おしゃれな生地は品質表示に表れる、複雑な記載の品質表示から読み解く素材の織り込みのリアルな構造【197】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

好むマルチカラージャガード。

洋服でも、ハンドメイドバッグ製作の材料である生地チョイスにもたくさん取り入れています。

じっと眺めてしまうようなうっとりする美しさは、その織り込まれた複雑な糸のミックスです。

今回は、このような美しく生地が出来上がるためのその「混率」に焦点を当てました。

混率というのは、「織り込まれたその生地に登場してくる糸の種類と材質の分量配分」ということになります。

このたびは、ジャガードについて、比較的単純な構造の生地例から順にご紹介してまいります。

最後の方になると高級で美しい素材であるがゆえに、複雑な構造に至ります。

じーっと生地をアップで見つめるような視点でお送りしたいと思います。

そして、複雑であっても品質表示と照らし合わせながらその表示の理解の仕方などを今後のお洋服の品質表示などを見る際にも是非お役立ていただければと思っております。

単純な混率

ジャカード織であっても一番シンプルなのは2色程の糸で折り込まれて柄を作っているもの。

単純な綿糸だけで折り込まれた市松ジャガード。おそらく同じ種類の2色の糸かと思われます。

たまたま均等配分の市松柄であることで、表示も単純。

2色に分かれた同じ綿/100%の糸を使って柄を出したこの生地を綿/100%とだけ表現したということになります。

法廷表示としてこの表示の仕方が通過するということになります。

表現はポリエステル/100%とだけシンプルなものですが、基布の糸と柄の糸の種類が全く違います。

2種がたまたま同じポリエステル/100%なのだと判断できます。

この表示は少し親切味に欠けるかなと私は思いました。

「基布:ポリエステル/100%、柄:ポリエステル/100%」と書いてあったら、「うん、うん」と納得できませんか。

ということで、次のような分かりやすい表示がされていることが生地購入者にとってはありがたいということがあります↓。

分かりやすい混率(分離表示)

「消費者庁」様のHPで説明がありますが、各部位別に混率を表す方法です。

このような表示の仕方は、見かけのイメージにぴったり合致して分かりやすいです。

「生地:ポリエステル/100%、柄:ナイロン/100%」の文字を見て、この柄の薄グレーの部分がポリエステル/100%の糸1色でできている、柄の薔薇の花の黒色のつるりとした素材は、ナイロン/100%の糸で柄織りされたものだと理解できます。

ただ、この生地は2種類しか糸が使われていないからこそぱっと見と等しい表現の仕方が可能であったとも言えるのかもしれません。

次からの表示の仕方は、織りこみ、編み込みがより複雑になり、小さな品質表示の枠に収まらなくなるようなミックスタイプの生地の場合になります↓。

複雑な混率(全体表示)

こちらも、「消費者庁」様のHPを参考にさせていただきましたが、「全体表示」は、品質表示に最も多く見かける表現の仕方であると思います。

「いくつかの複数の混率から成り立つ表現を、<質量>の割合で表す方法」とのことです。

全体表示の方法:やや見かけとイメージがつかみにくいです。どうしても面積で考えがちですから。。

ぱっと見、1種の糸だけでできているようにも見えますが、濃淡がありますので、「糸の種類の違いからそのもやもやな美しい感じが出来上がった構造である」という見方をしてみました。

引き続き、こちらも全体表示。

ポリエステルは今まで見てきた生地の特徴から、ツヤがあるかと思います。

テンセルは、色がくすんだようになっていて、さらさらした手触り。

こんなところから柄のどの部分の糸がテンセルやポリエステルなのかということが比較的分かりやすい濃淡ある大花柄です。

分かりにくい全体表示例:幾何柄のブルー系のジャカード織の生地です。

どの辺りがビスコース、どの辺りがポリエステルってなかなかわからないでしょう(^_^;)。

ビスコースとポリエステルのコンビは両方共ツヤのある糸なので、とてもゴージャスになるのですが、ビスコースとポリエステルの違いなど見た目でちっとも分かりません。

そして、これを「分離表示」しようとするとこのような幾何柄の複雑な柄の配置のどこの事を差しているのかさえ表現しにくいものです。

そうすると、おのずと、「全体表示」となるのだと解釈します。

ところで、こんな、全体表示の生地がありました↓。

あくまで予想なのですが、おそらく背景部分の白が綿/100%で、柄の黒の部分が絹/100%。

そうするとこの全体表示の仕方はイメージがわきにくいですね。

前述の薔薇のフロッキーと全く同じ構造の2種の糸が2パーツの柄になっているというもの。

お国柄とも言うのでしょうか、イタリア製と日本製とで表示の仕方が違うという点も興味深いですね。

「パッと見の分かりやすさに重点を置く」のか、「元の原材料である糸に重点を置く」のかで「全体表示」or「分離表示」が決まるのが1つ。

そして、表現し切れる範囲を超えた複雑すぎる多種の糸がミックスされた生地は「全体表示」にせざるを得ないと言えます。

結局はユーザーが分かりやすいかどうかであることを考えると、私としては、「分離表示」で示された日本製のフロッキーの生地に示されたような表示の仕方が結果的に「親切な表示の仕方」だと解釈します。

