元はパンプスの素材がこんな姿になるなんて。。内側の大花柄が美しい「ラメ」がリンクしたリュックを眺める【755】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、「餅巾着:もちきんちゃく」というデザインのリュックが1点完成しました。

パンプスに使われる素材をリュックに使ったところがユニークな用途の「ずらし」です。

ボーダーのような畝が美しいゴールドラメがエレガントなリュックの内部にもご注目いただければと思います。

ごわついた素材が良き貫禄に、表地と裏地の共通部分のラメがゴールドの金具パーツともリンク

「餅巾着」:<サイズ>縦27cmx横27cmxマチ11cm。

心配していましたごわつきによるミシンの糸の通りにくさはありませんでして、素材の硬さが随分貫禄になっています。

スムーズに縫っていくことが出来て、大変心地よい製作だったのでした。

なかなか写真ではゴールドが際立ちませんが、凹凸があるので、半分くらいへこんだ部分に隠れてしまうことで映りが少しぼんやりと見えるのです。

<表地>生地名不明(メッシュ生地)、混率不明(おそらくナイロン/100%とのこと)、日本製。
生地のごわつきがいい具合に影響して、リュックのショルダーなどもポンと浮きます。
上から見た写真です。メインの入り口がいかにセキュリティー性が弱いかがこの隙間で分かります。
メイン入り口の隙間を内蔵巾着袋が完全フォロー。細い方のひもは内蔵巾着袋のひもで太い方は入り口用。
メインリボンをほどくと、こうして、内部に設置した二重仕立ての巾着袋の黒色が現れるのです。
巾着ひもをほどきますと、内側の暗いお部屋です。マチ部分で縫い付けしてあり、本体と一体化しています。

随分複雑な構造のように感じられると思いますが、セキュリティー性を追求した結果自然にこうした作りになりました。

巾着紐が重なる点が気になる場合は、入り口をバンドへのアレンジなども良いと思います。

あとがき

このたびのボーダーの畝のメッシュ素材がもしパンプスになっていたら。。と想像していただくと、こんな風にリュックになっていることが不思議な感じに思えてきます。

本来のアイテム用だった素材を、別のアイテムにずらしたことで新しさや個性も生まれることがあります。

多くがトートバッグに作られる帆布生地を筒形のワンショルダーに作うなど、「意外なデザインへの落とし込み」で個性が出せることがあるのです。

もともと製作生地に「凹凸感」がある生地を選択することが多いバッグ製作のスタンス。

凹凸感もいろいろあり、畝、ジャガード、フクレ、パンチングなど様々です。

このたびこのような新しいタイプの凹凸感に出会えて、良い製作経験をさせていただきました、生地をご提供下さいました業者様、ありがとうございました<m(__)m>。

バッグの「当て芯」の余分な部分をハサミでカットする時に生地を傷めないためのコツがあります【754】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

今回の記事の1つ前の記事【753】では、バッグの完成では見ることのない隠れた部分で機能する、「当て芯」の設置の様子などをご紹介しました。

今回は、その当て芯の設置の段階の中で、ハサミを使う部分に注目していただき、随分カットしにくそうな場所をどうカットしているのかをご紹介したいと思います。

間違えて本体生地を切ってしまわぬよう、ハサミの使い方もコツです。

余ったハード薄芯を立ててハサミを滑らせる使い方、生地裁断用ハサミとは区別した方が良い

まず早速ながら、このように当て芯を裏面に当てて表面からフラップポケットを縫います。
表面はこんな風にパッチポケットが完成しています。その裏側には当て芯があるのでした。
まずは、縫い線を折り曲げハード薄芯を立て、ハサミをスーッと横へ滑らせていきます。

こういった不織布は、早くハサミが切れなくなってしまので、ここで使うハサミは、生地をカットする時のハサミとは別のハサミをお勧め。

下の生地を切ってしまわないように立てて浮かせてカットするハサミの使い方がグッド。

内側の袋に当たる部分は必要が無いのでカット。バッグ全体が軽い方が良いのでこの広い面積の部分は余分です。
一気にやってしまえる効率を考え1枚の大きな長方形の当て芯、そして後でカットするという方法をとっています。
表面から見ると、裏がこうなっているなんてなかなか想像できないと思います。貴重な裏側です。

