えないのかというと言えますので、「洒脱感あるドレスだ」などと言っても良いのでは。。もうこうなるとはっきりと定義することが難しいです。

ほぼ類似の意味の言葉同士なのかもしれません。

そうすると、図はもっと重なったものになり、共通の部分が多くなるのかな↓。

「洒脱」と「瀟洒」の共通部分がほとんどだという見方。

ここまでです。

これからもこの2つの言葉は書物では登場するかと思いますので、引き続き考えていきたいと思います。

あとがき

結局うまくまとめることができませんでした。

「洒脱:しゃだつ」と「瀟洒:しょうしゃ」はかなり共通の部分もあります。

自身の考えとしては、比べれば比べる程近い観念であると思えて来まして、2つ目の図のように最終的な共通部分が大部分の円の重なりをイメージしています。

今後も、芸術作品とか本や図鑑や新聞の解説に登場するこの2つの言葉に是非注目してみて下さい。

もしかして、今までのお洋服の見方が変わるなど、わずかなきっかけにでもなればと思います。

ヴィンテージ好きが白x黒水玉ワンピ―スを引き合いに解説する「シンプル+かっこよさ=粋」のおしゃれ方程式【1316】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「粋:いき」という言葉がとても好きです。

お魚が元気な「活き:いき」と音が同じなのでつい混同しがちですが、漢字に書くと全く別物です。

お魚の活きのイメージから、元気で華やかな感じを表すのだと思いがち。

しかし、「粋」の意味は、「すっきりと垢抜けたさま」ということになります。

随分違いますね。

垢(あか)はお風呂でしっかり洗い落とすほどの余計なもの。

余計なものがなくすっきりとしたお洋服のコーデを想像してみて下さい。

ただ、「シンプル:素朴」とも違うのだということも今回お伝えしたいことです。

ある1点のファッションアイテムから「粋な装い」「粋なコーデ」をご提案したいと思います。

まずは、「粋な柄」を選ぶところからスタートしました

1990年代製造と思われるヴィンテージワンピース:未使用の店舗の在庫品のようなもの。
前ボタンが裾まで並ぶ前開きタイプのデザインからこの年代を予想しました。

この白地に黒の水玉は、この柄自体が「粋である」と解釈しています。

いろんな白地x黒水玉柄がある中で、地が「ちりめん」であるところも素敵だと。

黒地x白水玉でも反転で類似ではありますが、この白が地の方がやや個性があるかな。

ここで、粋なコーデを作るための1つ目のポイントです。

<ポイント①>色使いがミニマムである。

ということです。1色の黒や白だとその後のコーデの難易度がもう少し高いかと、柄の方が組み立て易いと判断。

私の場合は黒コーデが好きなタイプなので黒と白のバイカラーですが、水玉は、カラーでもかわいいです。

例えば、グレーなどもすごく雰囲気が出ると思いますが、まずグレーの水玉のお洋服が見つけにくいというハードルがありますね。

グレーとかピンクなどのカラーの水玉柄の場合は、地にカラーの方を持ってきて水玉柄を白で抜いた方の柄の出し方の方がコーデしやすいと思います。

そして、その方が粋になると思います。

このように、色を最低限の2カラーだけに絞った柄こそが粋であるということになります。

また、いろんな柄がある中でも、とりあえず、水玉柄というのは古典的でこの水玉自体も粋を作ります。

そして2つ目のポイントです。

<ポイント②>デザインが普遍的である。

意外だと思われるかもしれませんが、このワンピースの襟無しのラウンドネック、特に特徴のないロングフレアー、フリルなどで飾らないシンプルな袖、すべてが普通なのです。

この「普通で当たり前デザイン」こそが粋を作る要素だと思っています。

お洋服は、これまでいろんなデザインで多種多様なに展開されてきました。

もういろんな装飾で混沌とした中、結局はどんなお品がキラリと光るものなのかというのが、昔ながらの普遍的な当たり前のデザインなのです。

とここで、昔ながらという言葉を使いましたが、ヴィンテージ服にはその普遍性たっぷりのお品がよく見つかります。

デザインというものも、ただ飾るだけのものは飽きが来てかっこよくなくなる時が来てしまうのかもしれません。

小物で工夫してまとめていく全体コーデ

黒のバッグや黒の靴の他には、黒のベルトも加えたいところです。
そうすると差し色の黒の配分が程よくバランスが取れます。

その他の小物もカラーを入れずに黒で加えてみました。

バッグや靴のデザインも普遍的な形です。

お洋服に比べて、小物は買い替える頻度は少な目ではないでしょうか。

そうしますと、合わせやすいミニマムなデザインというのがまずはお勧めしたいです。

ただ、そんな中でも個性も演出していきたい場合、バッグよりも消耗度の大きい靴の方をちょっと癖のあるデザインを入れ込んだりすると面白くなるかもしれません。

登場する色はここまで色々集めても相変わらず黒と白のみ、これで良いのです。

もう一度ポイントをまとめます↓。

「粋なコーデ」を作るためのポイントは、①色使いがミニマムである。②デザインが普遍的である。というこの2つです。

あとがき

今回のポイントの②が少し難しい解釈かもしれません。

ヴィンテージ好きな人はこのことに大きく理解を示してくれるのではないかと思うのですが。。

アパレル品は、いつからか装飾的になった傾向があったかもしれません。

「コンサバ」というコンセプトが流行であった1990年代初頭が少しテイストとしては似ているかもしれませんが、もっと広く年代を見ると、昭和のヴィンテージ物であってもその年の流行が色濃く入り過ぎていないものがあるのです。

いつの時代であっても常に普遍的なデザインであるものが多い分野として、「ハイブランド」の洋服も挙げられます。

流行をある程度入れ込んでいるようで普遍的という絶妙なバランスがあることが多いのがハイブランド服。

いつまでも捨てられずにどこかで残っていくだろうというタイプのお洋服が多いです。

シンプルなのだけどスタイリッシュなかっこよさもあるアイテム、これが見つかると粋なコーデを作って行けそうです。

なかなか表現も難しくて十分お伝えできたかどうかは分かりませんが、何かの「フック」になればと思います。

ワードローブに粋なコーデを是非取り込んでいって下さいませ(^-^)。