が、そう単純な生地ばかり出ないのも現実なのです。

イタリア製に多く見られる混率は、美しいがゆえに表現し切れない複雑さを秘めていると理解できます。

品質表示が複雑な生地=こったお品と言って良いでしょう。

これも品質表示の奥深さです。

あとがき

今回は、生地の混率にスポットを当ててみました。

生地の混率をじっくりと見るのは、事業をしている人が大半、もしくはアレルギーを気にする方だと思います。

品質表示をじっくり見るということは、その素材を選ぶかどうかの厳しいジャッジのためにはの重要です。

素材を大切にしながらできることとして、いただいた生地の混率情報をきちんと記録し、必ず製造品が完成した暁には購入していただくお客様に伝えていくことです。

作り手の役割として、細かな知る限りの情報を先端のユーザーとなる人へお届けしつくしていくことです。

そうした中で、お客様が混率に興味を持ち、自分で調べたり素材に興味を持っていくきっかけになったりして行き渡る明るいその先が見込まれます。

時には、このような情報をクリアに伝達してくれる製造者に対しても「信用/信頼」が生まれるということも。。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

厚手のごわごわした生地は丈夫なイメージながら縫えないことも。。ミシンの限界を現実的に考えたゴブランと相性の良いデザインの考案【195】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回生地の整理整頓を行いました。

時々こうして生地のストックを確認しながら今後の製作を思い浮かべる機会を設けています。

やはり、時を経て考え方も変わるもの。購入時のイメージと現在のイメージとは変化していることも多いです。

面白いのが、表地と考えていた生地が裏地になることも後の考え方の移り変わりで起こってきます。

特に厚手の生地が無意識に敬遠したのか、たくさん残っていたことに驚きました。

厚手の中でもトップクラスのゴブラン生地などはどんなバッグだとスムーズに作れるのかを、過去の重なりによるミシンが通らなかった失敗体験などを交えながらお話してまいります。

気が付いたら残っていたのが厚手の生地だったことの意味

残っている生地の中にある傾向が見られました。

手の込んだバッグを作るのに夢中なところがあって、重なり部分が多くなり、そういった難関部分にもミシンが通りやすい薄手の生地を無意識に先に使っているようでした。

残っている生地の中には、手を付けていないツイード、ゴブラン織りなどがごろごろしていました。

これらは人気のあるとても魅力的な生地であることも間違いなく、何とか活かしていきたいものです。

左上から、ゴブラン織り、ニットの幾何柄ボーダー、ファンシーツイード、モール。。と厚手が勢ぞろい。

これらを、厚手の生地であっても比較的作りやすいデザインでリュックにもなる仕様で1点考えよう、そう決めました。

それも難しい場合は、一重仕立てで作ることも考えていきます。

厚手生地でも作れそうだと考えた裏地付きの入り口が完全密閉されたデザイン

ポイントは、リュックにもなるということと、入り口の口布をフルに本体と縫い付け完全密閉すること。

厚手なので、この口布の縫い付けが一番ミシンのパワーが問われるネックの部分だと思っています。

リュックにするとなると視界から大きく遠ざかるので、セキュリティー性が重要になるからです。

ここを縫いやすいように厚みを軽減する工夫を徹底的にしました。

ここからが、後に当ブログ記事を手直しして付け加えた分。

その後上のデザインに沿ったリュックを製作しました↓。

上のイメージのイラストに結構忠実です。
インテリアの椅子カバーなどの生地ですので、厚みがあり硬いです。スペイン製の綿/100%。
完全密閉が実現。口布を比較的薄手のちりめんでバランスを取りましたので縫えました。

黄色みのコントラストが綺麗です。内部は原色のマルチカラーのストライプのちりめん生地です。

生地が厚すぎて失敗した過去のハンドメイドバッグ

欲を出してしまい、裏地付きにしてして、なんら他の生地と区別も付けずゴブラン生地で作ろうと進めてしまった過去。

2つのバッグでそういった経験をしましたが、2点共に成功とは言えませんでした。

いずれもごわついた厚みや硬さが原因です。

ミニボストンバッグ(失敗):底の口布の重なりが糸が飛んでしまい完全に縫えず。

せっかくここまでほぼ完成の手前まで来たのにもかかわらず、最後の最後の段階で失敗しました。

ミニ巾着バッグ(失敗):ごわつき過ぎて綺麗に巾着が閉まらず。

こうして、過去の失敗作から思うのは、ゴブランが裏地付きの場合は二つ折りまでが限界。

三つ折り以上は、よほどの箇所に限定する仕様にする必要があります。

また、キューッとしぼるような巾着などはゴブランは向かない、角ばったトートバッグのような動きのない複雑なラインが少ないいバッグが向いていることなどが失敗作から得た学びです。

あとがき

動画の中でもゴブラン以外の毛羽立った生地は、意外と厚みがありミシンの縫いに影響があります。

何度かほどいてやり直したこともありますが、やはり限界もあります。

職業用ミシンはパワーがありますので、「硬い生地」でも厚みがそれほどなければうまく縫えます。

問題は「厚みのある生地」ということになりますね。

当然厚みもあり硬い生地は難しく、「ヘビーオンスデニム(25oz程のもの)」なども仕様に限度と工夫を設けることで何とか作っていくということをよく考える必要があります。

ただ、デニムも専用のミシンを購入せねばならないかというと、職業用ミシンの範囲内で十分に作っていくことはできます。

他の普通地と大きく違うことで、糸調子なども大きく変わってきます。

このように、生地を見て糸調子や仕様がイメージできるとどんな素材が来ても「どんと来い」という感じで幅広くいろいろな素材を取り扱えるようになるかと思います。

ご検討を祈ります、何か糸調子などでお困りの際にば、<糸調子>とタイトルにあるブログなりYouTube動画のタイトルの<糸調子>のキーワードから解決の糸口を見つけてみて下さいませ(^-^)。

ハイブランドバッグに使われているようなレベルの高い金属パーツを自社ホームページ内で販売のお店で見つけた記録【187】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグを製作するにあたって一流ブランド品のバッグは大変学ぶべきことがたくさんあります。