当て芯の型紙がおおまかな長方形な理由

当て芯する時に、その部分に忠実過ぎるパーツにあらかじめカットしてしまうと、きちんと当てはめなければならないことに集中せねばならず、本来の表面の縫いがずれたり、位置が分からなくなったりで悪影響です。

とはいえ、あまりに異形の形のパーツを当て芯とすると、これもまた、目の錯覚から、歪みの原因になることが過去に経験済です。

まっすぐに仕立てるためには、当て芯自体も「専用の型紙」によって「粗裁ち:あらだち」をするという、粗いものなのにきちんと型紙を用意するという何とも面白い矛盾があるのでした。

あとがき

生地裁断専用のハサミは結構寿命が短く、研ぐということを過去にしていただいたお値段でハサミ1点のお値段でした。

そこで、研ぐことはせず、使い捨てのような使い方をするものの、簡単に捨てるのではなく、紙のカット専用や不織布のカット専用へだめになった裁断用のハサミをまわしています。

この使い方はかなりコスパも高まり、長い目で見た「サスティなブルな製作」ということになっていくと思います(^-^)。

出来上がると内部に隠れてしまう隠れた「当て芯」こそが良質なバッグを作るのではないか【753】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

ハンドメイドバッグ製作歴15年が経過、最初は2007年からのスタートでした。

製作にも発展があり、「良質さ」を高めようと見えない部分にも気を配るようになります。

この目に見えない部分も随分あり、商品に完成した姿を眺めるよりも、バッグはもう少しパーツが実際には多いのではないかと思います。

宙に吊り下げて持つものであることから、強度の面での工夫は非常に重要です。

バッグが意外と単純な構造に感じるのは、表に出る部分だけを見る機会しかないからで、内部には複数の秘密があるのです。

このたびは、製作途中のシーンでしか見ることができない、補強用の当て芯の場所と使われ方にスポットを当ててみました。

「餅巾着」デザインを現在製作中のリアルな場面ですので、後の投稿記事【755】の完成の内部の姿がこうなっているのだという見方でご覧いただけます。

ハード厚芯とハード薄芯の使い分けの理由が分かります

ハード厚芯:上2つの8角形は取っ手の付け根カバー、下の6角形は、Dカンタブの付け根カバーです。

ハード厚芯(あつじん)というのは、暑さが1mmほどある硬いものです。

最初からぎりぎりのサイズにすると縫い目のゆがみや位置のずれに影響するので、型紙としては正方形や長方形の粗裁ちで縫い付け、最後に余分をカット。

次に、ハード薄芯の方ですが、こちらは、取っ手など重い力がかかる場所よりは比較的軽い、内側のポケットの入り口周りに使っています。

わざわざハード厚芯を使うと、バッグ全体が重くなる要因になるので、必要な軽さの薄い方の芯地で良いとの判断です。

それでも、ポケットをそのまま縫い付けるよりも、本体生地への負担が少なく、長い目で見てバッグが長持ち。

隠しポケット用当て芯(ハード薄芯):紳士服のポケットの片玉縁(かたたまぶち)に類似。

完全に隠れてしまう部分ですが、実は、隠しポケットが綺麗に出来上がるための立役者的な存在でもあるので、このハード薄芯を使うか使わないかの違いはあります。

こういったパーツも、専用に型紙を作っています。

なぜかというと、適当では設置の際に歪みの原因になるからです。

斜めのものを当ててしまうと、目の錯覚で、斜めにつられて縫ってしまうということを防ぐ為です。

その後、芯地だけの為の長方形のまっすぐの型紙をすべての当て芯パーツにも作っておくことを徹底したのです。

大きい方の当て芯(ハード薄芯):パッチポケットの袋の縫い付けに使っていました。

その後は、パッチポケットは粗いイメージであることと、生地が伸びがちで正方形に縫い付けにくい事で廃止。

隠しポケットの入り口をフラップで覆うという混合タイプで統一するように変わっていきました↓。

バッグの内ポケット:通常はフラップが閉じています。
フラップの内部:隠しポケットが顔を出します。

ポケットデザインが、「フラップ+隠しポケット」の混合型に改良されたことで、当て芯の面積が減りました。

隠しポケットの枠の周りの細長パーツとフラップのてっぺんの縫い付け部分の細長パーツというコンパクトな面積の当て芯で事足りるようになりました。

それでも、以前のべたっと貼り付けるパッチポケットよりも隠しポケットの袋が内側に隠れることで、容量にもゆとりができましたし、セキュリティー性の高いポケットが実現できたのです。

