まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
先染め、後染め、という言葉を聞かれることがあるかと思います。
先染めは、織布する前の糸の段階で、色が付けられていく染め方、後染めは、生地の土台が出来上がってから染色をほどこす手法です。
柄物では、ジャカードとプリントの違いも同じです。
さて、今回、前者、先染めに多いグレンチェックという柄、この柄のみにスポットを当ててまいりたいと思います。
グレンチェックという柄とはどんなもの?
グレンチェックは今や、あまりにも有名で人気の柄のようです。でも、柄をじっくり見たことってあまりないのではないでしょうか。
ぱっと見て、あ、グレンチェックだというようなマークのような感じの見方ですよね。
ですから、ここで一度、より奥深くグレンチェックの柄というものを見ていきましょう。
私が持っています、2冊の本より、原点や定義を抜粋させていただきたいと思います。
スコットランドの高地で作られ、もとは大地主の下僕の仕着せ(主人から支給される洋服)としてデザインされていた。・・・グレンチェックには柄の種類などによって30数種類のものがある。
田中道一著 洋服地の事典 -サンプル生地つき- 関西衣生活研究会-
この本では、グレンチェックがもともとどんな人に着られていた柄なのかが書かれていて興味深いエピソードです。
千鳥格子や細いストライプなど4種類の柄の四角形を交互に配し、大きな格子柄を構成したもの。スコットランドの渓谷GLEN-URQUHART(グレナカート)で織られていたことから・・・正式には「グレナカートチッェック」という。
服地の基本がわかる テキスタイル事典 閏間正雄監修 ナツメ社
この本からは、グレンチェックは、格子やストライプの組合せで混合して作られた1つの大柄なんだということですね。
発祥の地としては、スコットランドということなので、高緯度の寒い地方であることから、主に冬にウール素材でグレンチェックは使われることが多かったのかなと予想しました。
そのグレンチェックの生地をバッグの裏地用に持っていたので、広げてみました。
グレンチェックの柄の構造をここでじっくりご覧くださいませ。


千鳥や、細かいストライプが集まっていますね。
じっくりグレンチェックを見たことってあまりないですものね。
下側の生地は、黒に見えますが、実は、紺色なんです。一瞬黒に見えますね。
上の黒白と比べるから濃紺だとわかるもの。
もともとグレンチェックは、紺x白という使われ方で始まったようなのですが、今は、断然黒x白の方が多く、使いやすいのは、やはり黒と白のコンビでしょう。
これらのような典型的なグレンチェックの柄がオリジナルの織柄です。
実は、ここへ、ペンシル上に縦横格子がさらに同じ色や違う色で入ることがよくあるようで、それもグレンチェックの仲間だとのこと。
下の2つのグレンチェックを見比べてみてください。

何か右側の方が目にははっきりと映るかもしれません。
加えられたペンシル格子の色が地と同じ黒であっても、少しはっきりと目に映る気がしますね。
洋服になった状態でよく見かけるのは結構このペンシル格子入りの方みたい。
逆に典型的な柄の方はレアって感じがします。
グレンチェックの柄を見る機会があったら、こんな風に構造を見てみてください。
とても楽しく見ることができると思います。
グレンチェックの洋服コーデ
ところで、私の好みなのですが、断然ペンシル格子の入っていない典型的なグレンチェック柄の方が、シックで素敵だと感じます。
余分な色や柄を加えていない最小限な色合いがとてもシックだと思うのです。
その方が、すっきりしていて粋なんです。
ここから後は、典型的なグレンチェックの方に的を絞り見ていきたいと思います。
ただ、とても粋だとはいえども、欠点はあるかと思うのです。
どうしても、いろいろな柄が、ほぼ均一的に集まった柄ということが、先ほども少し触れていますが、かえってぼやけるのです。
ぼやけることを解消するには。。。
ぼやけることを補うには。。。
これがコーデにかぎになると思います。合わせる色を、強いシャープな色にすることで、引き立たせること。
かなり、昔のことのなのですが、1980年代だったと思います。
そのころから、私は、グレンチェックが好きだったのだと思います。
母に作ってもらった2アイテムの冬のボトムが私のそれほど豊富ではないワードローブにありました。
そのころトラッが流行していたこともあると思います。
それが、グレンチェックのタック入りパンツと、グレンチェックのタイトスカートでした。
スカートの方は肉厚。
両方とも毛/100%だったような記憶です。

パンツの方は、やや柄が細い線で小さめの柄、スカートの方は、柄が太くて、濃くて大き目。
両方とも、トップスには、毛/100%のリブのタートルセーターを合わせていた記憶があります。
そのリブタートルセーターの色が黒でした。
グリーンのカーディガンのようなものも合わせていたのですが、グリーンも黒が残っていなくて、しょうがなくグリーンを買ったという記憶なので、やはり黒が一番合うと思って探していたのでしょう。
黒x白の典型的なグレンチェック柄に一番合う色、それは、黒、これだと思います。
そして、その黒のアイテムも、出来るだけ、平凡なシンプルなものがいい、それによってグレンチェックという柄が、主人公のごとく引き立ち、輝くのです。

さて、コーデする時に、グレンチェックをボトムにもって着た時に合わせるトップスです。
フリルなどの凹凸感はない方がよく、また、ブラウスやシャツやtシャツなどの素材よりも、やわらかなセーター類の方が、グレンチェックの相手には向いているようです。
しかも色は、黒が最強で王道です。
そして、これも大切なことだと思うのですが、グレンチェック自身も、洋服になる時に、できるだけ当たり前の平凡な形がいい。
当たり前の形のスラックス、タイトスカートなど、丸みのあるラインの少ない、ボックス型のイメージが強い方が、グレンチェックの格子型にうまくなじみ、粋になるんです。
丸みのあるラインを作ろうと、フリルなどで生地をぺたんこから、立体的にすると、どうしてもグレンチェックの美しい柄がとぎれます。
やはり、グレンチェックという柄をのびのびと存分に見栄えさせ、生かしてあげなければなりません。
ボックス型というのは、そういう意図が含まれているのです。
ということで、グレンチェックをおしゃれにシックに着こなすお勧めのコツをまとめます。
①相手を黒のシンプルなセーターのようなやわらかな素材のアイテムに合わせる。
②グレンチェックのアイテムは平凡な形で、しかも、四角を意識した形がカッコいい。
黒白以外のもっとソフトな色のグレンチェックを楽しみたい場合

こちらも、一瞬黒x白に見えますが、モカグレーのような色目で、やややわらかさがあります。
よって、私は、このモカグレーのグレンチェックには、ボトムに、グレーのジーンズを合わせています。
1980年代くらいの物かと思われる古着で、毛/100%というのが、典型的なグレンチェックらしい素材だと思います。
こちらも色はモカグレーにマイルドになっていますが、ペンシル格子無しです。
あとがき
今回は、グレンチェックの柄の生い立ちや、じっくりと形を見たり、引き立て方などを書いてまいりました。
このグレンチェックという柄の魅力は、でしゃばりすぎていなくて、ぼんやりしている柄だからこそのものでしょう。
ちゃんと良きパートナーの黒がありますし今後も、おしゃれな定番柄として好まれ続けていくのではないかと思います。
これで終わります。ありがとうございました。
バッグをお作りしております。
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