多くは語らずとも、そのお品の表面に意志や姿勢がある程度見られるものです。

今回の記事は、ここ最近なかなか見つからず探していたハンドメイドバッグに取り付けるかっこいいチェーンを探してようやく見つかったお話です。

なかなか良いのが見つからなかったというのは、そもそも良い物を目にしたことがあったため、それと比べているからそういったジャッジになるわけです。

知らないうちにハイブランドバッグの影響を受けているのです。

ハイブランドバッグに使われていた金具の高級感

おしゃれにコーデしたい、バッグは、無地・柄・それとも・・・

「プラダ」様のナイロンバッグ:小物合わせに悩む紺ベースのお洋服にとても合います。

このようなバッグを以前持っていました。

個々のサイドの部分にゴールドのパーツ金具が使われているのが見えます。

しっかり見てみると、小さめでも非常に厚みがありずっしりと重い上々のお品。

このちょっとしたパーツの、Dカンやナスカンは、上質の物なのかよくあるみんなが使っているようなものなのかでバッグの見た目の高級感がぐんと変わります。

ハイブランドバッグに付いている金具なので「やはり」と納得。

パーツが良質な作りがしてあるとその部分がアクセントにもなります。

本体のおしゃれな素材や高級感あるバッグに付いているからこその効果も増しています。

自社ホームページで自社製造の厚みのある金属パーツを販売されているメーカー様「MK PLUS」様の発見

附属品などは、大手販売サイトでいろんな商品を見比べながら購入しがち。

しかし、類似品が多くわずかな価格の違いだけです。

キューブ型バッグ用のチェーン探しをしている際にあることに気づきます。

自社サイトのホームページでひっそりと良質なお品を販売されているメーカー様があるようだと。

以前にもそれは経験したことがありました。

たどり着いたきっかけは画像から探していくという方法です。

この方法をよくネット検索で何か欲しいものを積極的に自ら探していく時に使います。

そうすると変な枠にとらわれずほしいものが希望に近い形で見つかることが多いのです。

このように見つけたお品は、だいたい自社のホームページ内で販売している会社様です。

商品が大量製造っぽくなくて、いかにも1つずつ丁寧に作られた感じです。

大手販売サイトにも出品しているが、自社ホームページも持っていて、そこでも買えるという会社もあります。

そして、冒頭のハイブランドバッグのようなパーツに近いような厚みのある良質なパーツを見つけることができました。

そのお店は、「MK PLUS」様というパーツ屋さんです。

チェーンもあるし、それにともなう接続用の丸カン、ナスカンなども結構展開も豊富でいろいろありました。

届いたお品のナスカンの質を以前によくある一般的なナスカンと比べますと、かなり手で触った感じの質感が違いました。

ちょっとしたことなのですけれど、これが高級感の違いの1つです。

チェーン取り付けの難しさとキューブ型デザインのデザイン変更が必要な隙間部分

リントン素材のキューブ型バッグがまだショルダー無しの状態で待機中でしたので、そこへ取り付けました。

私なりに工夫した3wayです。「ハンドバッグ」「ショルダーバッグ」「リュック」と3種の方法で使い分けができる、個性ある立方体のデザインです。

まずは、何もショルダー無しの状態です。バニティ風でコロンとした感じ。
リュック仕様:チェーンの長さが1m。この立体感からは、1mほどが丁度良いです。
ショルダー仕様:リュックの状態からナスカンを取り外しそのままサイドのDカンへ付け直すだけ。