その他の見えない部分の材料は、「伸び止めテープ」、三つ折りステッチがある隠しポケットの「比翼」に使用

芯地のみご紹介させていただいたのですが、実は、伸び止めテープも隠れた裏側で使っていますので、最後にこれをご紹介致します。

伸び止めテープは少し芯地に役割が似ていまして、補強とハリコシを出すということです。

その名の通り、伸びがちな生地の横向き(引っ張ると織物でもわずかに伸びます)を固定してくれる役割があります。

よって貼る向きが横向きが多いのがピクチャレスクの製作の特徴。

ポケットの入り口ラインなどが、伸び止めテープによってうねりが解消され、びしっとなり迫力が出るのです。

この貼る/貼らないの違いもなかなか大きなものなのです。

隠しポケットの例:この隠しポケットの入り口の比翼みたいな部分に伸び止めテープ(9mm巾)を貼っています。

あとがき

随分隠れた部分の内蔵ヶ所が多いことをお伝えできたと思います。

これをどうご理解いただくかというのが、もう、今はこういった発信しかありません。

出来上がってしまえば、何ら他のバッグに紛れてしまいますので、この細かい部分が分かることは無いのです。

今後の製作の発展や努力があるとすれば、一目見てもキラリと光るようなお仕立てを写真で見ただけでも「何か違うな。。」と感じてもらえるようにすることです(^-^)。

「真似」は「コピー」や「模倣」と同じなのか、それとも「引用」として取り入れて独自のものになってゆくものなのだろうか。。を考えた【752】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「まるで出口の無い海のようだ」というフレーズ。

