まえがき
こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。
今回の記事の番号の末尾に枝番号が付いていますのは、この177という番号の関連記事が5種ありまして、177-1,177-2,177-3,177-4,177-5がすべて今回の話題に繋がります。
よろしければ他もお立ち寄りくださいませ。
YOUTUBE動画は1つだけ共通ですので、【177】ということになります。
それぞれの記事内に同じ【177】の動画が入っています構造です。
いつもと違う特殊な形式ですね<m(__)m>。
今回は、バッグの部分的劣化について具体例と共にお伝えしたいと思います。
せっかくの高級品でも内部の素材が劣化する素材であることで一生物ではなくなる可能性があるのです。
本当の一生物というお品はどんなお品であるのかを見極めていく何かヒントになればと思います。
合皮は必ず劣化する運命にある素材であることをまずは認識する
合皮に使われている素材は、多くが、PVC(ポリ塩化ビニール)だといわれています。
この素材は、レザーの代替品であるというメリットがありますが、一方、デメリットとして、空気に触れた瞬間から劣化が少しずつ始まるといわれています。
そういう素材の特性があるのでこの現象自体は仕方がないことです。
高額ブランドバッグは本当の意味で高級品と言えるのか
合皮の劣化というのが、空気に触れた瞬間から起こり始めるというのが衝撃的でしたね。
この合皮は、格安品のバッグのメイン素材に使われているイメージがありますが、実は、ハイブランドなどの高額なバッグにも、ポケットや裏地など表面ではない箇所に使われていることも多いのです。
そう考えますと、高価格=コスパが良い物という固定観念は危険です。
自身の目で真実を見抜き、結果として本当に長持ちしていくお品を正しく見つけられたバッグ、これこそが本当のコスパの良い優れたバッグということになっていくと思います。
私も数々の合皮の劣化を自身のバッグで見てきました。
劣化もここまで徹底的に劣化するものなのかというほどのひどいものであることに驚きます。
一生もののバッグであるようにと20年前に買ったバッグを久しぶりに保管場所のクローゼットから取り出してみると、それほど頻繁に使ってもいないのに中側の裏地がボロボロだったり、ねっとりしていたりという事件が起こりました。
購入後30年くらいでボロボロの状態になっていることが多いです。
この光景はとても悲しいことです。
一生ものではなかった。。と後から気づく瞬間です。ここで大きく信用を失う瞬間でもあります。
よって、高価なバッグを購入の際、特にずっと使っていきたいようなバッグに出会った時は、冷静になって、合皮/PVCが使われている部分がどこかにあるかを内部までもチェックすることをお勧めしたいです。

ライトブラウンカラーの合皮が劣化して白い部分が見えている状態です。
右下:自主リフォームによって、新たな布製の裏地を形取り設置しました。縫い付けは入り口1周で行いました。
このようにできるタイプのデザインであったことで、私でもそこそこ可能でした。
あまりに多くの部分にPVCが使われていたら、購入の是非をしっかり判断した方がよいかもしれません。
PVCだらけのバッグでも、数年使って終了すると決めているもともと低価格のバッグなら、問題ないです。
1-2年では、ボロボロにはならないでしょうし、数年使い向けと決めた購入の仕方もあると思います。
合皮は雨にも強く、防水力もありますので。
先程の写真の自主リフォームも、実は、持ち手を取り外せたらもっと完璧に直せたもので、完璧ではないリフォームです。
入り口の裏地縫い付けがやりにくい箇所があり、100%の対処ではないと言えます。
こんなことになるのであれば、最初から布の裏地を付けてくれたらいいのに。。と思いませんか。
商業の事情により布よりも合皮を選択されているように見えます。
合皮は、レザー寄りに高級に映るので、布よりも最初の時点は見かけの良さが高いのです。
その辺りが何か商業の事情のヒントになりそうですね。
今後もそういった本革と合皮とのコンビのバッグは引き続き作られていくかとは思います。
よって、購入者様が注意をするということが大切です。
次の2件も、なんとか自分で対処できた劣化が起こったケースです。ご参考にどうぞ。