チェーンの取り付けは簡単ではありませんでした。

それでも一応使える物にはなったのですが、チェーンを付けてみて分かったこと。

それは、サイドの隙間です。

これは、次作るとすればこの隙間を必ず埋める必要があると思いました。

案としては、キャラメル箱のようなタブを付けて隙間を解消する方法です。

生地が引っ張られててっぺんが上に上がることでサイドの隙間が空いてしまうわけですが、そこにタブが設置されていると空いてもタブが覆ってくれると見込んでいます。

そう考えるとたやすく作ってしまった立方体ですが、いやはやまだまだ奥が深い。

作ってみて物理的な動きでやっと分かることもあるのです。

あとがき

リントンバッグは、以前にも本体のバッグを作った時に書いたかもしれませんが、カジュアルです。

このぱさっとした生地の質感がそう思わせるのだと思います。

そして、格子状の柄が断然多いリントン生地。キューブデザインとの相性は良いと思いました。

正面の蓋がまだちょっと弱々しいので、ここにハード厚芯を入れるなどしてびしっとさせて改良できると思っています。

今回は、あまり実用的であるとは思えないキューブ型ですが、ここからの引用として、直方体でボトルショルダーなどは全く同じ仕様で行けると思います。

よって、角張ったバッグの作り方例にはなったかもしれませんね(^_^;)。

一括りに合皮と呼ぶのは不正解、的確なバッグ購入のためのPVC・合成皮革・人工皮革・コーティングの構造から見る違い【179】

アイキャッチ画像179

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

以前に、<雨の日シリーズ>として、複数の雨の日用のリュックを製作をしたことがあります。

近年工業製品として広がったレザーライクなバッグ、お買い物の際にしっかりと見分け惑わされることがないような一助となればと当記事を綴らせていただきます。

実際にリュックの製作で取り扱った素材を含め、複数のレザー風な素材の構造の違いを見ていきたいと思います。

基布+PVC載せの二層構造の素材で作られた合成皮革は必ず劣化する、純粋な本革レザー・純粋な布製との構造の違い

「ポリ塩化ビニール製の透明バッグ:「ダイソー」様にて。材質タグに「塩化ビニール樹脂」と記載。

このたびの雨をしのぐレザーライクな素材の違いの把握には、非常に大切な存在であろうと掲載させていただいた、純粋なPVCだけでできた透明バッグです。

実は、かえってこのようなPVC/100%というお品はレア、「ダイソー」様のセンスの良さが光ります。

合皮バッグの内貼り劣化:こちらもこのたびの解説の理解のヒントになります。剥がれの下には布があるのです。

では、せっかくなので、上の黒の内貼りの劣化は、どの素材が巻き起こした状態なのかというところから入っていきます。

答えは合皮、正式名称は「合成皮革」になります。

「合成皮革」というのは、主に二重構造であり、基布(きふ)というベースの生地があり、そこへPVCなどをコートすることで成り立つ素材です。

基布にコーティングが載った見かけの変化:綿/100%の生地に、PVCがコーティングされるとまったりとします。
<雨の日シリーズ>:右上は左と同じPVC合皮、下の3つは、「撥水加工」「コーティング」「撥水剤の自主施工」。

どれも雨をしのぐ工夫をした素材に作り上げられましたが、それぞれ構造が違うということになります。

コーティング剤はPVCだけとは限らず、「ポリウレタンコーティング」というものもあるとのこと。

では、それぞれの違いを紐解いていきます↓。

多くの方が混乱し、一口にPVCなどと呼んでしまうバッグは、正確にはそれぞれ構造が違うのです。

①PVCと合皮の違い

「PVCバッグ」という言葉そのままなら、冒頭の「ダイソー」様のバッグのみが該当。

巷の多くは、基布+PVCで成り立った二重構造のバッグが多く、製造側からの視点では、二重構造の方がバラエティー豊かに製造できると思われます。

②合成皮革と人工皮革の違い

合成皮革は基布が織物、人工皮革は基布が不織布という違いだけです。

③撥水加工は劣化するのか

これについては、私も詳しいことがまだ分かっておりません。

「撥水加工」と謳われた「ナイロンオックスはっ水加工」というこれまでたくさんお世話になった生地は、実際に劣化など起こったことがありません。

白く粉がパラパラとはがれてくるリサイクルショップなどで拝見する何十年越しのナイロンバッグ。

劣化が無いと言われる「シリコン」ではなく別の「合成樹脂」の撥水加工だったからなのではないでしょうか。

時々、古着市場にあるナイロンバッグの内側を見てみると、こうした現象を知ることが出来ることがあります。

撥水加工は、たとえ劣化しないシリコンだけが成分として注入されていたとしても、そもそも「剥がれ」による機能の喪失という別問題もあります。

アイロンの熱である一定の割合が戻るコツもあるようですが、完全に復活することはなく、撥水加工も永久のものではないということです。

あとがき

最後にお伝えしたいのが、「皮革」というレザー風な言葉を使いながら全く「本革レザー」が使われていない点。

この言い回しに惑わされることなく、自分の持ちたいバッグの素材を希望通りに入手出来るゴールを願いたいと思います。

本革レザーが好き、布バッグが好きという嗜好も、雨の日には避けたいと思うもの。

雨の日だけは、専用に「合皮バッグ」を持つという使い分けがあるかもしれません。

そうした独自の方針を打ち立てるにあたっても、まずはバッグ素材の構造のこのたびのノウハウを思い出していただければと思います(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

バッグ製作用の30番テトロン糸の収納、ネットカバーよりも保存性が高いと感じたA6サイズのチャック袋【132】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

整理整頓が好き。

お部屋の整理整頓はもはや趣味の1つ。

インテリアも考慮した、整理整頓の仕上がりにきらりとオーラが光るような出来上がりを目指します。

整理整頓は個人物でも事業物でも差別なく同等、整然さの環境にある「心地良さ」がまず何を始めるにも大切だと考えます。

このたびはハンドメイドバッグの材料であるミシン糸の整理整頓例です。

ミシン糸は30番のテトロン糸とスパン糸、どちらかというとエレガントなテイストのテトロン糸の方が断然多いのです。

ただ、がさついていることがかえってまとまりやすいスパン糸に比べて、テトロン糸はコーンで収納の際にもすぐにほぐれてきます。

この性質のカバーとして、これまではネットを1コーンずつにかぶせるということをしてきました。

このたびは、ネットよりも優れた素材を発見、同じようにテトロン糸を複数保管したい場合の1つのアイデアとして、「A6サイズのチャック袋」の利用をご紹介します。

テトロン糸がコーンからほどけやすい悩みの解決策はA6チャック袋、1コーンずつをネットで覆うよりも効果が出た

これまでの糸の収納:大きな「パンダンボックス」にテトロン糸にはネットをかぶせ、スパン糸はそのまま。

しばらくの間このような収納を続けましたが、ネットは簡単に外れ、糸のほつれ防止にはあまり効果が無いと感じました。

コーンに切り込みを入れて引っかけるやり方はあまり好みませんでしたので引用していません。

そして、ネットよりもすべて完全に覆ってしまうことができるアイテム、しかも万が一ほぐれてもその空間内だけでおさまるアイテムが見つかりました↓。

A6サイズのチャック袋:<サイズ>縦17cmx横12cm。一部縦がはみ出す数コーン以外はすべて完全密閉。
A6チャック袋で収納の姿:以前のネットの時よりももっと整然としたと思います。

ところで、当ブログ記事は、最初の投稿の2020.06.25からおよそ5年後の2025.05.14にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