何についてかというのが、このたびの「真似の文化」について。

「AI」の働きによることもあるのかもしれませんが、「同じ」ということが評価された世の中になっていないだろうかという疑問があります。

例えば、ショッピングを完了した後日、同じものを進めてきたり、同じ物を購入した人はこれも買っているなど。。

「さすがにそこまでは一緒ではないよ」と突っ込みたくなるようなことが当たり前になっていることにいつも疑問を感じています。

やはり「同じ」ということが一番単純で関連付きやすい「AI」を伴ったネット文化とでもいうものなのでしょうか。

このたびは、「ハンドメイドバッグ作り」も含めた「アパレル」にも「あるある」の「模倣」を例に「真似の価値」が果たしてあるのだろうかを考えてみたいと思います。

「模倣」こそが全体の潤いのバランスだったかもしれないこれまでの「アパレル」

市場調査というのがありますが、これは、すでに売れている商品を参考にするような調査です。

こういった動きがあることによって、オリジナルで最初に手をつけたハイブランド達がより一層優勢になると思います。

このことは、「トリクルダウン」的で、先陣を切るのが「ハイブランド」様、その他が後から真似ていくというスタイル。

長い間アパレルの企画にあった当たり前の実態です。

「同じ」とか「似ている」ということが、関連付けやすいので、それが評価・良いのだということに繋がっているように見える昨今には、やや疑問があります。

その反対に、「違う」とか、「似ていない」ということも価値でではないですか、何か忘れていませんかと言いたいのです。

時々、「YouTube」様のアンケートがありますが(すごく長い10分くらいかかるやつ)、結構答えています。

1年に1度はあるかな。

その時に、自由に思うことをお伝えしてもよい項目があり、ご意見としてこのことを強く申し伝えています。

「同じ」「関連付き」ばかり重視で、「唯一」「独自」「オリジナリティ」はどこへ行ったのですか、ということです。

あとがき

物を購入するケースを考えてみますと、「みんなと同じ物を持つことの価値」「みんなと違う物を持つことの価値」とでは、大きく違いがあります。

価値観もそれぞれあって、みんながやっていることに一緒に乗っかっていることに幸せを感じ、それこそが腑に落ちる人もいるのです。

その一方、流行してはいない片隅で、目立つことなくひっそりと独自に研究をしていくことが腑に落ちる人もいるのです。

どちらが良いとは言えないのが、前者が間違いなくまだまだ主流だと思うからです。

では、ハンドメイドバッグ作りに落とし込んでみます。

「みんなが作っているものを作りたい」「みんなが作っていない物を作りたい」これも同じことですが、大切なのは、その「心の満足度」だと思います。

どちらが正解などとはとても言えませんが、間違いなく評価は前者である現実を感じます。

同時に、それではまずいのではないかとも思っております。

とりあえず「真似」まで行き着いてしまう前に、「引用」→「独自の解釈」→「独自の案」ではないでしょうか。

あのアパレルの市場調査は「模倣の旅」。

その先に行き着くゴールにはどんな幸せが待っているのでしょうか。

ただ、この「真似」で今まで多くのお洋服の製造が盛り上がってきたことも確かなのです。

出口のない海のようなこのこと、ずっとこのままなのかなぁ、とりあえずこの行く末を見守りたいと思います。

バッグ製作の小さな型紙の7.5cmx5cm、2種類の全く別のバッグのパーツになる「折り方」の違い【751】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

リュックを製作中でございます。

複数のパーツから成り立つリュックなのですが、面白いことに、全く同じ縦7.5cmx横5cmの型紙が別々のパーツとして2種存在しているのです。

元は同じなのに、その違いを生むのは「折り方」です。

最終的に出来上がる姿は幅も縦の長さも違う別物。

このたびは、出来上がりの形状が違うことでの強度の違いや目的の違いなどをお話致します。

単純な長方形の型紙でも随分奥行きある製作ができるヒントとして見ていただければと思います。

作りが違う別物になった2種のタブは元が同じ型紙である、折り方で違うデザインになると同時に違う機能を目的としている

それぞれの出来上がりパーツの横に置いてあるのが型紙。2種が縦7.5cmx横5cmの全く同じ型紙。

1つは、入り口の留め具のDカン、ナスカンにそれぞれ1枚ずつ使う縦7.5cmx横5cmの型紙です。

三つ折りで真ん中に2列ステッチが走ります。

もう1つは、リボン紐の先カンとして使用するタブのようなもの。

こちらは、二つ折りを均等にしていった結果紐先をくるみ込む役割のパーツに出来上がります。

指にひっかかることで使いやすかったり、デザインも兼ねています。

こちらは、ステッチはボックス型の二度縫いです。

元の型紙は、こちらも縦7.5cmx横5cmなのです。

全く同じ型紙ですが、用途によって2種の別の型紙に分けております。

Dカンやナスカンタブに使う方は真ん中まで三つ折り(二度折ります)なので、ややしっかりしています。

それに比べてひも先のタブは、ひも先に縫い付けるミシンステッチのかけやすさも必要であり、ゆったりと平たい二つ折り(一度だけ折ります)の繰り返しで出来上がるもの。

バッグ自体の重みをすべて背負うほどの圧力がかかる方のDカンやナスカンタブには生地が多く重なる方の強度が強い方のタブということ。

反対に、ひも先の凸凹に対応できる柔軟さのための平たさは圧力はかからないけれども着実に美しく縫い付ける飾りも兼ね、ステッチのかけやすさを重視することになるのです。

こうして、目的に応じて同じパーツでも折り方が違うことで、「美しさと機能の両方の充実」を目指しているのです。

あとがき

ニュースでたまたま拝見した「売れたバッグ」というのがありました。

その取っ手はなんと、この度で言うDカンやナスカンのタブと同じ作り方でした。

picturesque(ピクチャレスク)では、取っ手は四つ折り観音開きで4重にしますので違う折り方です。

ただ、その製造者様の考え方を想像しますと、四つ折り観音開きはアシンメトリーであり、片方が「わ」で片方が「ハギ合わせ」というがたつきがあります。

そのちぐはぐが無い均等な折り方である両端から真ん中へ向かう三つ折りのやり方を選択され、ショルダーの出来上がりの左右の幅のバランスを重視されたのだと思います。

細かい所を見ると、そっくりでも実は製造者の重視する点によって作り方が随分違うものなのです。

柄の可愛さや表面の様子で隠れている場所ですが、じっくりと研究している方だと見る場所なのではないかと思います。

個性はデザインだけじゃない、サイズに特徴を入れていくビッグセルヴィッチデニムリュックの姿が見せてくれるもの【750】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