この型がとても気に入っていて、ずっと持っていたのですが、購入後、30年くらい経過したころに、内側のポケットがネタネタしていることに気づきました。
ポケットはなくなってしまうけど仕方ないということで、内側のポケットを外しました。
誰でもできる超シンプルな考え方、「劣化した部分の除外」です。

ミシンの縫い目の跡は残りましたが、この部分以外は、劣化しない素材なので、少しの被害ですみました。
でも内側のポケットが0(ゼロ)となってしまったのは、付加価値が落ちました。
メインの部分が今でもとても綺麗なので、合皮の劣化部分とのギャップが極端です。

今は、丈夫な革ひも1cm巾程度を付け直して、安心して使っていますが、最初はPVC素材の取っ手でした。
取っ手の作りは全く同じで、この写真と同じように結び目でストッパーの役割をする留め方だったので、素材を変えるだけの単純リフォームで今後も使えるバッグになりました。
劣化によりボロボロでとても持てるものではなくなってしまった一方で、布の本体がとても綺麗でもったいないのです。
過去のヴィンテージブランドバッグにはこうした極端な素材の差の表れ方も多いです。
この場合も、結局、布>合皮という価値を感じずにはいられません。
話は脱線しますが、ナイロンのバッグで、持ち手が本革レザーの商品、持ち手が全然良い状態のまま、本体のナイロンが破れてしまう場合もありました。
今回の劣化とは無関係なお話なのですが、取っ手がまだまだ使えるのにもったいないなあと思ったことがありました。
こういうのって、バランスの悪さが後でわかるケースです。
やはり、いかに高級に見せるかという商業事情により、布+レザー(本革も合皮も含む)という組み合わせになることも多いのです。
となると、布というのがレザー(本革も合皮も含む)に比べると高級感が劣るイメージのようです。
ということで、次は、布製のハンドメイドバッグをいろんな生地でお作りしています私が、布であっても高級感あるものがあることをご提案したいと思います↓。
高級バッグに相応しい布地のご提案
私の考えとしましては、劣化することが分かっている素材で最初から高額なお品を作ろうとはとても思わないです。
そう考えますと、布の方が結局ははるかにコスパが良く、優れた素材だというところに行き着きます。
ここで、布製だけのハンドメイドバッグを作っています私からのご提案として、高級な本革のバッグの内側に生地を利用するとしたら。。という場合の生地のご提案です。
2種ご紹介したいと思います。
・グログラン・・・横にボーダーみたいなうねりが入った生地です。
過去に、グログランであるかどうかは正確には分かりませんが、その様相に近い生地がポケットになっていた高級ブランドバッグを見ました。
その高級感ある内ポケットは、何十年経過のヴィンテージバッグであってもとても良い状態を保っていました。
生地は劣化しないのです。このポイントは、合皮との大きな違いであり、布の大切な特徴です。
・シャンタン・・・シルクシャンタン、ポリエステルシャンタンなどに混率によって更に分かれますが、高級バッグであればシルクシャンタンであれば納得の裏地になるでしょう。
節が美しく、その様相は高級なバッグの裏地にはピッタリです。凹凸感ある素材は高級感を感じさせてくれるものです。
あとがき
バッグの作り手として、お買い上げいただいたその後のバッグの状態のことも考えていくことは、非常に大切だと思います。
バッグの作り手は、その時だけの一瞬の売れるためだけの工夫が長年かけてどんどん信頼を失う恐ろしい結果を招くことをしっかり考えねばなりません。
その場だけ乗り切っていくような考え方はいずれ信頼を損ねることになるかと思うのです。
そして、どう考えても粗悪品は作るべきではないと思っています。
そして、劣化すると分かっている合皮を高級素材とのコンビで作るべきではないということも。。。
末永く使える親切なお品を作ることは、ご購入者様に余計な迷いや緊張感を与えず安心してご購入に踏み切っていただけることや、その後の何年もかけた信用をいただけることにつながります。