2025年現在は、糸のコーン数が2020年当時の2倍に増えまして、100コーン以上を1つの6段チェストを占めるほどになりました↓。

2025年現在の糸の収納:専用の6段チェストへぎっしりと敷き詰め収納。寝かせながら時々2段になることも。

敷き詰めることで隣同士が触れ合いますが、A6チャック袋にすっぽり収まっている状態では問題はありません。

良い所に行き着いたと思いました。

あとがき

このたびの糸収納作業と並行し、実はもう1つある作業を進めていました。

お世話になっているこれらの糸の製造者様の確認です。

心からの興味と疑問「この糸を製造された会社様はどこなのか」を解きたくて、コーン内にある糸ブランド表示からネット検索で探っていき、ついには製造者様へコンタクトをとりました。

糸も様々な製造者様があり、同じテトロン糸でも少しずつ違う特性が感じられました。

<整理整頓で登場した糸製造者様一覧>

・「エースクラウン」:大貫繊維(株)様(「テイジン社(帝人)」様との共同企画)・・・「ポリエステル糸を一番最初に作った会社」とのこと

・「グンゼ」:「グンゼ」様・・・「テトロンスパン」という中間的な糸が素晴らしい

・「ビニモ」:「クラレ」様・・・個人的には大変好みの糸でエレガントです

・「キング」:「フジックス」様・・・王道の有名ブランドでカラー展開も豊富

・「キンバスパン」:「アズマ」様・・・デニムステッチに相性良き糸が見つかりました

・「地球兎(ちきゅううさぎ)」:「ムラガキ」様・・・初耳でしたが、良い糸だと思います

以上のラインナップだったのでした。

ご丁寧に回答をくださいました大貫繊維(株)様、本当にありがとうございました。

その他のメーカー様も、お世話になりまして本当にありがとうございます(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

ハンドメイドバッグの生地集め、薔薇柄やデイジー柄の凹凸感、原産国別の特徴を主に日本製とイタリア製で比較【146】

アイキャッチ画像146

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたびは、バッグの表地に選んだ美しい生地をご紹介する回です。

当ブログ記事は、最初の投稿の2020.05.11からおよそ5年後の2025.05.28にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

ハンドメイドバッグ活動を2007年から始め、2018年で事業活動として本格化、2020年も引き続き最初から続けてきた表地に柄を選択するスタンスでした。

長い間違和感も感じなかったこのスタンスが2025年現在では全く真逆の、無地を表地に徹底するというスタイルに変わったのです。

その大きな理由の1つは、お洋服とのコーデのしやすさ。

この長いハンドメイドバッグ活動の中で、ようやく我欲が解かれ、「他人の為の最善」を考えるようになったのでした。

極端には、どれだけの高級生地であってもそれを誇示して表地にすることはなく、裏地が表地のレベルを上回る高級さであることも。。

バッグ用の生地の高級さに関しても、本当に一番に大切な事なのかという疑問の投げかけでもあるのです。

高級さ以前に、きちんと作られた良質さの方が大切なのではないかと。

どんな生地もフラットに見る見方、これが本当に実行できるようになったのがこの2025年。

何たる偶然なのか、このブログ記事の順番のタイミングがまさに2025年のたくさんの生地集めが完了した時点に合致したのです。

当ブログ記事は、2020年当時よりももっと俯瞰した見方を盛り込んだ内容にできる、この嬉しいミラクルにまずは感謝したいと思います。

原産国別の生地のテイストの違いや特性を知った柄物生地集めは、すべての生地を公平に見る視点を確立したきっかけ

では、まだバッグになっていない生地の状態である1つずつのグループに分けた括り方をした生地の選択の時期に遡ご紹介してまいりたいと思います。

凹凸感がある生地のパッチワーク:カラー展開こそ美しい生地屋様の展示風景そのままをバッグ1点に落とし込み。

実は、このスタンスはご紹介の柄物の中では特別な存在、2025年でも受け継いでいる選び方です。

残布をパッチワークに利用する「サスティナビリティ―」と少し違い、美しい色違いをあくまでも1点物のバッグに表現するためのパッチワークという違いです。

ちりめん:波のような「シボ」が美しい地素材。プリントやジャガードと組み合わされ美しさが高められています。
紬(つむぎ):共に絹100%。同素材の柄違い。それぞれに色展開がさらにあったものからの選び抜きです。
ゴブラン織り:ゴブラン風もここに混ぜましたが、原産国が分かれ、トルコ製-上・スペイン製-右・日本製-左。
薔薇柄:クラシックで王道な薔薇柄は好んできた柄。ドイツ製-上、イタリア製-左、日本製-右に分かれます。
イタリア製のジャガード:すべて原産国が同じ。絵画のような美しさがあり黒ベースでも華やかなのが特徴。
日本製の「フクレ加工」:なんといっても緻密さと上品さが特徴だと考えます。日本人が異国情緒を感じる不思議。
ツイード:特に「ファンシーツイード」は人気の素材。オールシーズン違和感が無いのがマルチカラーの良さ。
デイジー柄のジャガード:薔薇以外のお花で魅力的に感じた1つがデイジー。マルチカラーとの相性が非常に良い。

あとがき

こうして柄物を同じグループに括りながらバッグを製作・販売して分かったことは、圧倒的に「無地ライク」が受け入れられるということでした。

ツイードくらいまでは表地になっていても受け入れられやすい範囲です。

そんな実体験からの究極の形が2025年の生地の配置です。

とはいえ、どうしてもインテリア生地の厚みある生地は柄物を表地にすることになります。

そうした時に、一癖ある「フローラル」ではなく、「幾何柄」を選ぶようになったことも2025年のテイストの特徴です。

こうして2025年現在の考え方がはっきりとした方向性を持てているのも、この2020年の存分な柄物生地集めがあったからこそ。

「Everything Must Change」、すべての活動は変化しながら良き方向に向かう歩みをしていく、それこそが自然な姿なのだと考えます(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