このたび、とても大きなリュックのオーダーを近所の方から賜りました。

ほとんど勝手に詳細を進めてしまったのですが、そんな中でも忠実だった唯一の事が、「サイズ」でした。

ペットボトル2Lが横向きに5本くらい入る容量というのがかなり具体的でした。

そのようななリュックは山登りなどの特殊な分野のものしか見たことが無く、セルヴィッチデニムでビッグなサイズを作るところに希少価値が生まれました。

入れるものが決まっている場合は型紙を作りやすいのですが、ポケットにデザイン性も入れていったところがセルヴィッチデニムならではの製作になったのではないかと思います。

カジュアルなイメージのデニムなのに裏地を設置し、エレガントな解釈をしたところもご覧いただければと思います。

リュックでも取っ手を2個とも付けたことが使い方の可能性を広げた

ビッグリュック:サイズは縦57cmx横39.5cmxマチ17cm。パーツによってデニムのロットが違います。

背の部分のポケットはタオル入れなどにと設置。

フラップ付きで隠れながらも取り出しやすいです。

フラップは、セルヴィッチデニムの「赤耳」の部分をデザイン性を出してボーダー柄にパッチワークしたもの。

ロットが違うので生地の濃淡がありますことを味わいに。。

多くのパーツが残り生地をかき集め1つにまとめたものとなります。

そもそもデニムでリュックが珍しい中、思い切ったビッグサイズでさらに特徴を出します。

この写真の上の方の取っ手がリュックによくある1点ではなく2点である所に、ビッグリュックを手で持ち歩くシーンが持ちやすく引っ張る部分を均等な圧力にしてくれます。

大きなリュック程ちゃんとした2点の取っ手があることが良い効果となるようだと感じました。

裏地の素材は、同じ綿/100%でデニムと足並み揃えつつもエレガントさを忘れなかった先染めチェック

裏地はこのようなシックなチェック柄を使用しました。ジャケットやスラックスのイメージの柄です。

先染めは、高級感があります。

表地のカジュアルな綿の素材であるデニムに合わせて、綿/100%のチェックを選択。

なかなか厚みもあり、デニムとのバランスも良いです。

大人が持つデニムに相性の良いような無彩色なチェック柄、デニムだからとビビッドなカラーに走らない冷静さを「主張」したのです。

セルヴィッチデニム素材と共にいずれも日本製の生地です。

実はビジネス用のブリーフケースと同じモデルが基本

今までもずっとこのお仕立てでやってきていますが、こういったファスナーが付くタイプのバッグは、デザインすべてが、基本的には同じ作りです。

表地と裏地の縫い代をあらかじめ隠す「中表」でひっくり返し、プレートを「外表」で組み立てていく方法です。

レザーのブリーフケースに見られるような作りですが、布で作られることはほとんどないようです。

ブリーフケースを縦に伸ばしたのがこの度のリュックのデザイン。

反対に小さいものへもアレンジが可能ですし、マチを広げてボストンバッグにしても作りとしては全く同じです。

あとがき

セルヴィッチデニムリュックにはご使用の際の注意点があります。

ショルダー部分が、雨の降り始めや大雨の時であると、白いTシャツなどの洋服に色が移る場合があります。

天気の良くない日での利用を避けるか、ダークカラーの色のTシャツやお洋服をデニムと接するアウターに着ることをお勧めします。

天気の良い日は、白のTシャツなどにデニムが爽やかで◎。

ただ、場合によっては、汗で染色がにじむ可能性もあるので、いずれにしても白いお洋服にはお気を付けを。

これまでのアメカジ風なデニムの装い方の大きなくくりの流行がいったん終わったとうなことが囁かれました。

デニムにパンプスをはいたり、スラックスのような感覚でエレガントなトップスと合わせたりなど2015年くらいから、確かにエレガントなデニムのはき方を追求しています。

この度のリュックもどちらかというとエレガントにデニムを装いたい場合にはよくマッチするものになったのではないかと思います。

内部の裏地の選択は無限です。

花柄にしたり、別のチェックを選んだりなど可能性にあふれているところに楽しみがあります(^-^)。

ラベンダーのイメージを優先させた赤みは「染色」、本来グレーイッシュな天然色の翡翠の見極め【749】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

翡翠はグリーンのイメージが強いですが、もっと色の展開のあるストーンです。

このたびは、その多色展開の中の1つ、有名どころの「ラベンダー翡翠」のリングをご紹介したいと思います。

ラベンダーとは呼ぶものの、あのラベンダー程の赤みは本当は違います。

もっと抑えられた色のグレーイッシュなトーンが本当のラベンダー翡翠。

ほとんどが魅力的に赤みがかった色付け処理がされているのです。

ラベンダー翡翠を魅力的に見せるために、そして商品が売れるようにとのことでしょうが、自然なままの曖昧な姿こそ美しく本物であるという見方がこのたびのご紹介を通じてお伝えしたいことです。

もっと逆説的に品物を見るべき、「ここまでのぼんやりした冴えない色の姿こそ本物だ」と

「処理」ということが宝石にほどこされることが多々あります。

エメラルドが有名で、大きな割合でこの繊細な質を強く保つために割れ目などに樹脂を入れていくような処理がありまして、「含侵:がんしん」と呼ばれています。

ラベンダー翡翠というのは、本来わずかに色が付いているか付いていないかの微妙なカラーが本当のナチュラルな天然カラーであるようです。

今回のラベンダー翡翠のリングはその点ではなかなか正直です。

きれいすぎる赤みをおびた紫色はおそらく処理がほどこされ、簡単に言ってしまえば人工的に作った色ということになってしまいます。

それでも、カラー重視なのか、あくまで天然の色を尊重したお品を選んでいくのかということでいうと、後者の方がロマンチックではないですか。

この辺りは価値観もありますが、天然であることの価値というのは業界では高く評価されていて、その点が価格にも反映されているのです。

ラベンダー翡翠のリング:K18YG台の枠がデザイン性があります。大粒で優れたリングだと見ています。

この色目とても微妙です。

処理をすることで、よりはっきりとパープルであると目には映るのでしょうが、赤みがかった紫というのが人工的な色という解釈で良いかと思います。

微妙なよく分からないこの写真のような淡い藤色はなかなか正直な姿だと思います。

ただ、本当のことは分かりませんが、いかにも赤みをおびた処理になっていないことは無染色の可能性もあります。

どうしても商業的に寄り「売れるための色作り」をしてしまうもの。

曖昧でぼんやりした色こそ本来の正直な姿、そこが美しいと言えるのではないかと思うのです。

あとがき

他の例では、真珠のグレー色なども、鼠や鉄の色をしていれば間違いなく染色です。

本当の真珠のグレー色はそんなはっきりした色ではないからです。

しかも、いくつも均一に連に出来るような数が同時に揃わないというのが現実。

曖昧な色目こそが宝石が自然から生まれたものである証、色のパンチが無いことがかえって生粋の姿だという逆説的な見方は天然石を見る際には有効です(^-^)。

あるファッションデザイナーの映画、自分らしさに素直に向き合い大切にしていく人の最終決断【748】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