ハンドメイドバッグの型紙の万全収納、右下にパーツ内容のラベルを貼りラベルが見えるようたたみリフィルへ【113】

アイキャッチ画像113

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

まず冒頭からお伝えしておきたいのですが、当ブログ記事は最初の投稿の2020.03.27からおよそ5年後の20250.04.25にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

このたびは、2020年時点でのハンドメイドバッグの型紙の種類や型紙の収納を当時の状態でお伝えしたYouTube動投稿のその後、2025年ではどうなのかの現状をお伝えしたいと思います。

その後の考え方の変化や変わらず続行の部分両方がありまして、是非製作の要(かなめ)的存在の型紙の収納風景にご注目いただければと思います。

良き製作品作りを目指す根っこの部分、型紙収納の徹底ぶりはそのスタンスとして製作品の出来にも現れる

製作が完了した後に型紙などをご紹介するタイミングなど、量産品では決して無いことです。

「共有型のハンドメイドバッグ」のスタンスとして、磨きがかかったような研究し尽くしたデザインは、型紙からすべて他の方へも共有していこうという決断をある時点で下しました。

そこでようやく、この活動らしさが出てきたと喜んでおります。

では、2020年と2025年の型紙収納風景を比較しながら、まずは2020年、続いて2025年とお伝えしていきます↓。

2020年の型紙収納風景

2020年の型紙収納ケース:インテリア品として持っていた木目調のリングファイルを利用していました。

2020年当時は、デザインも絞っておらず、随分たくさんの「リフィル」が必要でして、ファイルがぷっくり膨らむようなフォルムに。。

2020年の型紙用紙:白地にグリーンのラインで5cmずつのマス目のあるものを利用。こちらは薄手です。
2020年の型紙用紙(続き):ズームです。少し真ん中の2.5cmの位置が分かりにくく、戸惑ったものでした。
2020年の型紙用紙(更なる続き):別タイプの使い易い用紙の方。素材もしっかりしていて、2.5cmの印がクリア。
2020年の型紙の収納風景:「リフィル」の表面には名称と写真を掲載。裏面に折りたたんだ型紙を収納。
2020年の型紙の収納風景(続き):型紙は小さいパーツはそのまま、20cm以上はたたんだ方がまとまります。
2020年の型紙のラベルシール:型紙のパーツ名・デザイン名と必要枚数を記載した宛名シールを右下に貼り統一。

続いて2025年をお伝えしていきます、2020年との対比がしやすいよう同じ部分の写真をご用意しました↓。

2025年の型紙収納風景

2025年の型紙収納ケース:2020年時のファイルは傷み終了。今度はレザーの大きめクラッチヘリフィルごと収納。
2025年の型紙用紙:アパレル工場専用の茶色いタイプの用紙。厚みは2020年の時の薄手と厚手の中間くらいです。

おそらく、裁断の融通性もあるのでしょう、決して厚みがあり過ぎず柔らかめなのが特徴です。

さしずめデパートの包装紙くらいの厚みに近いといったところ。

2025年の型紙用紙(続き):ズームです。2020年の時の厚手の方に鮮明さが比較的近く、2025年現在はこれに統一。

所謂「量産型」と同じでしょうか、縫い代込みの裁断ですので、型紙の外枠にぴったり沿って裁ちばさみで裁断します。

そんな中ではどうしてもハサミが少し触れて、少し削れてしまうこともあるので、時々型紙のリニューアルをしてあげると良いです。

2025年の型紙の収納風景:少し分かりにくいかもしれませんが、現在3リフィルのみ、その隣に型紙の半端を収納。

大きなハンドメイド活動の流れにおいての研究期間が終わりデザインを絞っておりまして、現在2デザインとはぎれで作る三つ折りポーチの5種をまとめたリフィルの3つのみ。

2020年の膨らんだリングファイルから思えば、随分と変化があったと思います。

2025年の型紙のラベルシール:これは何ら2020年と変わらず継続中です。5年経過しても認めている方法です。

あとがき

途中でも少し触れましたように型紙は、縫い代込みをすべてのパーツに共通にしています。

お洋服のオーダーメイドなどでは、おそらく出来上がり線で型紙を作り、接着後の伸び縮みなども確認した上で型紙を置いて周りに縫い代を付けていくのだと思います。

それをこの製作にそのまま引用しますと、パーツによっては縫い代が無いパーツもあるのです(例えば、縫い代は無く三つ折りステッチ後そのまま挟み込むDカンタブなど)。

接着芯貼り後の縮みに対しては、必ず最初に「粗裁ち裁断」をしますので、対応できるのです。

完成品の中には物理的には入らない型紙、しかし、本当はそのノウハウすべてとして製作品に溶け込んでいるのだと考えます(^-^)。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク

織物生地には織芯・ニット生地にはニット芯という使い分けは間違い、織物のナイロンでもニット芯がマストの証明【111】

アイキャッチ画像111

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

世間の長いバッグ素材の流れの中で、ある時期から確実に市民権を得たであろう「ナイロン/100%撥水加工」生地。

ピクチャレスクのハンドメイドバッグ製作でも引用し始めました。

やや困難なカーブを伴ったバッグ、縫い合わせの馴染みなどがスムーズなのも、ナイロン自体の薄手ながらの強靭さに融通が生まれているからだと考えます。

ナイロン生地をバッグ製作に引用のし始めの頃、ある事件が起こります。

その事件の解決が、接着芯の種類との相性にあったという重要なノウハウをこのたびはお伝えしたいと思います。

接着芯貼り最中にどんどん気泡が出来てしまう「ナイロンオックスはっ水加工生地」、「ニット芯」がマストの証明

以前は、織物生地には織芯を貼り、ニット生地にはニット芯を貼るという使い分けでやってきました。

ところが、織物のナイロン撥水加工生地でこんなことが起こりました↓。

ナイロンオックスはっ水加工生地に織芯を貼った直後の姿:気泡が至る所に現れ、非常に馴染みが悪い状態。

様々な生地を取り扱う中で、いずれはこの状況に出くわす運命だったと言えます。

この原因の解明の前に、「織芯」と「ニット芯」の見かけ・性質の違いを先にお伝えしたいと思います↓。

遠目で見た同じカラーの「織芯」と「ニット芯」:何となくニット芯の方が融通を感じます。では、次にズームで↓。
「織芯」と「ニット芯」の見た目の違い:芯地自体のハリコシは「織芯」の方に軍配。ニット芯はなめらかです。

柔らか過ぎる「ニット芯」ではハリコシが出にくいと「織芯」を好むこともあるのです。

「織芯」の更なる風合い:少し立体的に風合いを感じてもらいます。何となく「パサパサ感」を感じますかね。
「ニット芯」の更なる風合い:「織芯」には無い性質として縦にも横にも十分伸びる点。ここがこのたびのカギ。

さて、すぐには分からなかったことが、後の何度かの気泡の経験によって解明。

ナイロンという素材は織物の中でも特に糸自体の性質に弾力性を持ち備えたもの。

ニット生地という分類には入らなくても、ニットのような伸び縮みの性質を持っていることを引出しの中にしまっておいてくださればと思います。

アイロンの熱によって、ナイロン生地が伸び縮みすると同時にそこにぴったりと貼る接着芯も一緒。

アイロンの熱が冷めた時に、ナイロンの弾力性が今度は戻る動きをする時に気泡が出来ると解明しました。

伸び縮みの融通性が無い「織芯」の例のように、「合っていないよ」と気泡という姿で教えてくれるのだと考えたら分かり易いです。

ナイロンオックスはっ水加工にとどまらず、混率の中にナイロンが30%-50%占めている生地の織物や、ポリエステル/100%の織物でありながら横に手で引っ張ると伸び縮みする生地は同じこと。

それらには「ニット芯」を貼るべきなのです。

ニット芯を貼るべき織物の例:アムンゼン、ポリエステル/100%、日本製。ニットみたいに伸びるタイプの織物。

2018年頃のバッグ製作で使用のアムンゼン(ポリエステル/100%)はびっくりするほどの横伸びの性質がありました。

別のアムンゼンも多少同じような伸びがありますが、このダイナミックな2018年入手のアムンゼンは特別でした。

裏面に貼った不織布芯に皺がうねるように出ていた記憶がよみがえりました(その時はただの不思議現象として通過)。

よって、分類の括りの織物が必ずしもすべて「織芯」対応ということは決してないのです。

そういったことから巷では、接着芯はニット芯1種のみ持ち合わせておけば事足りるという考え方も推奨されています。

とはいえ、「織芯」のあのハリコシはニット芯には出ないものであり、「正しい使い分け」によりそれぞれの特性を存分に味わうのが本来の望ましさではないかと考えます。

あとがき

このたび写真には登場しなかった「不織布接着芯」については、「織芯」と同様だと考えていただければと思います。

生地は購入前であっても購入後であっても、横に伸ばしてみて弾力性を確かめておくことも必要だということです。

こうしたことから、ある括りにとらわれ過ぎることの注意が浮かび上がります。

その括られたグループは皆同じ性質なのだと考えていたら、とんでもない全く別物のような性質を持っていたということです。

様々なグループ・分類で括られることでかえって見失うかもしれない真の姿、これをちゃんと見抜く大切さも同時に教えていただいたような気がします(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

お洋服になるとシーンの区別や縛りを感じることもある服地、バッグへの利用はその垣根を取っ払うことができる【53】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

黒いワンピースは、「喪服っぽくならないか」ということを気にすることがあります。

夏のロングワンピースは、「リゾートっぽくなり過ぎて場違いではないのか」などと気にすることがあります。

お洋服に向けて生産されたであろう服地、これをバッグに利用させていただくことで意外性や新しい発見を探しております。

とはいえ、大半の方が、バッグの生地は丈夫な長持ちのイメージの厚手の生地に注目することもバッグ販売の手応えとして十分に感じています。

あまりにも狭い分野にのみ範囲を括ってしまうことが、素敵な素材を逃すという懸念から、薄手の服地も厚手のいかにもバッグに向く生地もフラットに見るという意識を持つようになりました。

このたびは、アパレル業界の方なら、多くの方が手に取ったことがある、もしくは手元に常に置いている本「服地の基本がわかるテキスタイル事典:文化ファッション大学院大学教授 閏間正雄 著」を現物との照らし合わせに利用させていただきました。

バッグにエレガントテイストを盛り込みたい時に服地を利用のご提案、まだ2次製品になっていない無限の可能性

この本の中にもバッグのイメージの丈夫さある素材のデニムが登場。

ということは、服地の中の厚手の一部がバッグ向きであると考えられているに過ぎないということなのです。

全体の一部しか見ていなかったと考えますと、服地全体の中で能動的に選んでいくことが良き素材との出会いの可能性が高まると思うのです。

もう1点参考にさせていただいた本があります↓。

「洋服地の事典-サンプル生地つき-:田中道一著:関西衣生活研究会」です。

学生用のテキストなのでしょうか、実物の生地サンプルが貼り付けてある立体的な本。

昭和時代のものですが、大変オーソドックスであり、伝統的な生地がたくさん見つかります。

あとがき

当ブログ記事は、最初の投稿の2019.09.20からおよそ5年半後の2025.02.22にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直しここまで綴り直しをしてまいりました。