おそらく、ファッション関係のお仕事に何らかの形で携わっておられる多くの方がこの映画を興味深く観賞されたのではないでしょうか。

「マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”」を観てまいりました。

一切、メディアにお顔を見せられないということがミステリアスであると言われてきた「マルジェラ」様。

引退して10年以上が経過した現在もなお伝説のファッションデザイナーとして語られます。

この映画を観て考えました、なぜこのように人々に広く知れ渡り続けている人なのかということの本質を綴りたいと思います。

なぜまだまだ活躍が望まれるような時期に早期引退をすることになったのかということを感じ取った

年齢や健康のことではない引退であることはだれの目にもそう映ったと思います。

この辺りは、デザイナー様がゆくゆくは直面するようなことなのかもしれません。

名が知れていない間はがむしゃらにある地点を目指して自分らしく山を登って行けた。

知名度が上がるにつれて、大手とのタイアップなどのお声がかかり、専属的に安定的にお仕事ができたことが大変喜ばしい一方で、自由というものがいろんなしがらみによって奪われ、窮屈になっていくということです。

そんな中での限界とか行き詰まりを感じたのではなかろうか。

自分らしい自由なスタイルをもう一度すべてをリセットして取り戻すための引退であったと思えて仕方がありません。

引退後でもなお語り継がれる存在であり、広く人々を惹き付けた存在になった理由を考えた

1かつての駐車場や空き地を使ってのファッションショーという通常では考えられない場所が斬新であったりしたようですが、これが、自然の自分の思いだということ。

イメージの戦略などというものではなく、人物の性格をそのまま表したような場所。

自分の思いを実直に形にした結果がそういったきらびやかなファッションショーの舞台に違和感ある「マルジェラ」様ならではの心のままのスタイルであったことの表現。

高価なビジューや素材をあしらうドレスのようなものではなく、時々リメイクなども取り入れた日常的な庶民的な感覚から生まれた作品も我々に近い存在として感じるもの。

かねてから、現在のサステイナブル的な要素を取り入れていたという点なども、当時はかなり何歩か進んだものだったのでしょうが、今の時代にはまってきた、理解されてきたということなのかもしれません。

ここ近年の展示会でもこぞって人々が詰めかけたのも時代とのマッチを感じます。

あとがき

デザイナー・作曲家などのアーティストは、何年も先を予見するようなことを今、先陣を切る形で表現するという部分があります。

その当時理解されにくくても、後になって広く知れ渡ることも、亡くなった後にたくさん聞かれる音楽は多くの人が知るところ。

このたびの映画の主人公「マルタン・マルジェラ」様の存在も、知ったのがここ数年前のことです。

顔を世に出さずしても、作品の力が活躍して、メディアだらけの環境も相まって今後ももっと知れ渡っていくのではないかと思います。

「これは自分のスタイルとは違うのだ」という違和感をとても大切にされている方だという印象です。

自由な環境でのびのびと作品を作って行けることが本当の自分の幸せでもあることを最終的に見直し引退を決断されたのだと思います。

アーティストも随分儚いもの、商売付いてしまうととたんに縛られ退いてしまう方向に向かうことがあるなんて。。いやはや無常なことです。

ただ、間違いなくファンは知っているかと、儲けや商売よりも我々に作品を通じて常にメッセージを投げかけていたことを。。

まるとしかくのコンビのペンダントトップに同じ配列のリングを合わせた結果どういうことになったのか【747】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

「本物志向のレンタルジュエリー」の事業者でございます。

3点の違うアイテムのジュエリーを1セットに組み合わせ、そのままお洋服に当てはめるだけという分かりやすさのあるラインナップを工夫してまいりました。

最終的に、ネックレス・ブレス・リングが1セットに完成するところが事業者としての役割の目指すところなのですが、そうもいかないことがあります。

このたびは、非常に難しいタイプのデザインのペンダントトップに合わせるリングを長い時間をかけて見つけた記録とその後を綴りたいと思います。

必ずしもハッピーエンドではないところに、組み合わせの難しさがあると見ていただければと思います。

サクランボのような幾何デザインに惹かれて。。

ツインペンダントトップ:K18YG。ストーンはシトリン。かの有名な方の眼鏡みたい(^-^)。

大ぶりですっきりとしたペンダントトップでしたので素敵だと思ったのです。

ただその後で大変苦労することになりました。

丸というモチーフも特徴があり、四角というモチーフも特徴がある、この2つが揃ったところが難しさを生んでいるように感じました。

バランスよく半分ずつになっているところこそ難関です。

結局、いずれの2つのモチーフ共に入っているというリングをじっくりと時間をかけて探しました。

ブレスは機会をのがし、入手できませんでしたので先にリングへ行こうと。。そしてペンダントトップと同じ配列のリングを入手↓。

丸モチーフと四角モチーフのリング:K18YG台。ガーネットxシトリンのハーフエタニティ―。

見つかるものです、ペンダントトップとリングを並べてみました↓。

トップとリングの相性は良いようで、新たなガーネットがリングに入っていることも単調さに面白みをくれます。

ただ、この後が続きませんでしたことと、このリングがやや華奢過ぎました。

それだけペンダントトップのボリュームがあることにバランスが及ばなかったのでした。

リングのその他の案としては、四角い大粒のリングも候補でした。

ペンダントトップに勝るボリュームの大粒が良いでしょう。

ブレスレットは一番最後にペンダントトップとリングの中間的良き橋渡しとして、丸の方のフォルムに注視したり、むしろ四角モチーフオンリーの連も考えられます。

ただ、この時はこの時点でもう廃止を決めておりまして、いわゆる「お手上げ」をしたのでした(^_^;)。

あとがき

このペンダントトップについて、今一度。

丸と四角の半分ずつのペンダントに込められた意味が何かあったのではないでしょうか。

例えば、「相容れなさ」です。

この、本来相容れない2つの形がバランスよく房として対等にぶら下がっていることで、作り手様が何かメッセージを込めたかもしれません。

例えば、「相容れない者同士が共存していることこそが世の中のバランスなのである」とか、「1つのチームになるためには、全く本来相性の無い者でも互いに譲り合い1つの事を成し遂げるのだ」などというもの。

そんなことを考えるようなメッセージをくれたアイテムだったことがそもそも出会ったことに意味があったと思っております(^-^)。

ボーダー柄(畝:うね)が入ったごわついた靴用のメッシュ素材、合わせた裏地は意外な大花柄ラメ入りだった【746】

まえがき

こんにちは。picturesque(ピクチャレスク)です。

お洋服では抵抗ある、柄on柄。

バッグでは柄がペアになっても良いのではないかと思える無責任さ。。人間が直接纏わないからでしょうか。

柄同士も大丈夫なペアの一例として、このたびは、細いボーダーのような織柄が特徴のラメ素材を同じラメが入る大花柄とコンビニしてみた準備段階の記録です。

この場面で、内袋の巾着袋に黒無地を使っていきますので、複数素材の組み合わせをお楽しみくださいませ。

滅多に購入しない「原産国不明」の大花柄の生地が内部の世界を見る楽しみになった

これまで、「日本製」だの「イタリア製」だのにこだわってまいりましたが、だんだん、生地そのものの良さを原産国に関わらずフラットに見るようになってまいりました。

おそらく日本製ではないと思われる大花柄の生地を本体の方の裏地に選択しながら、このたびはパンプス用のごわついた素材の表地とのコンビでリュックに製作するということの第二弾。

番号が1つ前の投稿【745】では、ややネイビー寄りなメッシュ生地でリュックを完成致しました。

パンプス素材ということでは同じ仲間ですが、このたびは、ラメとボーダーが入り、前回の【745】とは随分違った雰囲気になると思います。

一番左がゴールド系のメッシュ生地。素材はおそらくナイロン/100%との情報をいただいております。日本製。

真ん中は輸入生地のプリント物、撥水加工がしてある綿/100%で原産国が不明、一番右は日本製のポリエステル/100%。生地名は不明、真っ黒でありながら、綾織りの斜めの織柄に高級感があります。

左がゴールドでキラキラしているので一番右は抑えた感じですが、ポリ無地はつるりと光るので、左2種のゴールド部分には相性が良いエレガントさがあります。

裏地を2種も必要なのは、元々ストック生地を使用するので、パーツ数の多い裏地に不足ができること、それを兼ね複数の生地で楽しい内部になればと思います。

あとがき

少し心配していますのは、表地のメッシュ素材の凸凹がミシンでちゃんと縫えるのかという点です。

結果はどうなるのか、必ず完成して後日の記事に綴りますので、お待ちくださいませ(^-^)。