実は、2025年現在でも服地は大いにバッグ作りに利用させていただいております。

「とろみ生地」とよばれるようなものでも、キルトがけによってしっかりとさせて裏地に利用できます。

そのようにアレンジできる技術も持ったということになるのかもしれません。

表地はニーズも取り入れ、基本無地のデニムや帆布などの厚地に条件付け、裏地を自由に服地含む様々な生地の中から選んでいます。

特に「高級生地」と呼ばれる生地は限られた分野であり、広く世に出回ることがないようですが、ここにも素敵な生地がたくさん静かに佇んでいるのでした。

2025年に調達の高級生地を含むご紹介は、【1432】で投稿しております。

2019年との違いは、大きく見たピクチャレスクの製作スタイルが「エレガント」テイストに特化していること。

表地にデニムを使わせていただいたとしても、アメカジデニムのような方向ではなく、瀟洒な方向へ必ず向かうのです。

そんなところが服地を引用したことで生まれた製作のテイストです。

川上の生地製造業者様、生地を選び仕入て下さった生地屋様、バッグ作りの為の素材を有難く手にすることができることに感謝したいと思います(^-^)。

ピクチャレスク-山田絵美-ブログラスト
書き手:ピクチャレスク

附属品に依存するバッグの製作の見直し、ミニマムな既製品の利用で大半は製造者のアイデアが詰まる製作へ【34】

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まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

冒頭からお伝えしておきたいことがございまして、当ブログ記事は最初の投稿の2019.08.11からおよそ5年半後の2025.02.03にブログ記事の「手直し」の順番で、タイトルから見直し綴り直しをしています。

2019年当時は、技術も未熟な研究段階、たくさんの附属品に触れながら自分なりの答えを見つけていったバッグ製作時期でした。

現在の2025年では、附属品の数は極めてミニマムになりまして、製作品自体がシンプルに行き着きました。

このことは、決して短い時間で完成する単純さとは異なるものであり、むしろ製作日数は手間をかけるべきところに惜しみなく時間を注ぐスタイルです。

それでもシンプルなデザインに行き着いたことは、目指すべき製作品が「瀟洒なバッグ」であることに定まってきたからです。

あれこれ附属品の力を借りながらの製作をもってしても、不完全な作りにしかならなかった苦い経験、そうした過程を歩みながらここへたどり着いたということになります。

とはいえ、未熟な技術しか持ち備えていなかった時代にこそ、附属品などの素敵さや材料に依存してでも作り上げることができたことは貴重な軌跡であったと考えています。

最後の方に貼ります2019年当時のままのYouTubeよりも、2025年現在はほんのわずかな副資材しか利用していないという変化についてもご注目いただければと思います。

当ブログ記事は、「手直し」が可能なスタンドでございますので、最新の内容に更新しながらいつの時代においても定番内容としてお伝えできるものになればとこうして綴り直しをさせていただいております。

優れた附属品を丁寧に選びたい、時々行う整理整頓で感じるバッグの大切な「機能」となってくれている実態

2019年当時のハンドメイドバッグ用附属品:2025年では、一番下の段の3つのみ使用。非常にミニマムな現在。

左上から右へ見ていきますと、ファスナー・レザーひも・ループエンド・底板・織ネーム・線コキ・マジックテープ・伸び止めテープ・Dカンと複数が勢揃いしていた2019年。

2025年現在では、上2段はすべて廃止、残った分は在庫終了まで機会を見て使わせていただきますが新規調達はありません。

驚くべき点は、ファスナーを廃止していることや織ネーム(ブランドネームです)を廃止している点。

別の複数の記事で過去の附属の多くを廃止した決断の意味をじっくりお伝えしています。

ここで短くまとめますと、「デザインの種類がミニマムに絞られたこと」「デザイン自体がミニマムなモデルであること」が経緯なのです。

そして、気になるブランドネームの廃止は、当事業活動の「共有型のハンドメイドバッグ」のネーミングでも感じられる「共有型」であることで独占的な考え方を捨てているのです。

では、こうまでミニマムになった中でも残った3種の附属品はどこに使っているのかを最後にお伝えしてまいります↓。

マジックテープ:「はぎれ」で作るポーチの開閉にマジックテープを使います。三つ折り式のペタンコポーチ。
伸び止めテープ:補強やハリコシを出す部分に「平」を、カーブ部分に必要に応じて「バイヤス」を使用。
Dカン:2025年現在では複数を製作の「ナップサック」のショルダー用の「Dカンタブ」をこれに通して縫い付け。

あとがき

「附属品を装着することがかっこよく華やかである」という考え方は表面的、ある時期に根本的に見直しました。

絶対に無くてはならない部分にのみ使っていくということを常に意識すると意外とそこまで多種までは必要がないことに気付きます。

写真には出ていませんが、打ち込み式の「ハトメ」類はほとんどのタイプを経験しました。

全体として言えることは、「カシメる」という支え方というのは、随分不確かなものだということです。

これは、附属品自体のせいではなく、本来レザーに利用するための物品を布地に利用している間違った使い方にあるのです。

案の定、その場では完成しても、その後数年で使用中に外れるような不安を製造者自らが抱えてしまうのでした。

バッグは、せめて20年は持続できる製品を目指していますので、あるパーツのせいで途中でバッグが使用できなくなることなどあってはならないと思うのです。

山田絵美
書き手:ピクチャレスク